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誕生日パーティーで……

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「アルベルト、義姉さま、良かったね。でも、いずれ解消するんだから、今しちゃえば? 17歳の記念に」
「記念に解消するもんじゃ……」
「お、早速、解消するのも、粋でいいな」

 愉快そうな顔をして、エドワードが僕の意地悪な提案にのっかる。

「いつでも私が証人になりますよ」

 ザラが魔法でペンと書類を取り寄せ、証人欄にサラサラとペンを走らせた。

「俺もなってやる、王宮魔道士長と王宮騎士が証人だ。誰も文句は言わないだろ?」

 義姉さまはアルベルトの両手を握り、声を弾ませた。

「アルベルト様、もう少しの我慢ですよ!」
「いや……だから……」

 手を握っているのは気に入らないが、今回は大目にみよう。祝い事だしね。

 話の流れがアルベルト有利にならないよう注視しながら、僕とジェスターはニマニマと静観していた。
 
「ちが……」
「おめでとうございます。アルベルト様!」

 ローザとリーズルが華やかな笑顔でアルベルトの言葉を遮る。

 さっきから言いたいことも言えず、みんながかもし出すお祝いムードにのまれていたアルベルトは、体全体をプルプル震わせた。

 我慢の限界だったのか、先程までの王子らしい落ち着きは消え去り、声を張り上げる。

「勝手に話を進めるなーーー!!」

 アルベルトの焦った叫びに、僕とジェスターは思わずククッと笑ってしまった。
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