111 / 298
仕事で……
5
しおりを挟む
「お待たせしました」
バードが席に着き、すぐさま、僕はアルカイックスマイルで説明をする。
「義姉から事情は聞きました。この菓子事業は、我が家でも力を入れていきたい事業ですので、僕も携わります。なにかありましたら義姉ではなく、僕にご連絡を」
「あら……ただでさえミカエルは忙しいのに……私が聞いて、報告でも……」
「いいえ。義姉さま、僕が窓口になりますから」
これだけは、譲れない。
義姉さまに任せたら、いつバードに惚れられるか……って、もう手遅れじゃん!!
僕が横槍を入れたからか、バードは口だけが笑いの形を取っており、緑の瞳からは『邪魔だなこいつ』と思っている事がありありと伝わってくる。
僕は肩を落とし、頭を抱えた。
ああ……間に合わなかった……
「とにかく! バード様との窓口はすべて僕が請け負います。よろしいですよね? バード様」
「もちろんですよ。アルフォント家次期当主のミカエル様とのビジネス、何の不満がございましょう」
にっこりと手を差し出すと、バードも満面の笑みを浮かべる。
握手を交わしたが、お互い力いっぱい握り合い……
「まぁ、2人が気が合いそうで良かったわ。バード様、今後ともよろしくお願いします」
義姉さまはニコニコと僕達の握手を見ている。
相変わらずの鈍感さだけれど、まぁ、いい。
ひとまず、バードの事は手を打った。
それにしても……
3日留守にしただけで、恋敵が減るどころか、増えていく……って、なんで?
僕は上機嫌で鼻歌を口ずさんでいる義姉さまを盗み見ては、今後、留守にする時も対策を練らなきゃなぁ……とぼんやり考えながら、こっそりと溜息をついた。
バードが席に着き、すぐさま、僕はアルカイックスマイルで説明をする。
「義姉から事情は聞きました。この菓子事業は、我が家でも力を入れていきたい事業ですので、僕も携わります。なにかありましたら義姉ではなく、僕にご連絡を」
「あら……ただでさえミカエルは忙しいのに……私が聞いて、報告でも……」
「いいえ。義姉さま、僕が窓口になりますから」
これだけは、譲れない。
義姉さまに任せたら、いつバードに惚れられるか……って、もう手遅れじゃん!!
僕が横槍を入れたからか、バードは口だけが笑いの形を取っており、緑の瞳からは『邪魔だなこいつ』と思っている事がありありと伝わってくる。
僕は肩を落とし、頭を抱えた。
ああ……間に合わなかった……
「とにかく! バード様との窓口はすべて僕が請け負います。よろしいですよね? バード様」
「もちろんですよ。アルフォント家次期当主のミカエル様とのビジネス、何の不満がございましょう」
にっこりと手を差し出すと、バードも満面の笑みを浮かべる。
握手を交わしたが、お互い力いっぱい握り合い……
「まぁ、2人が気が合いそうで良かったわ。バード様、今後ともよろしくお願いします」
義姉さまはニコニコと僕達の握手を見ている。
相変わらずの鈍感さだけれど、まぁ、いい。
ひとまず、バードの事は手を打った。
それにしても……
3日留守にしただけで、恋敵が減るどころか、増えていく……って、なんで?
僕は上機嫌で鼻歌を口ずさんでいる義姉さまを盗み見ては、今後、留守にする時も対策を練らなきゃなぁ……とぼんやり考えながら、こっそりと溜息をついた。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?
ルイス
恋愛
「アーチェ、君は明るいのは良いんだけれど、お淑やかさが足りないと思うんだ。貴族令嬢であれば、もっと気品を持ってだね。例えば、ニーナのような……」
「はあ……なるほどね」
伯爵令嬢のアーチェと伯爵令息のウォーレスは幼馴染であり婚約関係でもあった。
彼らにはもう一人、ニーナという幼馴染が居た。
アーチェはウォーレスが性格面でニーナと比べ過ぎることに辟易し、婚約解消を申し出る。
ウォーレスも納得し、婚約解消は無事に成立したはずだったが……。
ウォーレスはニーナのことを大切にしながらも、アーチェのことも忘れられないと言って来る始末だった……。
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
【完結】精神的に弱い幼馴染を優先する婚約者を捨てたら、彼の兄と結婚することになりました
当麻リコ
恋愛
侯爵令嬢アメリアの婚約者であるミュスカーは、幼馴染みであるリリィばかりを優先する。
リリィは繊細だから僕が支えてあげないといけないのだと、誇らしそうに。
結婚を間近に控え、アメリアは不安だった。
指輪選びや衣装決めにはじまり、結婚に関する大事な話し合いの全てにおいて、ミュスカーはリリィの呼び出しに応じて行ってしまう。
そんな彼を見続けて、とうとうアメリアは彼との結婚生活を諦めた。
けれど正式に婚約の解消を求めてミュスカーの父親に相談すると、少し時間をくれと言って保留にされてしまう。
仕方なく保留を承知した一ヵ月後、国外視察で家を空けていたミュスカーの兄、アーロンが帰ってきてアメリアにこう告げた。
「必ず幸せにすると約束する。どうか俺と結婚して欲しい」
ずっと好きで、けれど他に好きな女性がいるからと諦めていたアーロンからの告白に、アメリアは戸惑いながらも頷くことしか出来なかった。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる