1番近くて、1番遠い……僕は義姉に恋をする

閑話 王宮魔道士長の多忙な日常……但し、妹優先（シスコンともいう） 〜ザラ視点〜

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「ザラ様、クラリスです」

　直属の部下であるレイモンドから、書類を手に報告を受けていた時だった。

　机の上に3つも書類の山ができており、この書類を燃やしてしまおうかと、密かに思ってしまうくらいに多忙を極めていた僕は、ノックの音に「今度はなんだ？」とペンを折りそうになる。

　が、扉の外から聞こえたのは、クラリスの声。

　思わず口角が上がってしまったところを見られてしまい、レイモンドが目を見開く。
　僕は咳払いをし、書類を確認しながら、レイモンドに問いかけた。

「報告は終わりですか？」
「はい。以上です……クラリス・アルフォント嬢ですか？」
「そうですが。なにか？」
「いえ、私、クラリス嬢にお会いした事がなかったもので……SSクラスのご令嬢というのが珍しくて、王宮魔道士の中でも常に話題に……」

　クラリスが話題にあがってる？
　しかも常に？

　レイモンドに冷たい視線を送り、僕は問う。

「どのような話題になっているのですか？」

　普段、必要最低限の事しか話さない僕が聞き返した事に驚きつつも、レイモンドは冷静な口調で話し始めた。

「いえ、そんな大した話は……将来、王宮魔道士になるか……とか、将来の王子妃だからムリだろう……とか、可愛いのかな……とか……」

　ふん……まぁ、最初の2つはわからないでもない。
　SSクラス魔道士は貴重な存在。是非とも王宮魔道士になって欲しいのだろう。
　だが、今は王子の婚約者という立場。
　王宮魔道士になるのは難しい。

　王宮魔道士達がクラリスの将来を気にするのはわかる。

　だが、なんなんだ、最後の「可愛いのかな」っていうのは？