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夜会にて……
side ミカエル 6
しおりを挟む好意を匂わされる事は今までもあった。
でも、ご令嬢の口から告白されたのは初めての体験で、どうしていいのかわからない。
できれば、恥ずかしい思いはさせたくないのだけど……
彼女は僕を見て、クスクス笑う。
「ミカエル様ったら、そんな困った顔をなさらないでくださいませ」
「……あ」
まずい……と咄嗟に思った僕は慌てて笑みを浮かべる。
顔に出てしまうなんて、紳士として失格だな……
「……すみません」
「愛の告白をしても、ミカエル様は照れもしませんのね」
オリアーナ嬢の美しい顔が微かに歪んだ。
「ずっとずっと好きでしたのよ」
「そう……ですか」
僕を見つめる琥珀色の瞳は、その言葉が嘘偽りないと証明しているかのように澄んでいた。
心苦しくなり、僕は目を伏せてしまう。
どのように答えるのがいいのだろう……
「婚約を何度断られても、私、諦めきれませんでした」
「そう……ですね」
「ミカエル様は私の事、どう思ってますの?」
……直球だな。
いつまでも目を逸らしているわけにもいかず、僕は顔を上げ、微笑んだ。誤解のないよう言葉を選びながら、丁寧に返事をする。
「お綺麗で素晴らしいご令嬢だと」
「そういう事ではございませんの。私に恋心を抱く可能性があるかをお聞きしたいのですわ」
僕の言葉は速攻ぶった切られた……
わかってる。わかっているさ。オリアーナ嬢が何を聞きたいか。何を求めているか。
わかってる。
でも、僕の口から女性を傷つけるのは……辛い。
僕は大きく息を吐いた。
でも、ここまでしっかり聞いてくるという事は、彼女も覚悟の上だろう。
僕がはっきり言うべき事だ。
それが本当の優しさであり、彼女の為なんだ。
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