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宣戦布告を……

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「ダンスが終わった後、俺はクラリスに告白する」

 アルベルトの凛々しい声が部屋に響く。

「お前達は恋敵ライバルだが、親友でもあるから、先に伝えておく」

 王族の正装であるマントをひるがえし、決意を固めた表情のアルベルトは、部屋を出ていった。

 太陽はとっくに沈み、月が輝き始めた時間。
 
 アルベルトの言葉を受け、部屋に残された僕とジェスターの間には沈黙が流れる。

 アルベルトが、義姉さまに、告白……する……?

「……い……おい、おい!」

 呆然と立ち尽くしていた僕は、ジェスターに肩を叩かれ、我に返った。

「そろそろ、お前、行かないとだろ?」
「あ、ああ」

 返事はしたが、驚きのあまり、次の行動が浮かばない。

「大丈夫か? 招待客の出迎えに行くんだろ?」
「大…丈夫」
「ふ……ん、しっかりしろ」
 
 ジェスターは腕組みをし、フイッと横をむいた。

「お前が弱気になるのは勝手だけど。まぁ、ミカエルが諦めるなら、僕は願ったり叶ったりだが?」
「まさかっ! バカ言わないでよ」

 僕がキッと睨み、フンと鼻を鳴らすと、ジェスターは肩をすくめる。

「じゃあ、アルフォント家の次期当主として、ちゃんと役目を果たせ。お前が、今、やるべき事だろ」

 ジェスターのツンッとした表情をまじまじと見て、僕はクスリと笑ってしまう。

 なんだ、僕に活を入れてくれたのか。

 やっぱり、ジェスターも……そして、堂々と宣戦布告をしていったアルベルトもいい奴だし、自慢の親友達だ。

 僕は誇らしくなり、頬を緩める。

 でも……義姉さまの事は話が別だからね。

「じゃあ、行こうか」

 僕はジェスターと部屋を出た。

 今、現在、公の場で義姉さまに「好きだ」と言える権利は、婚約者であるアルベルトしか有していない。

 それは、僕やジェスターがどう足掻あがいても、どうにもならず、そして、アルベルトは今夜、その権利を行使すると宣言した。

 これから起こる出来事を考えると、胸が張り裂けそうである。

 僕はなまりでもついているのかと思うほど、重い足取りでパーティールームにむかった。
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