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仕事で……

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 義姉さまは小さく「あっ」と声を漏らし、顔をカッと赤く染め、下をむく。僕もなんだか照れくさくなって、視線を下げた。

「ご、ごめんね。えっと……」
「あー……でも、今のは僕が言い出しちゃったから……」

 僕の手から義姉さまが食べた……しかも食べかけ……

 今の出来事が頭の中で反芻はんすうされ、つい、ボソリと心中を吐露してしまう。

「僕も義姉さまの手から食べたいな……」

 少し驚いた様子で、義姉さまは更に顔を赤らめ「……う、うん。はい」と手にしていたショートブレッドを恥ずかしそうに差し出す。

 僕は照れながら、口を開け、一口食べた。

 義姉さまの手から食べたショートブレッドは、さっきのより数段美味しくて、大事に大事に噛みしめる。
 幸せの味が口いっぱいに広がった。

「あのさ、何してんの?」
「クラリス、お前なぁーー」

 ああ、この幸せの時間を邪魔するいつもの声がする。

 誰かなんて声でわかるけど、まぁ、一応確認の為、げんなりしながら声の主を見る。

 もう……なんで2人は、いつもくるのさ。

 侍女のセリナによると、今朝、連絡がきていて、到着したら部屋に通すよう、義姉さまに指示されていたとの事。

 連絡って……本当に油断も隙も無い。

「あ、いらっしゃいませ」

 義姉さまが2人に微笑みかけ、2人はお互いを横目でじっと見ると、同時に指を差しあった。

「なんで、ジェスターもいるんだ?」
「なんで、アルベルトがいるの?」

 それはこっちの台詞だっ。
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