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3 夢豚しすぎた末路ですか?
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見慣れぬ天井。
嗅ぎ慣れないアルコール臭が鼻についた。
辺りを見回すと、病室であった。
病院、病室。そこで私は勢いよく起き上がり、自身の頭部へと手を伸ばした。
陽キャから謎に罪を擦られて唐突に人生終了へと向かったことを思い出したのだ。
しかしソコに傷のようなものは全くなく、痛みもない。
頭部は存在しているが、治療されている痕跡すら残っていなかった。
「...え、あの時殴られたよな...?」
確かに殴られた衝撃があったにも関わらず、彼女の頭部は無事に存在している。
訳がわからないまま、状況を把握すべく辺りを散策する事にした。
病室は個室らしく、自分が目を覚ましたベッドが1つ、小さなテレビと冷蔵庫、それと引き出しのみ。
それぞれ中を確認しても、特に何か入っているわけでもなく、テレビは何も映らなかった。
次に窓に近付いて外を見れば、そこは目も疑う光景が広がっていた。
「え、なにこれ...」
例えるならば、未来と言えば正しいのだろう。
よく漫画やアニメで描かれる未来の様に、現実には存在しないであろう乗り物、建物がごまんと存在していた。
建物越しに見える海がキラキラと光っているのはとても綺麗だし、癒されるが今はそんな呑気には居られない。
大亜はその場にしゃがみこみ、頭を抱えた。
「(え!?なんだこれ!?なんだよこれどうなってんの!?死んだんじゃなかったっけ!?おかしいだろ色々と!)」
少しでも落ち着く為、少しでも状況を理解する為に考えようとしたのに、ふと目に入ったのは髪だった。
「ヒョッ!?」
近くに鏡がないかと見渡せば、流石は個室。
トイレ設備もしっかりしていて、中には1人で使うには不自由のない洗面台と、鏡が設置されていた。
大亜は恐る恐るそこへ。
鏡に映る自身を見て発狂しかけた。
「な、なんで...?これ、私の...」
そう、そこには自分が創作して作り上げたキャラクターが立っていた。
(下野 大亜。夢豚です。
え?そうですね、一応自分の代理は作ってありますよ?
多分というか絶対その辺の奴より可愛いと思います。)
かなり前にそんな話を唯一の友人へと話した事がある。
蜂蜜のように蕩けるような金色の瞳。白髪の散切り頭、トレードマークは頭頂部にある双葉。
そう、鏡に映る自身は下野 大亜本人が作り上げた、夢主だったのだ。
ふらりと後ろへ後退。
現実を受けとめられずに固まった。
「げ、現実では?ないもんな?あれ、?なに、夢?」
心做しか声も変わっていて、鳥肌が立ったのは内緒だ。
ここは死後の世界なのだろうか。
それとも自分にとって、都合の良い夢か。
本当は死んではなくて、植物人間と化しているとか。
ぐるぐると巡る思考。
考えても答えは出ない。
兎に角今は、この条件を受け止められない、ただそれだけだった。
「(こういうのって、どうすれば良いんだろうか...)」
夢であれば、寝れば覚めるかもしれない。
そうでなければ絶望しか湧いてこない。
どちらにせよ、前者を信じたい。
大亜はもう一度ベッドへと潜り込もうとしたが、その瞬間病室のドアが開かれた。
「あ」
『あ』
やべぇ、とんでもねぇイケメンがいるんですが。
こういう時、どうしたら良いんでしょうか。
嗅ぎ慣れないアルコール臭が鼻についた。
辺りを見回すと、病室であった。
病院、病室。そこで私は勢いよく起き上がり、自身の頭部へと手を伸ばした。
陽キャから謎に罪を擦られて唐突に人生終了へと向かったことを思い出したのだ。
しかしソコに傷のようなものは全くなく、痛みもない。
頭部は存在しているが、治療されている痕跡すら残っていなかった。
「...え、あの時殴られたよな...?」
確かに殴られた衝撃があったにも関わらず、彼女の頭部は無事に存在している。
訳がわからないまま、状況を把握すべく辺りを散策する事にした。
病室は個室らしく、自分が目を覚ましたベッドが1つ、小さなテレビと冷蔵庫、それと引き出しのみ。
それぞれ中を確認しても、特に何か入っているわけでもなく、テレビは何も映らなかった。
次に窓に近付いて外を見れば、そこは目も疑う光景が広がっていた。
「え、なにこれ...」
例えるならば、未来と言えば正しいのだろう。
よく漫画やアニメで描かれる未来の様に、現実には存在しないであろう乗り物、建物がごまんと存在していた。
建物越しに見える海がキラキラと光っているのはとても綺麗だし、癒されるが今はそんな呑気には居られない。
大亜はその場にしゃがみこみ、頭を抱えた。
「(え!?なんだこれ!?なんだよこれどうなってんの!?死んだんじゃなかったっけ!?おかしいだろ色々と!)」
少しでも落ち着く為、少しでも状況を理解する為に考えようとしたのに、ふと目に入ったのは髪だった。
「ヒョッ!?」
近くに鏡がないかと見渡せば、流石は個室。
トイレ設備もしっかりしていて、中には1人で使うには不自由のない洗面台と、鏡が設置されていた。
大亜は恐る恐るそこへ。
鏡に映る自身を見て発狂しかけた。
「な、なんで...?これ、私の...」
そう、そこには自分が創作して作り上げたキャラクターが立っていた。
(下野 大亜。夢豚です。
え?そうですね、一応自分の代理は作ってありますよ?
多分というか絶対その辺の奴より可愛いと思います。)
かなり前にそんな話を唯一の友人へと話した事がある。
蜂蜜のように蕩けるような金色の瞳。白髪の散切り頭、トレードマークは頭頂部にある双葉。
そう、鏡に映る自身は下野 大亜本人が作り上げた、夢主だったのだ。
ふらりと後ろへ後退。
現実を受けとめられずに固まった。
「げ、現実では?ないもんな?あれ、?なに、夢?」
心做しか声も変わっていて、鳥肌が立ったのは内緒だ。
ここは死後の世界なのだろうか。
それとも自分にとって、都合の良い夢か。
本当は死んではなくて、植物人間と化しているとか。
ぐるぐると巡る思考。
考えても答えは出ない。
兎に角今は、この条件を受け止められない、ただそれだけだった。
「(こういうのって、どうすれば良いんだろうか...)」
夢であれば、寝れば覚めるかもしれない。
そうでなければ絶望しか湧いてこない。
どちらにせよ、前者を信じたい。
大亜はもう一度ベッドへと潜り込もうとしたが、その瞬間病室のドアが開かれた。
「あ」
『あ』
やべぇ、とんでもねぇイケメンがいるんですが。
こういう時、どうしたら良いんでしょうか。
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