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番外編 出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話 2

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 この国の王太子である僕、セルビオ・エドイン・ハイネシックは生まれつき体も弱く、喘息持ち。本を読むのが大好きな大人しい物静かな子供だった。


「セルビオ、お友達を作らない? あなたと仲良くなれそうな子がいるのよ」

 ある日のティータイム。あまりに引き籠もる僕を心配してか母上がにこやかに提案する。

「友達?」

 図書室で本を読んでいたい僕は少し躊躇ためらったが、ずっと部屋に籠もっていちゃダメなのも何となくわかる。

 僕は6歳。6歳とはいえ将来国王になる身。子供の頃から人脈は作るべし……と帝王学のテキストにも書いてあったし。友達はいた方がいいよね。

「公爵家のご令嬢でね、あなたと同じ年頃なの」
「ご令嬢!?」

 母上が勧める友達が女の子だとは思わず、ビックリして思わず声が裏返ってしまった。

 ……僕は知ってる。王太子の僕に紹介される女の子は、お友達と言う名の婚約者だと。この間、読んだ物語にそう書いてあったもん。

「えっと……えっと……どんな子なの?」

 なんだか照れてしまい、俯きながら母上にもじもじ聞いてみる。だって、その子は僕の将来のお嫁さんなわけで……

「とても元気な子よ。ミュリアちゃんって言うの。メリッジ公爵のご令嬢なのよ」
「ミュリアちゃん……」

 まだ見ぬ僕のお嫁さんの名を噛みしめるようにつぶや………………ん? メリッジ? あのメリッジ公爵のご令嬢って事は……

 僕は先日会ったメリッジ公爵を思い出し、呆然としてしまった。
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