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エドワードとザラと……〜クラリス視点〜

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「どうした。ニヤニヤして」

 お兄ちゃん達のあまりのかっこよさに、自然とニヤけてしまう私のほっぺたを、エドワード様こと天兄がからかうように人差し指で何度も押し当てる。

「もお! 天兄、ほっぺたプニプニしないで! あ、そうだ。雪兄、魔力制御装置、ありがとう。ピアス型がかわいくて気に入っちゃった」
「……まぁ、ご令嬢だと聞いてたしね。似合ってるよ」

 お礼を伝えると、雪兄は微笑みながら、私の耳に取り付けたピアス型の魔力制御装置を触り「うん」と頷いた。

「これは僕の魔法でしか外せないから、調子が悪かったりしたら、すぐ言いなさい。この僕が作ったから、そんな事にはならないと思うけど」

 平然な顔でサラッと自信に溢れた発言をする雪兄を、私は口を開けて見上げてしまう。

 ほわぁぁ……さすが、王宮魔道士長……

「我が弟は稀有けうの天才と呼ばれているだけあるねぇ。美咲、気がついたか? 雪斗、今、お前に守護魔法かけたぞ」

 天兄はおかしそうにククッと笑い、部屋の奥にある革張りのソファーにドスンと腰掛けた。

 へっ? 守護魔法?

 ポカンとしている私に「念の為だよ、念の為」と私の頭をクシャと撫でる雪兄。

「あ、ありがとう。雪兄……」
「美咲はSSクラスの女の子だし。僕がこの国に結界張ってるから、何かあればすぐわかるけど……危険は事前に防げるなら、防いだほうがいい」
「ほんっと、お前、昔から過保護だよなぁ」

 笑いをこらえているような口調で天兄がちゃちゃを入れると、雪兄はふっと鼻で笑う。

「兄さんほどじゃない。先日、魔道士誘拐を生業なりわいにしている集団、1時間で再起不能なほどに叩きのめしてきたの、誰だっけ? 相当大きな集団だって聞いたけど? 100人以上はいたんじゃないかな」
「あんなのをのさばらしていたら、美咲が危ないじゃないか! 壊滅させとかないとな」
「ほら。兄さんのほうが過保護だ」

 軽口を叩きあうのは、前世と変わらないなぁ。
 2人とも、じゅうぶんシスコ…………えっ? ちょっと待って? 今、物凄い情報が日常会話のように語られませんでした?

「えっと……雪兄は、この国に……結界張ってるの?」
「ああ、まぁ、造作ぞうさもない」

 はあ…………王宮に結界……どころじゃなく、国ごとかい!
 意味わからないんですが。

「……天兄は、100人以上の集団、壊滅させたの……?」
「あんな雑魚ザコ、俺の出る幕じゃないけどな。美咲が狙われる可能性が1パーセントでもあるのなら、俺の手で壊滅させとかなきゃ、気が済まん」

 後頭部で手を組み、ソファーに足を投げ出した天兄は、少し面倒くさそうに声を出す。

 はあ…………誘拐集団が雑魚ザコ
 その言い方……相当、暴れたんだね……

 そりゃあ、我が国の平和はこの2人が担ってる……って言われるはずだわ……

「そんなことより、美咲。万が一、万が一だぞ? もし好きな男ができたら言うんだぞ? 俺が見極めてやる」
「僕より魔力のない男には大事な妹をやらない」
「俺より弱いやつにお前を任せる事はできない」

 えっ? なにそれ!?

 私は動きを止め、お兄ちゃん達の言葉を頭の中でリピートさせる。
 お兄ちゃん達は、さも当然だろ?って顔をしてるけど……

 なに、その条件!
 厳しすぎっていうか、いないでしょ! そんな人!!
 かたや国に結界を張って、かたや誘拐集団を1時間で壊滅……

 ムリムリムリムリ、ムリーーーーー!

 もぉ! シスコンぶりが前世よりパワーアップしてますけどっ!
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