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別宅にて……
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親友の登場で緊張感が解かれ、気が抜けた声を出してしまう。
「なんで、いるんだよ……」
「逆に、なんで教えてくれなかったんだよ!」
「お前、今日は公務があるって言っていただろう?」
「だとしても、皆で出掛ける事、教えてくれてもいいだろ!」
拗ねた子供のようにプイッと横を向くアルベルトを見て、僕は笑ってしまった。
ああ、そうか。
この旅行の話は義姉さまのクラスでした話だから、アルベルトは知らなかったんだ。僕はもちろん言わないしね。
「……に、しても、お前、王子が護衛騎士もつけずにこんな王都の端まで……」
ジェスターが言い終わらない内に、うんざり顔したアルベルトはボソリとつぶやく。
「護衛騎士、いるぞ」
「えっ? 隠れてるの?」
「いんや。お前ら、さっきから、背後、取られてるぞ」
僕とジェスターが目を見開くと、首筋に冷たい物が当たり、冷や汗が頬を伝う。
僕達……特にジェスターの剣術は一級品だ。僕だって、自分で言うのは何だけど、結構、強い。
1人ならともかく、僕ら2人の背後を取り、首筋に剣を当てるなんて……ある人物しか思い浮かばない。
剣を突きつけられながら、アルベルトを睨みつけると、アルベルトはバツの悪そうな顔をする。
お前っ……エドワード、引き連れてくるなよっ。
剣を収めたエドワードは、ニカッと笑い「何やってんだ。お前ら」と苦笑した。
「なんで、護衛騎士がエドワードなの!」
「何やってんだよ」
「知らねーよ。付いてきちゃったんだよ!」
わが国、最強の騎士がオマケみたいに簡単に付いてきちゃうもんなの!?
僕とジェスターは小声で抗議をし、アルベルトを更に睨みつける。
どう考えても、アルベルトが余計な奴を連れてきちゃったわけで!
「お前ら、簡単に後ろを取られるなんて、まだまだだなぁ。ジェスター、ミカエル、剣術の授業、補習な」
「げっ!」
いやいや、今は授業中じゃないでしょう!?
しかも、相手も悪すぎ……
「弱い奴には、クラリスはやらん」
やらん……って、なんの権限なのさ!
「なんで、いるんだよ……」
「逆に、なんで教えてくれなかったんだよ!」
「お前、今日は公務があるって言っていただろう?」
「だとしても、皆で出掛ける事、教えてくれてもいいだろ!」
拗ねた子供のようにプイッと横を向くアルベルトを見て、僕は笑ってしまった。
ああ、そうか。
この旅行の話は義姉さまのクラスでした話だから、アルベルトは知らなかったんだ。僕はもちろん言わないしね。
「……に、しても、お前、王子が護衛騎士もつけずにこんな王都の端まで……」
ジェスターが言い終わらない内に、うんざり顔したアルベルトはボソリとつぶやく。
「護衛騎士、いるぞ」
「えっ? 隠れてるの?」
「いんや。お前ら、さっきから、背後、取られてるぞ」
僕とジェスターが目を見開くと、首筋に冷たい物が当たり、冷や汗が頬を伝う。
僕達……特にジェスターの剣術は一級品だ。僕だって、自分で言うのは何だけど、結構、強い。
1人ならともかく、僕ら2人の背後を取り、首筋に剣を当てるなんて……ある人物しか思い浮かばない。
剣を突きつけられながら、アルベルトを睨みつけると、アルベルトはバツの悪そうな顔をする。
お前っ……エドワード、引き連れてくるなよっ。
剣を収めたエドワードは、ニカッと笑い「何やってんだ。お前ら」と苦笑した。
「なんで、護衛騎士がエドワードなの!」
「何やってんだよ」
「知らねーよ。付いてきちゃったんだよ!」
わが国、最強の騎士がオマケみたいに簡単に付いてきちゃうもんなの!?
僕とジェスターは小声で抗議をし、アルベルトを更に睨みつける。
どう考えても、アルベルトが余計な奴を連れてきちゃったわけで!
「お前ら、簡単に後ろを取られるなんて、まだまだだなぁ。ジェスター、ミカエル、剣術の授業、補習な」
「げっ!」
いやいや、今は授業中じゃないでしょう!?
しかも、相手も悪すぎ……
「弱い奴には、クラリスはやらん」
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