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エドワードとザラと……〜クラリス視点〜
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長兄 森宮天
次兄 森宮雪斗
末っ子 森宮美咲
森宮家の3兄妹は近所でも評判の仲良し兄妹。
少し歳の離れた大好きなお兄ちゃん達は、共働きで忙しい両親の変わりに、たくさんかわいがってくれた。
あれは、17歳の誕生日。
秋雨が降る夕方。
傘をさしながら、ふふっと頬を緩めた私。
お兄ちゃん達、今日は早く帰ってくるって言ってたな。誕生日だから欲しかったゲームを買ってくれるって。楽しみだなぁ。
「早く、帰らなきゃ」
歩行者信号が青になったのを確認し、早足で横断歩道を渡っていた道路に、あり得ないスピードの車が1台。
周りの人の悲鳴が響き、私が横をむいた瞬間、目の前には眩しいばかりのヘッドライト。
それが、私が最期に見た光景だった。
気がついたら、この不思議な世界に生まれ、物心ついた頃から前世の記憶があり「あれ? これって漫画とかにある転生?」なんて思いつつも、私に特別な使命があるわけでもなく……普通にこの世界の子供として育ってきた。
立派な公爵令嬢として……立派……かどうかはさておき、普通に公爵令嬢としてすごしていたと思う。
その後、11歳で魔法が発現し、SSクラスに認定されてしまった私は、魔力制御装置を製作してくださったザラ様に会いにいく。
私達はそこで再会をした。
あまりにも世界観が違う為、前世の記憶があることを、お互い黙っていた状況の中、ザラ様が作ったオルゴールから日本の童謡が奏でられ、私は懐かしさのあまり口ずさんでしまった。
巷で「鉄壁のブライトン兄弟」と異名をもつほどの2人は考えられないほどの驚愕ぶりを見せ、懐かしい……この世界では、決して決して呼ぶ人がいないはずの名を呼ぶ。
「美咲か?」
と。
ご令嬢が人前で歌を口ずさんだなんて、ミカエルには呆れられちゃいそうだけど、ま、ま、それで、お兄ちゃん達と再会したわけなので……結果オーライということで。
私の口ずさんだ歌詞が間違っていて、妹だと断定したお兄ちゃん達。
ええ……間違ってたんなら、前世のうちに訂正してあげてよぉぉ。
子供の頃、結構、大きな声で歌ってたよ? 私。
「おかげで再会できたんだ。いいじゃないか」
なんて、言われたけど。
そういう問題じゃなぁぁい! ま、いいけどさぁ。
それにしても……チラリと兄達を見る。
前世でも、天兄は剣道で世界に名を轟かせていたし、雪兄は、各研究機関からお声がかかるほどの天才だった。
前世でも自慢の兄達は、今生でも、すごい事になっている。
1人は王宮騎士トップクラス。騎士団長の座を面倒くさいと言う理由で、断っているらしい。
もう1人は、言わずと知れた最強の魔道士。
なんですか? このステータス。
何なんですかぁぁ!?
おまけに、2人ともめちゃくちゃ格好いいんですけど!
本当に私のお兄ちゃん達、凄くない?
次兄 森宮雪斗
末っ子 森宮美咲
森宮家の3兄妹は近所でも評判の仲良し兄妹。
少し歳の離れた大好きなお兄ちゃん達は、共働きで忙しい両親の変わりに、たくさんかわいがってくれた。
あれは、17歳の誕生日。
秋雨が降る夕方。
傘をさしながら、ふふっと頬を緩めた私。
お兄ちゃん達、今日は早く帰ってくるって言ってたな。誕生日だから欲しかったゲームを買ってくれるって。楽しみだなぁ。
「早く、帰らなきゃ」
歩行者信号が青になったのを確認し、早足で横断歩道を渡っていた道路に、あり得ないスピードの車が1台。
周りの人の悲鳴が響き、私が横をむいた瞬間、目の前には眩しいばかりのヘッドライト。
それが、私が最期に見た光景だった。
気がついたら、この不思議な世界に生まれ、物心ついた頃から前世の記憶があり「あれ? これって漫画とかにある転生?」なんて思いつつも、私に特別な使命があるわけでもなく……普通にこの世界の子供として育ってきた。
立派な公爵令嬢として……立派……かどうかはさておき、普通に公爵令嬢としてすごしていたと思う。
その後、11歳で魔法が発現し、SSクラスに認定されてしまった私は、魔力制御装置を製作してくださったザラ様に会いにいく。
私達はそこで再会をした。
あまりにも世界観が違う為、前世の記憶があることを、お互い黙っていた状況の中、ザラ様が作ったオルゴールから日本の童謡が奏でられ、私は懐かしさのあまり口ずさんでしまった。
巷で「鉄壁のブライトン兄弟」と異名をもつほどの2人は考えられないほどの驚愕ぶりを見せ、懐かしい……この世界では、決して決して呼ぶ人がいないはずの名を呼ぶ。
「美咲か?」
と。
ご令嬢が人前で歌を口ずさんだなんて、ミカエルには呆れられちゃいそうだけど、ま、ま、それで、お兄ちゃん達と再会したわけなので……結果オーライということで。
私の口ずさんだ歌詞が間違っていて、妹だと断定したお兄ちゃん達。
ええ……間違ってたんなら、前世のうちに訂正してあげてよぉぉ。
子供の頃、結構、大きな声で歌ってたよ? 私。
「おかげで再会できたんだ。いいじゃないか」
なんて、言われたけど。
そういう問題じゃなぁぁい! ま、いいけどさぁ。
それにしても……チラリと兄達を見る。
前世でも、天兄は剣道で世界に名を轟かせていたし、雪兄は、各研究機関からお声がかかるほどの天才だった。
前世でも自慢の兄達は、今生でも、すごい事になっている。
1人は王宮騎士トップクラス。騎士団長の座を面倒くさいと言う理由で、断っているらしい。
もう1人は、言わずと知れた最強の魔道士。
なんですか? このステータス。
何なんですかぁぁ!?
おまけに、2人ともめちゃくちゃ格好いいんですけど!
本当に私のお兄ちゃん達、凄くない?
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