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11話 初の協力プレイ
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レインは誰かと同じ敵を一緒に倒すというのは初めてのことなので内心緊張していた。自分のせいでガディランに迷惑をかけないか、そんなことが頭の中を繰り返しよぎる。
「ギィァ!」
オニクモは口をガバッと開けてぐつぐつと煮立っている液体を吐き出す。ガディランは横跳びをしてその攻撃を避ける。液体が直撃した地面はジュワッと音を立てて穴が開く。
ガディランは後ろにいるレインの方を向く。
「レイン、気にしないで自由にやれ」
オニクモは刃物のような左足でガディランの頭部を的確に狙う。だがガディランは兜を被った頭を傾けてその攻撃を受け止める。
「あたま痛ぇぇ!」
だが、ガディランは右斧を敵の左足に振り下ろす。するとオニクモの左足の先っぽが綺麗に切断される。
「ギィィ!」
オニクモはガディランの目の前で毒の液体を吐き出そうとする。が、その瞬間オニクモの頭上から人が降ってきて、その際にオニクモの目を斬りつける。その正体は大剣を持ったレインだ。
「ナイスだレイン!」
ガディランは着地したレインの背中を踏み台にしてオニクモの頭上へ跳躍する。オニクモはガディランにまた毒液を吐こうとするが、レインに脚を斬られてその狙いは外れる。
「ダブルナイス!! うらぁぁぁ! 〈クレイジークロス〉!!」
赤黒い炎を纏ったガディランの二本の斧は名前通りオニクモの体をクロスする。オニクモの丸い腹部からは噴水のように内臓やら緑色の液体が噴き出ていた。グロテスクな光景に遠くから見ていたセレーネは目を瞑り、レインは口を押さえている。
「はっはっはっ! めちゃくちゃだなぁ。まだ魔物はいっぱいいる。レイン行こうぜ!」
アホみたいに笑っているガディランをレインは引き気味に見る。そんなことは気にせず、ガディランはまた斧を構えて街の中へと突っ込んでいく。レイン、セレーネ、フェルンもそれに続く。
このヒューマンの国――テラスタンス――はウェディングケーキ状の国で下層から平民、貴族、王族が暮らしている。また地下には貧民街が存在する。
魔物の侵攻は今はまだ平民街のさらに外側なので、まだ騎士やら冒険者の対応は間に合う。それよりもレインの中では誰がこの量の魔物を操作しているのかの方が気になっていた。恐らくだがその犯人は魔物や人の暴走の原因にもなっているとレインは考える。
だが今はそんなことを考えている場合ではない。レインはとりあえず逃げている人の中に友達や家族がいないかを確認しながらガディランについていく。後ろからはフェルンがセレーネを背負いながらついてきている。
「すごいな……フォレストウルフってそんなに体力あるのか?」
ちょっとした違和感を覚えたレインはまた前を向く。が、ガディランは止まっていた。
「どうしたんですか?」
レインが聞くとガディランは炎に飲まれている教会の屋根を斧で指す。
「あれを見ろ」
そこには身長およそ五メートルはある一つ目のゴリラがいた。生憎その化け物は瘴気に侵されている気配はないが、レインたちを見ると大きく跳んで着地する。
「こいつぁサイクロリラだな。魔法とか特技を使うわけじゃなく、単純な肉体だけで初心者冒険者を何百人も墓に送っているやつだ」
ガディランはそう言ってサイクロリラに負けないくらいに跳んで相手の頭上へと行く。対抗するかと思ったがサイクロリラは後ろへ避ける。この魔物は下から攻撃してくるレインに気付いたのだ。それにレインは気配を消すのに得意な〈アサシンスキル〉を使っていた。
サイクロリラは隣にある民家を抱きしめればメキメキと音を立てて家を持ち上げる。
「まさか、あいつ!」
レインは急いでハンドバッグから大盾を取り出す。
レインの予想通りサイクロリラは持ち上げた家をガディランたちに投げつけたのだ。隕石かと思うほどに投げる速度は速い。
「スキルパラディン。レディウォー……」
レインがスキルを放つ前に、なんとフェルンが投げられる家の前に立ちはだかっていた。セレーネは背中にはいない。レインたちの後ろにいる。
「ガルゥァ!!」
猛々しい遠吠えをすると、フェルンの両前足に緑色の光が宿る。
「緑……岩魔法か」レインは呟く。
フェルンは跳躍してバツ印を描くように家を切り裂くと家は木っ端微塵になって吹き飛ぶ。思いがけないフェルンの強キャラっぷりにレインとガディラン、ましてやセレーネも唖然としていた。
「アォォン!!」
またフェルンが遠吠えをすると、地面から次々とフォレストウルフに似た狼の石像が現れる。狼の石像は一斉にサイクロリラに突撃する。
サイクロリラは狼の石像たちを他愛もなく叩き潰す。だが狼の石像たちは消える時に砂煙を巻き起こしながら消えていった。無数もの狼の石像で作られた砂煙はサイクロリラの視界を遮る。
サイクロリラは辺りを警戒するが、後ろからレインがいきなり飛び出してくる。敵の背後に瞬時に回るスキル、シャドウソーを使ったのだ。
「スキルアサシン。ウィークバック」
たかが鉄のナイフでレインはサイクロリラの背中を斬ると、その傷は大剣で斬られたかのように広がっていく。その激痛にサイクロリラは「グォォ!!」と叫ぶ。
続いては正面からガディランが飛んでくる。斧には赤黒い炎が纏っているつまり……
「クレイジぃぃ!! クロォス!」を放ったのだ。
胸から脇腹までを深く切りつけられると、サイクロリラは叫びながら倒れた。
