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誕生日パーティーで……
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しおりを挟む「……何を考えているんだか……あの人は」
いつも無表情なザラが、一瞬顔を曇らせる。
「あの人?」
「いえ、何でもありません。他にも何か気になった事はありませんか?」
「えっと……聞き間違いかもしれませんが……ザラ様によろしく……と」
「あんの、くそじじぃ」
「は?」
「いえ、何でもありません。他には?」
なんか会話の途中でザラが感情を露わに口汚い言葉を使ったような? 気のせい?
「えっと……義姉さまの魔道士ランクを当てたり、守護魔法とか……」
僕は、どこまで言っていいのか躊躇い、言葉を濁してしまった。
けど、冷徹魔道士長……と言っていたことだけは、絶対に言うまい。僕の頭で危険信号が点滅してるし。
「わかりました。もし、その人物に遭遇したら、すぐに私に教えるように」
すぐに教えろ?
僕は首をひねる。
ザラほどの魔道士が、たった1人の人物を探せない? そんな事ありえる?
なんで探しているんだろう。
罪人? そんな風には見えなかったけど。
「もしかして……犯罪者……ですか?」
でも、たとえ罪人だとしても、王宮魔道士長であるザラが見つけられないのは、やっぱりおかしい。
この世界にザラが手に負えないような人物は、ほぼいないと思う。
「いえ、違います……そうですね……ふむ……」
ザラは僕を冷ややかな目で一瞥しては、考え事を始めたのか、喋らなくなった。
もちろん、そんなザラに僕は話し掛ける勇気はない。怖いし。
居心地の悪い沈黙が2人の間に流れ、僕は神に願った。
早くこの場を離れたい……
神に祈ったのが功を奏したのか、ザラが口を開く。
「そうですね、貴方には伝えておきましょうか。どうも貴方は彼に気に入られているようですし……」
「彼……? ザラ様はあの人が誰だか知っているんですか?」
「知ってますよ」
ザラはサラリと肯定し、ひと呼吸置いて話を続けた。
「あの髪飾りの造り手は、先代王宮魔道士長シースアクト様です」
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