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バルコニーで……
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「今夜、貴方は絶対にクラリスに近づいてはなりません。わかりましたね。ぜったいですよ」
多忙なザラとエドワードが王宮へ戻ると聞き、僕は招待側として、見送りに出た。
やっといなくなる……と安堵したものの、ザラに強烈な圧力をかけられ、エドワードには恐ろしい目でギロッと睨まれる。
なんで僕にだけ?
「クラリスに近づいたら氷漬けにしますから。命が惜しければ、とにかく離れてなさい」
ええ……それは家族だし、無理というものなんじゃ……
反論しようと思った時には、すでに2人の姿はなく、問答無用で一方的に脅された僕。
理不尽だ……
圧をかけられるのはいつもと変わらず……でも、今日は普段よりしつこかったな。おまけに氷漬けってなに? 物騒すぎなんだけど。
執拗に圧力をかけていった2人の様子に少し引っかかりを感じながらも、いつまでもその場に突っ立っている訳にもいかず、僕は仕事の取引き相手や挨拶にきた招待客と談笑を始めた。
パーティーも終わりに近づき、招待客ほぼ全員に声を掛け終わった僕は一息つく。
周囲を見渡し、滞りない事を確認した後、パーティールーム内でも死角になっているバルコニーにこっそりむかった。
人もあまりこないし、休むには最適な場所である。
今日はさすがに疲れたなぁ。
夜風が火照った顔にあたり、気持ちがいい。
手すりに寄り掛かり、夜空を見上げた。
今宵は満月。
ああ、綺麗だな……でも、今日の義姉さまは、月にも負けないくらい綺麗だった……
女の人ってさ……あんなに綺麗になるんだな。
義姉さまのこと眼中にもなかった男どもがチラチラ見ててさ……うー、気に入らない。
僕は満月の眩しさに目を細めた。
17歳になっちゃったんだな……
先に結婚できる年齢になってしまった事に、どうしても焦りを感じる。
僕の誕生日……あと2ヶ月が長く長く感じてしまう。
多忙なザラとエドワードが王宮へ戻ると聞き、僕は招待側として、見送りに出た。
やっといなくなる……と安堵したものの、ザラに強烈な圧力をかけられ、エドワードには恐ろしい目でギロッと睨まれる。
なんで僕にだけ?
「クラリスに近づいたら氷漬けにしますから。命が惜しければ、とにかく離れてなさい」
ええ……それは家族だし、無理というものなんじゃ……
反論しようと思った時には、すでに2人の姿はなく、問答無用で一方的に脅された僕。
理不尽だ……
圧をかけられるのはいつもと変わらず……でも、今日は普段よりしつこかったな。おまけに氷漬けってなに? 物騒すぎなんだけど。
執拗に圧力をかけていった2人の様子に少し引っかかりを感じながらも、いつまでもその場に突っ立っている訳にもいかず、僕は仕事の取引き相手や挨拶にきた招待客と談笑を始めた。
パーティーも終わりに近づき、招待客ほぼ全員に声を掛け終わった僕は一息つく。
周囲を見渡し、滞りない事を確認した後、パーティールーム内でも死角になっているバルコニーにこっそりむかった。
人もあまりこないし、休むには最適な場所である。
今日はさすがに疲れたなぁ。
夜風が火照った顔にあたり、気持ちがいい。
手すりに寄り掛かり、夜空を見上げた。
今宵は満月。
ああ、綺麗だな……でも、今日の義姉さまは、月にも負けないくらい綺麗だった……
女の人ってさ……あんなに綺麗になるんだな。
義姉さまのこと眼中にもなかった男どもがチラチラ見ててさ……うー、気に入らない。
僕は満月の眩しさに目を細めた。
17歳になっちゃったんだな……
先に結婚できる年齢になってしまった事に、どうしても焦りを感じる。
僕の誕生日……あと2ヶ月が長く長く感じてしまう。
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