お仕事辞めて、推しごと解禁!

桜乃

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「じゃ、私はこれで」

 私を引っ張ってきたスタッフは、さっさと行ってしまう。

 推しと2人きりの状況……

 うぉーい、この状況、どうすんねん!!
 連れてきた責任取れやぁ!

「月子……さん?」

 きぃ君は遠慮がちに私の名前を再度呼ぶ。

「コ、コ、コンニチハ」

 冷や汗が止まらない私は視線を逸らし、調子っぱずれな声で挨拶をした。

 ぐふぉぉぉ……恥ずかしすぎるだろう!
 しかも、今の時間は「こんばんは」じゃぁ!

 セルフツッコミを心の中でしていた私に、きぃ君は当惑した樣子で会話を続ける。

「えっ? いや、だって、関係者席にいなかったし」

「アー、ソ、ソウデスネ」

「でも、来てくれたんだ。嬉しい」

 笑顔をむけられ、ぶっ倒れる寸前の私。

 お父さん、お母さん……私、今日、尊死します。
 先立つ不幸をお許しください。

「あの会場スタッフの子、月子さんがマネージャー辞めたの知らなかったのかな……」

「ミタイデスネー」

 ひぃぃぃ……緊張で声が上ずってしまう。

 今、私はビジネスモードじゃないんだよぉぉ。



 そう。

 私、五十嵐月子いがらしつきこは半年前まで葉月はづき輝良きらのマネージャーだったのだ。

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