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夜会にて……
side クラリス 5
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キョロキョロと周りを見渡す。
ホールの端の方で5、6人のご令嬢に囲まれて、優しげな笑顔で会話をしているミカエルの姿を捉え、とっさに目を伏せた。
不機嫌そうだったのは気のせいだったのかもしれない……だって、あんなに楽しそうにしているし……
「だって、パーティーだもの。社交場だもの。楽しむのは当たり前じゃない」
小声で自分に言い聞かせ、どこかの令嬢と踊るであろうミカエルからできるだけ離れる為、壁際に移動する。
ぼんやり壁に寄りかかっていると、私の目の前にグラスがスッと現れた。
「はい。喉、乾いたでしょ?」
「ジェスター様……」
「どうしたの? 考え事?」
ジェスター様はニコリと笑うと、私の手にベリーサイダーのグラスを持たせる。
「えへへ……ちょっと疲れちゃったみたいです。ありがとうございます。いただきます」
私はジェスター様が渡してくれたベリーサイダーをコクンと一口飲んだ。
ベリーの甘酸っぱさとサイダーの刺激で、乾いた心も少し元気が出たみたい。
「美味し……私、ベリーサイダーが1番好きなんです」
「うん、知ってる」
「そうだ! この間いただいた紅茶、美味しかったです。ありがとうございました。あの紅茶、私の好きな銘柄なんですよ!」
「うん、知ってる」
微笑を浮かべ「うん、知ってる」と繰り返すジェスター様。眼鏡の奥の柔らかい眼差しに、友人の私でも照れてしまう。
さすが社交界の貴公子。
その瞳で何人の女性を虜にしたのやら……いや、もう……ホント、罪な男だ。
「クラリス、僕と踊ってくれない?」
一瞬、ミカエルの顔が頭に浮かび、躊躇している私の手を少し強引に握った。
「ダメ……かな?」
「いえ、そんな事は……よろしくお願いします」
にっこりと笑顔を作り、お辞儀をすると、ジェスター様は穏やかに微笑んだ。
ホールの端の方で5、6人のご令嬢に囲まれて、優しげな笑顔で会話をしているミカエルの姿を捉え、とっさに目を伏せた。
不機嫌そうだったのは気のせいだったのかもしれない……だって、あんなに楽しそうにしているし……
「だって、パーティーだもの。社交場だもの。楽しむのは当たり前じゃない」
小声で自分に言い聞かせ、どこかの令嬢と踊るであろうミカエルからできるだけ離れる為、壁際に移動する。
ぼんやり壁に寄りかかっていると、私の目の前にグラスがスッと現れた。
「はい。喉、乾いたでしょ?」
「ジェスター様……」
「どうしたの? 考え事?」
ジェスター様はニコリと笑うと、私の手にベリーサイダーのグラスを持たせる。
「えへへ……ちょっと疲れちゃったみたいです。ありがとうございます。いただきます」
私はジェスター様が渡してくれたベリーサイダーをコクンと一口飲んだ。
ベリーの甘酸っぱさとサイダーの刺激で、乾いた心も少し元気が出たみたい。
「美味し……私、ベリーサイダーが1番好きなんです」
「うん、知ってる」
「そうだ! この間いただいた紅茶、美味しかったです。ありがとうございました。あの紅茶、私の好きな銘柄なんですよ!」
「うん、知ってる」
微笑を浮かべ「うん、知ってる」と繰り返すジェスター様。眼鏡の奥の柔らかい眼差しに、友人の私でも照れてしまう。
さすが社交界の貴公子。
その瞳で何人の女性を虜にしたのやら……いや、もう……ホント、罪な男だ。
「クラリス、僕と踊ってくれない?」
一瞬、ミカエルの顔が頭に浮かび、躊躇している私の手を少し強引に握った。
「ダメ……かな?」
「いえ、そんな事は……よろしくお願いします」
にっこりと笑顔を作り、お辞儀をすると、ジェスター様は穏やかに微笑んだ。
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