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再会し……
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しおりを挟む「義姉さま、大丈夫?」
「……うん……」
うつむいたまま小さく頷く義姉さまが心配になる。
嫌な体験、させちゃったな。
もう少し脅しておけばよかった。
「もう、行っちゃったよ」
できるだけ穏やかな口調で語りかけたが、頭を上げ、むりやり僕に微笑んだ顔は青ざめていた。
義姉さまに怖い思いをさせてしまったことが、僕は悔しくてたまらない。
「大丈夫じゃないね……ごめんね。辛い事、思いだしちゃたよね」
「大丈夫よ……だって、ミカエルがきてくれたから……あのね、またミカエルを連れて行かれちゃうって思ったら怖くて……だから、今、ホッとしてる……」
そう……なんだ……
胸の奥がトゥクンと響く。
昔、僕を必死で守ってくれた小さな女の子。
笑顔で僕を抱きしめてくれた小さな女の子。
大きくなっても僕の事ばかり……
クスッと笑い、ポツリとつぶやく。
「僕はどこにもいかないし、ずっと義姉さまのそばにいるから」
僕の声が聞き取れなかったようで、義姉さまは聞き返そうとしたが、それより先にとびきりの明るい声で話題を変えた。
「そうだ、義姉さま。これからカフェいかない? 今、女性に人気のケーキがあるんだって」
「ケーキ?」
「ベリーベリーケーキっていってたかな」
「美味しそう……」
「ね? 義姉さま、好きでしょ?」
「うん、行きたい! ミカエル、今日は仕事、大丈夫なの?」
心配そうに聞く義姉さまに、僕は微笑んだ。
「大丈夫。ファンレーの事も一段落ついたしね」
少しは義姉さまの気分が晴れればいいな。
それに、これは、そう! デート……デートじゃないか!
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