1番近くて、1番遠い……僕は義姉に恋をする

桜乃

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夜会にて……

side クラリス 7

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「婚約者以外の男と二曲連続で踊るのはダメだ」
「あ……はい」

 まぁ、たしかに。
 婚約解消が決まっている事は、世間の人は知らないし……

「ほぉ……早かったな」

 ジェスター様は腕を組み、アルベルト様にニヤッと笑いかけた。

「……チッ……やっぱり、お前か」

 王子らしからぬ舌打ちをし、ジェスター様を忌々いまいましげに睨む。そんなアルベルト様の視線を物ともせず、ジェスター様はクスクス笑っていた。

「僕は、ご令嬢達に耳よりな情報を教えて差し上げただけだが?」
「なぁぁにが耳よりだよ……」
「この夜会は、お前の新しい婚約者選びも兼ねているんだろう?」

 婚約者選び!!

 親友同士の軽口のたたき合いを邪魔してはいかんと、大人しくしていた私。婚約者選びという言葉を聞いて、おおっ……やっぱり! と胸を躍らせる。

 婚約者選びなんて、漫画の王子様みたい! いや、実際、王子様だけど。是非とも友人としてお力にならなくては。

「そのキッカケを作ってあげただけだけど?」

 ニヤニヤと話しかけるジェスター様に、なぜか焦っているアルベルト様、友人の恋の手助けをするのが楽しそうで、思わずニマッと顔を緩めた私。

 三者三様の状況の中、アルベルト様は真っ赤な顔で叫ぶ。

「余計なお世話だっ。俺のことはいいから!」

 私は深く頷き、アルベルト様に微笑んだ。

 わかってます。わかってます。
 アルベルト様は、照れやさんですものね。私はこっそり、ひっそり、サポートさせていただきますから!
 このクラリスにお任せください!!

 ああ、アルベルト様のお眼鏡にかなうご令嬢はどなただろう? 名門貴族のご令嬢が、一堂に会しているもの。この中のどなたかよね……あれ? そう言えば……

「あの……ローザ様とリーズル様は、いらっしゃってるのかしら……」

 キョロキョロと周りを見渡したが、2人の姿は見当たらない。

 2人も招待されていると思ってたんだけど……せっかくだもん。アルベルト様の婚約者選びを一緒にお手伝いしてもら……あ、でも、あの2人のどちらかという事もあり得るか……

 2人とも魔力はあるし、どちらも王子妃に相応ふさわしい美貌だし、普段からアルベルト様ともよくお喋りしてるし……あれ……お似合いじゃない?

「残念だけど、あの2人は家の用事で欠席みたいだよ」

 ジェスター様の微笑みを見て、アルベルト様がうんざりした顔をした。

 ええ……そうなの? 2人来ないのか……なんだ……残念。
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