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対面 ―たいめん― side クラリス
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しおりを挟むなに? あの見目麗しい魔道士は……ある意味危険人物なのでは? その異次元の美しさを半分……ううん、十分の一でも……いやいや、百分の一でもいいから私に分けて欲しい。
そんな事を考えていたのが伝わってしまったのか、ふいに顔を上げたザラ様と私の視線がぶつかった。
あわわわ……見すぎちゃったかも?
「ああ、噂のクラリス嬢ですね」
イケメンボイスではあるけれど、抑揚のない冷ややかな声にゾクリと私の体温が急降下する。
美人の冷たさは迫力あるなって……噂の? 今、噂って言いました? 噂って何ですかぁ!?
気になる言葉が出てきたものの(怖くて)質問する勇気がない私は、緊張を表に出さぬようニコリと笑みを作った。
ああ……前もってザラ様の事を聞いておいて良かった。心の準備ができたもの。2人には感謝。
「クラリス・アルフォントと申します。この度は魔力制御装置を作っていただき、ありがとうございました」
令嬢スマイルに完璧なお辞儀で挨拶をするも、まったく興味がないらしく、麗しいお顔はピクリとも動かない。
怖い……眉目秀麗なお顔の無表情って、想像以上に怖いんですけど。
「仕事ですから」
ザラ様は右手でパチンと指を鳴らし、魔法でテーブルと椅子を出した。座るように目で合図をすると、透明な小さな石がついたピアスをテーブルの上に置く。
「魔力制御装置です」
装置というからには多少大きさがあるものだと思っていた私は、キラリと輝く素敵なピアスに驚き、さっきまでビクついていたのも忘れて声を上げた。
「こんなに小さいのですか?」
「女性という事でしたので改良しました」
へぇ……すごい……さすが稀有の天才と呼ばれている大魔道士様。
「お気遣いいただき、ありがとうございます」
「ピアスに手を乗せてください」
「手を乗せる……ですか?」
ザラ様に指示された通り、ピアスの上に手のひらを乗せるつもりが勢いあまって、ピアスもろともテーブルを力いっぱい…………叩いてしまった。まるで、にっくき虫を倒すかのごとく。
ばぁぁぁん……といい音が室内に響き渡り、ザラ様と私の間に沈黙の冷たい風が吹いた。
あ…………コレ、たぶん、私、間違えた。
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