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蜂蜜を……
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しおりを挟む自室に戻ると、ハミルトン家から帰ってきたトーマスが頭を下げ、僕を迎えてくれる。
義姉さまの件……無事に終わったみたいだな。
僕がこんなに疲労困憊なのに、義姉さまと楽しくお茶していたなんて、バードめ、許すまじ。
「お帰りなさいませ。ミカエル様」
「ただいま。トーマスもお疲れ様。早速だけど報告を」
部屋の奥にある仕事用のデスクに向かい、書類を眺めながら椅子に座る。
「まず、蜂蜜ですが、最高品質のものだと思われます。クラリス様も気に入られたようです。暫くは少量しか仕入れられないそうですが、いずれは……という感じです。ただ、問題点もありまして、質が良すぎるものゆえ、かなり値が張りますので、ターゲットが絞られます」
試食してきた蜂蜜について、スラスラと的確に報告するトーマスの言葉を聞きながら、蜂蜜の詳細が書かれた書類に確認のサインを入れる。
「なるほど……わかった。蜂蜜はただでさえ希少だし、高値がつくのはしょうがないかな。ターゲットは上流階級……今の販路でも流せそう……いや、すぐ大量に用意できないなら、ニッチなところからじわじわ売り出すのもありだね。少量なら少量の売り方がある。蜂蜜の価値を更に高めよう。新しい販路を探してみようか」
「かしこまりました……調べておきます」
「トーマス、義姉さまの事もありがとう。今日は疲れたでしょう? さがっていいよ」
今日はバードから義姉さまを守る。という普段とは違う仕事をこなし、疲れたんじゃないかな。
トーマスのことだから、しっかり守ってくれたと思うし。
「あの……」
「ん? なに?」
珍しく歯切れの悪い口調で報告を続けるトーマスに胸の奥がザワッと騒ぐ。
「ええっとですね……クラリス様ですが……」
「えっ? 滞りなく終わったんだよね?」
「それが……」
それが? えっ? ちょっと待って。
トーマスがいたから、何事もなかったでしょ?
えっ? えっ? えっ?
まさか……まさかバード、義姉さまに手を出したとか!?
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