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見送りに……
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しおりを挟む「すいーとぽてと? それなに? お菓子なの?」
ポテト……というからには食べ物なんだよね? きっと。
さつまいもで甘いおいもを作る?
意味不明な名前にいくら考えても答えが出ず、僕は義姉さまに質問をする。
「美味しいのよ! サツマイモをね、茹でて、潰して、混ぜて……私、大好きなの! じゃあ、最初にミカエルとファンレーに作ってあげるわね」
「うん。楽しみにしてる」
意気揚々と返ってきた言葉に、僕はニコニコと返事をした。
茹でて、潰して、混ぜて……うん、さっぱりわからん。
『すいーとぽてと』が何たるかは、全く説明されてないし、想像もつかないけど、義姉さまが大好きだという事だけは伝わった。
さつまいもの苗をファンレーに贈って良かったな。あんなに義姉さまが喜んでいるんだもん。
後は領民にしっかり育ててもらわなきゃね。
「ねぇ、その『すいーとぽてと』ってものは、どこで食べたの?」
僕の素朴な疑問に、義姉さまは懐かしそうな顔をして、ふふっと微笑む。
「ああ……うん、ちょっと、昔にねー。あ、そうだ! 天……エドワード様もザラ様もお好きだから、作って持っていってあげよっ」
うっ……
久方ぶりに聞いた憎き名前に顔が引きつり、声が詰まる。
あの2人、相変わらず義姉さまと連絡取り合っているのか……
「へ、へー、エドワード様やザラ様もお好きなんだー、その『すいーとぽてと』ってやつ。へー」
エドワードやザラの好きなものなんて、僕はどうでもいいんだけどさ…………どこで食べたの! 3人は『すいーとぽてと』ってやつを! どこで食べたのっ!
「そうなの! 雪兄……ザラ様もああ見えて、甘いものに目がないのよ。昨日もね、新作のフィナンシェを作って持っていったんだけど、いっぱい食べてくれたの」
義姉さまは、その時の様子を思い出したのか、おかしそうにクスクス笑っている。けど、僕の胸中はそれどころではない。
昨日!? フィナンシェ!? 持っていった!?
ここしばらく、シーメス家の件で留守にすることも多かったから、気がつかなかった……
「ふふふっ、エドワード様はね、もういくつでも食べられるんですって。スイートポテト!」
「へー、トテモ、オイシインダネ、スイートポテトッテヤツ。タノシミダナー」
嫉妬で渦巻いている心を平静に保つため、僕は遠くを眺めた。
眺め……
眺……
……
……チッ
そんなに好きなら、あいつらの口いっぱいに『すいーとぽてと』ってやつを詰め込んでやろうかな……
…………間違いなく、返り討ちにあうけど。
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