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仕事で……

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「お待たせしました」

 バードが席に着き、すぐさま、僕はアルカイックスマイルで説明をする。

義姉あねから事情は聞きました。この菓子事業は、我が家でも力を入れていきたい事業ですので、僕も携わります。なにかありましたら義姉ではなく、僕にご連絡を」
「あら……ただでさえミカエルは忙しいのに……私が聞いて、報告でも……」
「いいえ。義姉さま、僕が窓口になりますから」
 
 これだけは、譲れない。
 義姉さまに任せたら、いつバードに惚れられるか……って、もう手遅れじゃん!!

 僕が横槍を入れたからか、バードは口だけが笑いの形を取っており、緑の瞳からは『邪魔だなこいつ』と思っている事がありありと伝わってくる。

 僕は肩を落とし、頭を抱えた。

 ああ……間に合わなかった……

「とにかく! バード様との窓口はすべて僕が請け負います。よろしいですよね? バード様」
「もちろんですよ。アルフォント家次期当主のミカエル様とのビジネス、何の不満がございましょう」

 にっこりと手を差し出すと、バードも満面の笑みを浮かべる。
 握手を交わしたが、お互い力いっぱい握り合い……

「まぁ、2人が気が合いそうで良かったわ。バード様、今後ともよろしくお願いします」

 義姉さまはニコニコと僕達の握手を見ている。

 相変わらずの鈍感さだけれど、まぁ、いい。
 ひとまず、バードの事は手を打った。

 それにしても……

 3日留守にしただけで、恋敵が減るどころか、増えていく……って、なんで?

 僕は上機嫌で鼻歌を口ずさんでいる義姉さまを盗み見ては、今後、留守にする時も対策を練らなきゃなぁ……とぼんやり考えながら、こっそりと溜息をついた。
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