72 / 298
スプリングティーパーティーで……
2
しおりを挟む学園長が「ティーパーティーを開催するにあたって~」から始まり「ティーパーティーの歴史」をずっとずっと話し続けていた。
相変わらずの話の長さに、皆の顔がゲッソリと疲れ切っているのも気にならないのか、気がついてないのか……
早く終わらないかな……と思いながら、何度もポケットに手を入れ、きれいに包まれた袋を確認する。
うん……準備万端。
2曲目だったよね。
義姉さまを呼び出して……あの2人……アルベルトとジェスターに見つからない様に言わなきゃな。
大丈夫……上手くいく……きっと、おそらく、たぶん……
僕は自分に何度も言い聞かせる。
もちろん、まじないを全面的に信じているわけじゃない……子供騙しだとも思うけど……思うけどさ……
やっと、学園長の話が終わり、ホッとし、各々お茶を飲み始めた。
ティーパーティーのメインである珍しい茶葉をご令嬢達が、楽しそうに選んでいる姿を横目で見ながら、義姉さまの姿を探していると、ご令嬢に囲まれ、あたふたしているアルベルトの姿が目に入り、僕はクスリと笑ってしまう。
そのまま囲まれていてね……一生。
えっと……義姉さまは……
「アルフォント様!」
女性の声に振り返り、7、8人のご令嬢がモジモジしている姿が目に入る……えっ……と……嫌な予感。
「あちらで一緒にお茶を……」
「ああ、すみません。美しいご令嬢方。僕は先約がありまして……」
にっこり笑い、ご令嬢達が恥ずかしくならないよう、丁重に断りの言葉を口にすると、彼女達は頬を赤く染め、うつむき加減だった顔を上げた。
「きゃあぁぁ、アルフォント様が、私の事、美しいですって」
「あら、私に向かっておっしゃったのよ」
「いえいえ、アルフォント様の目は私を見てたわ!」
誰に美しいと言ったかで、なぜか、きゃあきゃあ言い始めたご令嬢達に当惑し、僕は思う。
ソコジャナイ…………
伝えたい事は、そこじゃない。
先約があるという言葉は聞いていたのかな? ご令嬢方……
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
47
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる