鈍感令嬢に恋した時から俺の苦労は始まった

桜乃

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あの日、恋に落ちました

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 呆然と立っている1人残された俺に吹く秋風。
 
 はぁ、前にもこんな事あったなぁ……デジャヴ。

 未遂とはいえ、あの時の情景を思い出すと心臓の鼓動が大きくなる。
 ほんっとに……あいつら~~、あと数分、いや、数秒でもいい。来るのが遅かったら、クラリスに膝枕してもらえたのに。いつか、あいつらも邪魔してやる!

 でも、まぁ……
 俺は思い出す。ザラの執務室での件を。

 膝枕のことが(未遂だけど)、エドワードやザラにばれずに良かったと思おう。
 まだ、ジェスターとミカエルあいつらは知らないんだ。クラリスを手に入れる上で超強敵がいることを。
 ……に、しても、エドワードとザラはクラリスのなんなんだ? なんで、あんなことになっちまっているんだ? 

 俺は芝生に座り、花が咲き終わった少し物哀しく感じる中庭の景色を眺めていた。肌に当たるひんやりする風が俺の気持ちを引き締め、気合を入れろと言っているみたいだ。俺は背筋を伸ばした。
 
 これからも俺とクラリスの周りは邪魔され、騒がしく、一筋縄ではいかないだろう。
 あーあ、なんて困難な恋をしちまったんだ。

 秋の高い空を見上げ、クスリと笑う。

 それでも、俺は諦めない。
 絶対絶対、諦めない。
 だって、俺の人生の主役は俺だと教えてくれたのは君だから。

 俺は君が主役の人生の1番の主要人物でいたいから。
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