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異母弟が……
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しおりを挟むファンレーを僕のベッドに運び終えたトーマスが義姉さまと僕のカップに紅茶を注いでいた時、部屋の外から玄関ホールにむかう使用人達の足音が聞こえてきた。
いち早く反応したトーマスはチラリと窓の外を見て、僕に報告する。
「公爵様がお戻りです」
「そうだね」
今頃、執事のディールからファンレーが来た事の報告を受けているだろう。
屋敷内が落ち着くのを待ち、僕は立ち上がった。
寝室にむかって歩き出すと、義姉さまが僕の手を握り、首を横に振る。
「ファンレーは寝かせてあげよ?」
義姉さまの提案に困惑し、僕は考える。
この先、ファンレーはアルフォント家に多大なる支援を受けるのだから、やはり何をおいてもアルフォント家当主に挨拶に行くべき……
「あんなによく眠っているんだもの。お父さまには私から言っておくから。ね? ね?」
顔の前で両手を合わせ、少し潤んだ瞳で見つめる義姉さまのお願いをこの僕が無下にできるわけもなく、根負けしてしまう。
ずるいよ……そんなにかわいくお願いされたら、言うこと聞くしかないじゃん……
「…………義姉さまがそこまで言うのなら、わかった。じゃあ、僕は義父さまに報告に行くけど……トーマス、ファンレーをお願い。義姉さまもありがとう。部屋に戻る?」
「でも……ファンレー、1人は寂しいんじゃ……」
「大丈夫。トーマスがいるし。一緒に出よう」
多少、強引ではあるものの、義姉さまとファンレーを2人にしたくなくて、にっこり笑顔で「さぁ、行こ」と腕を引っ張った。
もう! ファンレーの事ばっか!
義姉さまはファンレーに甘いよ。
今日、会ったばかりなのにさ……
モヤモヤした気持ちを抱えながら、義姉さまの腕を掴み、スタスタ歩く僕。
いや、これは嫉妬じゃないぞ……その、なんていうか……ただの感想だからね!
なんとなく自分に言い訳をしながら、義姉さまを部屋まで送り、義父さまの執務室にむかう為、足を早めた。
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