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スプリングティーパーティーで……
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しおりを挟むあれから、1ヶ月がすぎようとしている。
休日の今日、僕は社交倶楽部の集まりに参加していた。
今回は上流階級貴族の次期当主の集まり。
この倶楽部に参加できる貴族は一握りであり、情報交換の場であると同時に、将来のパイプ作り、横の関係を築く為の集まりだ。
デュア侯爵子息と談笑していると、ふと思い出したように、彼が問いかける。
「そういえば、もうすぐ学園でティーパーティーじゃないですか?」
「ああ、そうですね。そんなイベントがあったような……1週間後かな」
入学式に発表されたイベントを思い出しながら、そういえば、学園全体でスプリングティーパーティーがあったな……と頷いた。
デュア侯爵子息……ヘンリー様は、この春、学園を卒業した先輩だから学園の事にも詳しい。
「面白い話があるんですよ」
「面白い話?」
「はい。ミカエル様は学園に意中のご令嬢がいますか?」
「あ……え? なにを突然……」
あまりに唐突の質問に、ポーカーフェイスもできず、かぁと赤くなる。
「失礼。もし、学園にいるのなら、ティーパーティーにリボンをプレゼントすると、想いが叶うらしいですよ」
「リボン?」
「はい、リボンです。まぁ、これは男子生徒にのみ受け継がれている噂というかまじないというか……」
「へぇ……」
僕は興味深く相槌を打ち「リボンかぁ……」とつぶやくと、ヘンリー様は真面目な顔をズイッと寄せ、説明を続けた。
「ただし、条件があります。女性に絶対に話してはいけません。絶対です。これは、男子生徒のみに受け継がれているまじないです。あと、渡す時間が決められています。パーティーの始まりと同時に演奏が流れますので、2曲目の演奏が流れている間に渡さねばいけません。そして、できるだけ、こっそりと……しかも、講堂内で……これが一番難しい」
何かを思い出したのか、クスクス笑うヘンリー様。
たしかに……講堂内でこっそりは……厳しいな。
「あと、渡す時は「はい、プレゼント」と伝えながら、ご令嬢の右手に渡すのです」
「いろいろ条件があるんですね」
僕もつられて、クスクス笑ってしまう。
「意中の令嬢と恋仲になれるのですから、多少の努力はね」
ヘンリー様は僕に軽くウィンクをする。
「まぁ、あくまでも、まじないですから、必ずしも恋仲になれるわけでは、ありませんけど」
「で、ヘンリー様は成功されたんですか?」
「ああ、はい、そうですね。僕の恋人はその時、リボンを渡したお相手です」
「へぇ……」
いいなぁ……恋人かぁ。
「ミカエル様とお近づきになりたいご令嬢は、山のようにいますから、そんな、まじないに頼らなくても、意中のご令嬢と恋仲になれると思いますが……」
「いえいえ、滅相もない」
悪戯っぽく笑うヘンリー様に苦笑しながら答えるも、頭では、そのまじないの事を考えていた。
魔法じゃなく、まじない……って随分、古典的。
だけど……
そっか……まじないかぁ……ふぅん……そうか……
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