236 / 298
夜会にて……
side クラリス 7
しおりを挟む
「婚約者以外の男と二曲連続で踊るのはダメだ」
「あ……はい」
まぁ、たしかに。
婚約解消が決まっている事は、世間の人は知らないし……
「ほぉ……早かったな」
ジェスター様は腕を組み、アルベルト様にニヤッと笑いかけた。
「……チッ……やっぱり、お前か」
王子らしからぬ舌打ちをし、ジェスター様を忌々しげに睨む。そんなアルベルト様の視線を物ともせず、ジェスター様はクスクス笑っていた。
「僕は、ご令嬢達に耳よりな情報を教えて差し上げただけだが?」
「なぁぁにが耳よりだよ……」
「この夜会は、お前の新しい婚約者選びも兼ねているんだろう?」
婚約者選び!!
親友同士の軽口のたたき合いを邪魔してはいかんと、大人しくしていた私。婚約者選びという言葉を聞いて、おおっ……やっぱり! と胸を躍らせる。
婚約者選びなんて、漫画の王子様みたい! いや、実際、王子様だけど。是非とも友人としてお力にならなくては。
「そのキッカケを作ってあげただけだけど?」
ニヤニヤと話しかけるジェスター様に、なぜか焦っているアルベルト様、友人の恋の手助けをするのが楽しそうで、思わずニマッと顔を緩めた私。
三者三様の状況の中、アルベルト様は真っ赤な顔で叫ぶ。
「余計なお世話だっ。俺のことはいいから!」
私は深く頷き、アルベルト様に微笑んだ。
わかってます。わかってます。
アルベルト様は、照れやさんですものね。私はこっそり、ひっそり、サポートさせていただきますから!
このクラリスにお任せください!!
ああ、アルベルト様のお眼鏡にかなうご令嬢はどなただろう? 名門貴族のご令嬢が、一堂に会しているもの。この中のどなたかよね……あれ? そう言えば……
「あの……ローザ様とリーズル様は、いらっしゃってるのかしら……」
キョロキョロと周りを見渡したが、2人の姿は見当たらない。
2人も招待されていると思ってたんだけど……せっかくだもん。アルベルト様の婚約者選びを一緒にお手伝いしてもら……あ、でも、あの2人のどちらかという事もあり得るか……
2人とも魔力はあるし、どちらも王子妃に相応しい美貌だし、普段からアルベルト様ともよくお喋りしてるし……あれ……お似合いじゃない?
「残念だけど、あの2人は家の用事で欠席みたいだよ」
ジェスター様の微笑みを見て、アルベルト様がうんざりした顔をした。
ええ……そうなの? 2人来ないのか……なんだ……残念。
「あ……はい」
まぁ、たしかに。
婚約解消が決まっている事は、世間の人は知らないし……
「ほぉ……早かったな」
ジェスター様は腕を組み、アルベルト様にニヤッと笑いかけた。
「……チッ……やっぱり、お前か」
王子らしからぬ舌打ちをし、ジェスター様を忌々しげに睨む。そんなアルベルト様の視線を物ともせず、ジェスター様はクスクス笑っていた。
「僕は、ご令嬢達に耳よりな情報を教えて差し上げただけだが?」
「なぁぁにが耳よりだよ……」
「この夜会は、お前の新しい婚約者選びも兼ねているんだろう?」
婚約者選び!!
親友同士の軽口のたたき合いを邪魔してはいかんと、大人しくしていた私。婚約者選びという言葉を聞いて、おおっ……やっぱり! と胸を躍らせる。
婚約者選びなんて、漫画の王子様みたい! いや、実際、王子様だけど。是非とも友人としてお力にならなくては。
「そのキッカケを作ってあげただけだけど?」
ニヤニヤと話しかけるジェスター様に、なぜか焦っているアルベルト様、友人の恋の手助けをするのが楽しそうで、思わずニマッと顔を緩めた私。
三者三様の状況の中、アルベルト様は真っ赤な顔で叫ぶ。
「余計なお世話だっ。俺のことはいいから!」
私は深く頷き、アルベルト様に微笑んだ。
わかってます。わかってます。
アルベルト様は、照れやさんですものね。私はこっそり、ひっそり、サポートさせていただきますから!
このクラリスにお任せください!!
ああ、アルベルト様のお眼鏡にかなうご令嬢はどなただろう? 名門貴族のご令嬢が、一堂に会しているもの。この中のどなたかよね……あれ? そう言えば……
「あの……ローザ様とリーズル様は、いらっしゃってるのかしら……」
キョロキョロと周りを見渡したが、2人の姿は見当たらない。
2人も招待されていると思ってたんだけど……せっかくだもん。アルベルト様の婚約者選びを一緒にお手伝いしてもら……あ、でも、あの2人のどちらかという事もあり得るか……
2人とも魔力はあるし、どちらも王子妃に相応しい美貌だし、普段からアルベルト様ともよくお喋りしてるし……あれ……お似合いじゃない?
「残念だけど、あの2人は家の用事で欠席みたいだよ」
ジェスター様の微笑みを見て、アルベルト様がうんざりした顔をした。
ええ……そうなの? 2人来ないのか……なんだ……残念。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
琥珀の月
桜 朱理
恋愛
「……あんたが俺のことを嫌いなのは知ってるよ。でも、やめてやらない。憎まれても、恨まれてもいいから、あんたは俺を見ていろ。あんたは俺のものだ」綺麗な琥珀色の獣の瞳をした義弟は美咲の知らない男の顔で言った。昔からこの綺麗な義弟に惹かれながらも、その思いを否定し続けた美咲は強引な義弟の腕に囚われた。
昔、ムーンライトノベルズ様に掲載していたものを改稿しています。第1章、第2章はムーンライトノベルズ様に掲載していたものを手直して、一括で掲載。第3章以降は書下ろしの予定。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる