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王宮で……

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 僕は報告書を机に置き、顔を上げた。

「今のところ、菓子事業は順調だね。なにか問題が起こったら、すぐに報告して。義姉さまを悩ませたくないから。ああ、あと、今日は義姉さまの事、よろしくね」
「承知いたしました。ミカエル様の想い人、必ずやお守り致します」
「あー、まー、うん、よろしく」

 昔から応援してくれているトーマスは心得てますと頷くと、にっこり笑う。

 なんかね、そうはっきり言われるとさ、照れるんだよね……うん。

「えっ……と、取り敢えず、僕の方が先に出るし、出掛ける準備を」
「かしこまりました」

 トーマスはテキパキと準備を始め、メイド達にあれこれと指図をする。


 今日、義父さまと僕は国王様から直々にお茶の招待を受けた。

 国王様が臣下をお茶に誘う……これは密談を意味している。
 僕も招待されたという事が引っかかるけど、公にはしたくない話をする為に呼ばれたのは確実。

 でも、こちらとて渡りに船。
 僕からも国王様に願い出たい話がある。

 もちろん1番は義姉さまの婚約破棄。

 これは、正直難しいだろうな。本人達からの願い出がないと。
 義姉さまはともかく、アルベルトは死んでも願い出ないだろうし。
 あの策士であるジェスターすら手を焼いているんだから。

 そして、もう1つ、貿易権。

 他国と貿易をする権利。
 貿易権は、昔、領地が少ない貴族に与えられた為、莫大な領地を持っているアルフォント家には与えられなかったと聞いた。

 それ以降は、領地関係なく貿易権を取得できるようになったけど、国内事業や領内の事で忙しく、他国との貿易を必要としなかったアルフォント家は、わざわざ貿易権を手に入れる必要はなかった。

 が!

 ここにきて、僕は貿易権が必要となる。
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