レインたちは気づいていないが、周りで戦っていた騎士や冒険者は名も無き三人の助っ人の無双にただただ唖然としていた。
「ギィァ!」
オニクモは口をガバッと開けてぐつぐつと煮立っている液体を吐き出す。ガディランは横跳びをしてその攻撃を避ける。液体が直撃した地面はジュワッと音を立てて穴が開く。
ガディランは後ろにいるレインの方を向く。
「レイン、気にしないで自由にやれ」
オニクモは刃物のような左足でガディランの頭部を的確に狙う。だがガディランは兜を被った頭を傾けてその攻撃を受け止める。
「あたま痛ぇぇ!」
だが、ガディランは右斧を敵の左足に振り下ろす。するとオニクモの左足の先っぽが綺麗に切断される。
「ギィィ!」
オニクモはガディランの目の前で毒の液体を吐き出そうとする。が、その瞬間オニクモの頭上から人が降ってきて、その際にオニクモの目を斬りつける。その正体は大剣を持ったレインだ。
「ナイスだレイン!」
ガディランは着地したレインの背中を踏み台にしてオニクモの頭上へ跳躍する。オニクモはガディランにまた毒液を吐こうとするが、レインに脚を斬られてその狙いは外れる。
「ダブルナイス!! うらぁぁぁ! 〈クレイジークロス〉!!」
赤黒い炎を纏ったガディランの二本の斧は名前通りオニクモの体をクロスする。オニクモの丸い腹部からは噴水のように内臓やら緑色の液体が噴き出ていた。グロテスクな光景に遠くから見ていたセレーネは目を瞑り、レインは口を押さえている。
「はっはっはっ! めちゃくちゃだなぁ。まだ魔物はいっぱいいる。レイン行こうぜ!」
アホみたいに笑っているガディランをレインは引き気味に見る。そんなことは気にせず、ガディランはまた斧を構えて街の中へと突っ込んでいく。レイン、セレーネ、フェルンもそれに続く。
このヒューマンの国――テラスタンス――はウェディングケーキ状の国で下層から平民、貴族、王族が暮らしている。また地下には貧民街が存在する。
魔物の侵攻は今はまだ平民街のさらに外側なので、まだ騎士やら冒険者の対応は間に合う。それよりもレインの中では誰がこの量の魔物を操作しているのかの方が気になっていた。恐らくだがその犯人は魔物や人の暴走の原因にもなっているとレインは考える。
だが今はそんなことを考えている場合ではない。レインはとりあえず逃げている人の中に友達や家族がいないかを確認しながらガディランについていく。後ろからはフェルンがセレーネを背負いながらついてきている。
「すごいな……フォレストウルフってそんなに体力あるのか?」
ちょっとした違和感を覚えたレインはまた前を向く。が、ガディランは止まっていた。
「どうしたんですか?」
レインが聞くとガディランは炎に飲まれている教会の屋根を斧で指す。
「あれを見ろ」
そこには身長およそ五メートルはある一つ目のゴリラがいた。生憎その化け物は瘴気に侵されている気配はないが、レインたちを見ると大きく跳んで着地する。
「こいつぁサイクロリラだな。魔法とか特技を使うわけじゃなく、単純な肉体だけで初心者冒険者を何百人も墓に送っているやつだ」
ガディランはそう言ってサイクロリラに負けないくらいに跳んで相手の頭上へと行く。対抗するかと思ったがサイクロリラは後ろへ避ける。この魔物は下から攻撃してくるレインに気付いたのだ。それにレインは気配を消すのに得意な〈アサシンスキル〉を使っていた。
サイクロリラは隣にある民家を抱きしめればメキメキと音を立てて家を持ち上げる。
「まさか、あいつ!」
レインは急いでハンドバッグから大盾を取り出す。
レインの予想通りサイクロリラは持ち上げた家をガディランたちに投げつけたのだ。隕石かと思うほどに投げる速度は速い。
「スキルパラディン。レディウォー……」
レインがスキルを放つ前に、なんとフェルンが投げられる家の前に立ちはだかっていた。セレーネは背中にはいない。レインたちの後ろにいる。
「ガルゥァ!!」
猛々しい遠吠えをすると、フェルンの両前足に緑色の光が宿る。
「緑……岩魔法か」レインは呟く。
フェルンは跳躍してバツ印を描くように家を切り裂くと家は木っ端微塵になって吹き飛ぶ。思いがけないフェルンの強キャラっぷりにレインとガディラン、ましてやセレーネも唖然としていた。
「アォォン!!」
またフェルンが遠吠えをすると、地面から次々とフォレストウルフに似た狼の石像が現れる。狼の石像は一斉にサイクロリラに突撃する。
サイクロリラは狼の石像たちを他愛もなく叩き潰す。だが狼の石像たちは消える時に砂煙を巻き起こしながら消えていった。無数もの狼の石像で作られた砂煙はサイクロリラの視界を遮る。
サイクロリラは辺りを警戒するが、後ろからレインがいきなり飛び出してくる。敵の背後に瞬時に回るスキル、シャドウソーを使ったのだ。
「スキルアサシン。ウィークバック」
たかが鉄のナイフでレインはサイクロリラの背中を斬ると、その傷は大剣で斬られたかのように広がっていく。その激痛にサイクロリラは「グォォ!!」と叫ぶ。
続いては正面からガディランが飛んでくる。斧には赤黒い炎が纏っているつまり……
「クレイジぃぃ!! クロォス!」を放ったのだ。
胸から脇腹までを深く切りつけられると、サイクロリラは叫びながら倒れた。
レインたちは気づいていないが、周りで戦っていた騎士や冒険者は名も無き三人の助っ人の無双にただただ唖然としていた。
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