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バルコニーで……
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しおりを挟むでも……
義父さまに義姉さまの結婚相手の候補として、認めてもらった事は、僕の中ではとても……本当にとても大きな喜びだった。
アルベルトの告白は、なぜか失敗したみたいだし……それどころか義姉さまとアルベルトは婚約解消になる流れで……
朝から大騒ぎな1日だったけど、嬉しくて顔が笑ってしまう。
「ミカエル?」
ふふふっと1人で笑っていた僕は、義姉さまの声にドキッとし、慌てて顔を引き締める。
「義姉さま……どうしたの?」
「う……ん、エリック先生の事が気になって……ミカエル、探してたの。どうだった?」
心配顔で聞いてきた義姉さまに僕は微笑んだ。
「ああ、大丈夫……心配ないよ。ごめんね。早く伝えてあげれば良かったね」
ずっと心配してたのかな。せっかくのパーティーなのに可哀想な事しちゃったな。
「ううん。でも、良かった……」
義姉さまは安心したのかホッとした顔をし、クスクスと笑い出した。
「エリック先生ったら……ザラ様の事、神って」
「ザラ様教、1番の信者だもんね」
僕の言葉に義姉さまはぷっと吹き出し「そうね」とあははっと明るく笑う。
「ああ、いい風ね」
両手を思いっきり上げ、んーっと伸びをしながら頬を緩ませる義姉さま。
もう……ご令嬢が伸びなんか……
「あ、今、ご令嬢が伸びなんかしちゃ駄目って、言うつもりだったでしょう?」
ブルーの瞳をくりくりさせながら、僕の顔を覗き込んだ。
思わずフイッと顔を逸らし、月に照らされた庭を見つめる。
パーティーの喧騒から離れ、少しロマンチックなこのシチュエーションに、いつも以上に意識してしまった僕は、義姉さまの顔がまともに見られなくなっていた。
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