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誕生日パーティーで……

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 エリック先生の様子をディールに尋ねる。

「大事には至ってないと思います」
「そう……なら良かった。たしか予備で空けてある客間があったよね。エリック先生をそちらにお運びして」
「かしこまりました」

 ディールは心得ていたようで、すでに客間の準備を使用人に指示を出していた。

 さすが、ディール。できる執事だ。

「じゃあ、よろしくね。エリック先生が起きて、身体に異常があるようだったら、すぐに医者を……うーん、治療魔法かけたほうがいいかな? エリック先生だったら、自分で治せると思うけど……一応、僕を呼んで」

 ディールに指示を残し、再びパーティールームに入ると僕の名を呼ぶ無機質な声がした。

 うわ……この声は……

「ザラ様、この度は申し訳ございません」

 僕はくるりと振り返り、アルカイックスマイルを浮かべ、頭を下げる。

「いえ。彼は大丈夫なのですか?」
「はい、見たところ気を失っているだけかと……」
「彼はいったい何なのですか?」

 ……うーん、ザラからしたら疑問だよねー
 ザラの顔を見て、突然倒れたんだから。

 何なのか? 貴方の熱心な信者ですよ……

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