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後日談 プディングを……
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しおりを挟む「ねぇ、ミカエル。今度の新作、食べてみて!」
義姉さまが僕の部屋に入ってくるなり、ツルンッとしたプディングを目の前に出した。
あれから、全くと言っていいほど義姉さまの様子は変わらず。僕との関係も、もちろん変わらずで……なんだか拍子が抜ける。
「カスタードプディング? 作ったの?」
仕事の手を止め、プルプル揺れているカスタードプディングを見つめた。
「うん、プリンって名前で売り出そうかなって思って」
「プリン?」
「子供でも呼びやすいでしょ? プリンって」
「まぁ、たしかに」
カスタードプディングかぁ……
なんか……思い出すよね……あの人を。
僕が複雑な表情で黙ってしまったからか、義姉さまがあれ?っと首を傾げる。
「カスタードプディング、嫌いだっけ?」
「いや、そんな事ないよ」
慌てて微笑みかけると義姉さまもニコッと笑う。
「そう? ね? 食べてみて!」
「あ、うん、いただきます」
スプーンを持ち、つやつやのプディングをスッとすくい、口に運んだ。
少し苦めのカラメルソースがプディングの甘さをより一層引き立て、カスタードの風味が一瞬で口の中に広がり、とろけていく。
うわ……おいし……
「どう? どう?」
期待に満ちた目で見つめる義姉さまに、この美味しさをどう表現すればいいのか、すぐに言葉が見つからず、とろけるプディングをもう一度、口に入れる。
「…………うん、このなめらかな食感が今までにないカスタードプディングで……美味しい」
「本当?」
結局、いつもと変わらない稚拙な感想になったけれど、義姉さまは自信作を褒められて、かなり嬉しそうな顔をし、ウキウキと自分のプディングを食べ始めた。
「うん。美味しい」
満足そうに頷く義姉さまを見ながら、僕はこのプリンと名がついたプディングをどうやって市場にアピールするか考えていた。
義姉さまのスイーツは僕が必ず人気商品に押し上げるから。
「どうしたの?」
「あ、うん。どうやって売っていこうかな……って……あ、そうだ、ねぇ、これ3個くらい余ってない?」
「あるわよ。サンプルとして持っていくの?」
「うん……まー、そんなとこ」
屈託ない質問に、僕は言葉を濁しながら義姉さまに笑いかけた。
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