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どうなっているのか……
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しおりを挟むベリル伯爵のご令嬢、ローザ・ベリル嬢。
社交界で噂になっている才色兼備
加えて、ベリル家はシトリン家の右腕であり、シトリン家に橋渡しをして欲しい貴族達が注目しているご令嬢でもある。
僕の予想通り、彼女は男に興味がなく……
「とある貴族のお茶会に招かれた時、クラリスを見かけ……屋敷に迷い込んできた猫と戯れていた姿を見て、まぁ、その一目惚れしたらしい……」
ジェスターが以前、ローザ嬢から宣戦布告をされた時に聞いた話を僕達に説明し、僕は顔をぼっと赤くした。
その状況に覚えがある。
あれはたしか……ランチェスター家のお茶会だった。
うららかな春の1日。
庭園で開かれた大規模なお茶会に義姉さまと僕は招待された。
かなりの貴族が参加していた為、全員を把握するのは難しかったが、それなりに知り合いも多く、仕事関係でお世話になっている方々と挨拶や雑談をしていた間に義姉さまを見失ってしまった。
僕は周りを見渡し、少し喧騒から離れた庭園の端っこに向かって歩き始める。
伊達に何年も義姉弟をしているわけじゃない。
義姉さまが行きそうなところくらい、だいたいわかるし。
案の定、庭園の芝生に座り込んでいて、膝の上には猫を抱いていた。
たぶん、猫を追いかけてきたんだろうな。
「義姉さまらしいや……」
僕は立ち止まり、クスリと笑い、猫と戯れている義姉さまに見とれていた。
風が吹き、周りの木々が揺れると、猫は驚いたのかトトッと走り去って行き、義姉さまはふふっと笑い、立ち上がる。
「義姉さま!」と僕が呼ぶ声に、ぱぁっと顔を明るくし、嬉しそうに走ってきた。
「ねぇ、聞いて。今ね、かわいい猫がいたの!」
はしゃぎながら、腕を組んで、ニコニコと僕を見上げる。
その密着具合に……えっと……柔らかいものが……僕の腕に……その……当たって……
「……う、うん」
僕は、腕に当っている胸に意識を全て持っていかれ、隠しようがないくらい顔が赤くなってしまう。
「あれ? ミカエル……熱でもあるの?」
僕の顔の赤さに気がついた義姉さまは腕を離し、正面からじっと見る。
心拍数の高まりは止められないけど、僕は少しホッとして、深呼吸をした。
「大丈夫……だよ。義姉さま」
必死で平静を装い、精一杯、微笑む。
「そう?」
義姉さまは首を傾げると、手のひらを僕のおでこに当てて「う~ん、熱はないみたいだけど……」と小さくつぶやき、僕は女性らしい手の柔らかさに、またも顔が赤くなり、口ごもってしまった。
「今日は早めに帰ろっか」と優しく微笑む義姉さまに、思考が停止してしまった僕は、ただただ黙って頷くだけしかできなかった。
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