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異母弟が……

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「で、話を聞こうか?」

 仕事用のデスクで両手を組み、穏やかに微笑む義父さま。

 今、執務室にいるのは義父さまと僕、ディールの3人だ。

「はい。本日、ファンレー・シーメスと会い、信頼するに値する人物だと僕は判断いたしました。よって、シーメス家への援助をすることに決めました」

 まず、結論。義父さまに僕の出した答えを報告する。

「本来なら、ファンレー本人が義父さまにご挨拶を申し上げなくてはいけないのですが……えっと……その……寝てしまいまして……」

 クスッと笑った義父さまは、手元にあった紅茶に口をつける。

「まぁ、いいよ。寝かせてあげなさい。ずっと不安で眠れなかったんだろう。で、ミカエル、君の計画を聞こうか」
「はい。まず、領地を担保に借金の返済を我が家がします。もちろん、何年かかっても、返してもらうつもりです」

 義父さまが公爵家当主の顔になる。
 笑顔が消え失せ、黙って、僕を見続けた。
 その鋭い視線に、一瞬、自分の選択に自信がなくなり、おくしてしまう。

 そう、この国、トップクラスの公爵家の当主は、ただただ優しいだけの人ではない。
 今、この瞬間も僕の選択が、アルフォント家の当主として相応しいかを判断している。

 僕は自分を奮い立たせ、続きを述べた。

「そして、領地のテコ入れをします。あの領地では、我が家への借金返済もままなりませんから。もちろん、僕も一緒に考えていくつもりですが、あくまで、シーメス家の領地。ファンレーに責任を持たせます。それを踏まえて、当主教育と領地経営の相談などをファンレーにしていだだける方を探します。僕はまだまだ勉強中の身ですし、シーメス家の事につきっきりというわけにもいきませんので」

 一気に話し終え、いつの間にか緊張して強張っていた肩をゆっくりおろす。
 今まで、厳しい顔つきで聞いていた義父さまが頬を緩ませ、執事の名を呼んだ。

「ディール」
「はい。ファンレー様を教育していただくに、適任者を何名か絞っております。その中でも、ラウザー伯爵様などはいかがでしょう。人望、能力、財力、すべてにおいて申し分ない方です。ご令息が一人前になられ、今はのんびりされておりますが、世話好きで、ファンレー様の境遇にも同情されております。きっと力を貸して下さるでしょう。ラウザー家はアルフォント家の分家。しかも、分家の中でもアルフォント家への忠義は1位2位を争うほど。最適かと……次の候補は……イントレール子爵様ですね。子爵は……」

 すらすらとディールの口からファンレーの教育係候補の名前が出てくるのを僕は呆気に取られて聞いていた。

 義父さまがにっこり笑う。

「なにか、質問はあるかい?」
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