54 / 181
2018年上半期
バレンタインデー
しおりを挟む
昨日はバレンタインデーだった。全く縁のなかった人もいれば、この日がきっかけでいい関係になれた人もいるだろう。
ヒロサダは残念ながら前者であった。
「え!?今日ってバレンタインデーなんじゃか???」
と、学校で散々言ったにも関わらず、女子生徒から話しかけてすらもらえなかった。かけられた言葉といえば、下校中に友から
「お前すげーよ。今日一体何回バレンタインデーって叫んだんだよ。数学の木村村なんか、ゲシュタルト崩壊起こしてたぞ。それに下校中の小学生にまでバレンタインデーをアピールするなんて、すごいよ。本当。」
しかしヒロサダはそこまで落ち込んではいなかった。家に帰って坂本花織選手の等身大パネルにコンビニで買ったチョコをもたせて、それをヒロサダはニヤニヤしながら自分で受け取っていた。
「ワシにはさかもとっちゃんがいるからバレンタインデーにチョコをもらえなくても気にしないじゃ~!さかもとっちゃんと知り合いになったらきっと毎日もらえるのぉ。今のうちにチョコを食べ慣れておかねば。」
しかしヒロサダは2月14日が終わるまで諦めていなかった。いつもは9時には寝るヒロサダだが、この日は日付が変わるまで起きていたのだ。そして12時を回り、やはりチョコをもらえなかった現実を受け止め、溶けるように眠りに着いた。
そこで今日なのである。2月15日、ヒロサダは気持ちを新たに、坂本花織選手の等身大パネルに行ってきますの投げキッスをして家を出た。
学校では昨日のバレンタインデーの話題で持ちきりだった。
「昨日はチョコをばっかり食べて、歯が痛え」
「俺も~。高血糖気味だわ~」
「あっしも~。尿酸値がやばい~」
「ホー。先生も痛風が~」
チョコによる健康被害が騒がれていた時、ヒロサダの友が口を開いた。
「そういえばヒロサダ、お前は皐月先生からチョコもらえるもんだと思っていたけど、もらえなかったんだな。まぁ、そこはやっぱり先生と生徒だからそういう関係になるのは問題になりそうだからなぁ。皐月先生もそこはちゃんとしてたんだな」
朝の会まであと5分というところで、教室のドアが何者かによって蹴破られた。
「ぐゎしゃーん!!! あら、みんなおはよう! あっ!ヒロサダ君!!!はい、1日遅れのバレンタイン!」
皐月先生が脇目も振らずヒロサダの元にかけてきた。皐月先生が抱えているチョコは高さ1メートル、重さ30キロほどで、幕内最高優勝力士が受け取る賜杯ほどの大きさだ。
「さ、皐月先生!!!バレンタインデーは昨日ですじゃ。それに公共の場でこれはちとまずいんじゃ…」
「ああ、昨日は1日このチョコを作っていたから有給取ったのよ!一昨日から作り始めたんだけど、まさかバレンタインデーに間に合わないとは想定外だったわ。でも、これが私のヒロサダ君に対する愛の大きさよ!」
「さ、皐月先生。ワシにはさかもとっちゃんが……」
嬉しいような戸惑っているようなヒロサダ。この後、ヒロサダと皐月先生が学校中の噂になったことは言うまでもない。
「一昨日からチョコ作ってて、2日も徹夜したから眠くて眠くて。ヒロサダ君の笑顔見るために頑張れたのよ! じゃあ私、早退しまーす。みんな授業頑張ってね!」
果たして皐月先生はこの後どんな処分を受けるのであろうか……?
ヒロサダは残念ながら前者であった。
「え!?今日ってバレンタインデーなんじゃか???」
と、学校で散々言ったにも関わらず、女子生徒から話しかけてすらもらえなかった。かけられた言葉といえば、下校中に友から
「お前すげーよ。今日一体何回バレンタインデーって叫んだんだよ。数学の木村村なんか、ゲシュタルト崩壊起こしてたぞ。それに下校中の小学生にまでバレンタインデーをアピールするなんて、すごいよ。本当。」
しかしヒロサダはそこまで落ち込んではいなかった。家に帰って坂本花織選手の等身大パネルにコンビニで買ったチョコをもたせて、それをヒロサダはニヤニヤしながら自分で受け取っていた。
「ワシにはさかもとっちゃんがいるからバレンタインデーにチョコをもらえなくても気にしないじゃ~!さかもとっちゃんと知り合いになったらきっと毎日もらえるのぉ。今のうちにチョコを食べ慣れておかねば。」
しかしヒロサダは2月14日が終わるまで諦めていなかった。いつもは9時には寝るヒロサダだが、この日は日付が変わるまで起きていたのだ。そして12時を回り、やはりチョコをもらえなかった現実を受け止め、溶けるように眠りに着いた。
そこで今日なのである。2月15日、ヒロサダは気持ちを新たに、坂本花織選手の等身大パネルに行ってきますの投げキッスをして家を出た。
学校では昨日のバレンタインデーの話題で持ちきりだった。
「昨日はチョコをばっかり食べて、歯が痛え」
「俺も~。高血糖気味だわ~」
「あっしも~。尿酸値がやばい~」
「ホー。先生も痛風が~」
チョコによる健康被害が騒がれていた時、ヒロサダの友が口を開いた。
「そういえばヒロサダ、お前は皐月先生からチョコもらえるもんだと思っていたけど、もらえなかったんだな。まぁ、そこはやっぱり先生と生徒だからそういう関係になるのは問題になりそうだからなぁ。皐月先生もそこはちゃんとしてたんだな」
朝の会まであと5分というところで、教室のドアが何者かによって蹴破られた。
「ぐゎしゃーん!!! あら、みんなおはよう! あっ!ヒロサダ君!!!はい、1日遅れのバレンタイン!」
皐月先生が脇目も振らずヒロサダの元にかけてきた。皐月先生が抱えているチョコは高さ1メートル、重さ30キロほどで、幕内最高優勝力士が受け取る賜杯ほどの大きさだ。
「さ、皐月先生!!!バレンタインデーは昨日ですじゃ。それに公共の場でこれはちとまずいんじゃ…」
「ああ、昨日は1日このチョコを作っていたから有給取ったのよ!一昨日から作り始めたんだけど、まさかバレンタインデーに間に合わないとは想定外だったわ。でも、これが私のヒロサダ君に対する愛の大きさよ!」
「さ、皐月先生。ワシにはさかもとっちゃんが……」
嬉しいような戸惑っているようなヒロサダ。この後、ヒロサダと皐月先生が学校中の噂になったことは言うまでもない。
「一昨日からチョコ作ってて、2日も徹夜したから眠くて眠くて。ヒロサダ君の笑顔見るために頑張れたのよ! じゃあ私、早退しまーす。みんな授業頑張ってね!」
果たして皐月先生はこの後どんな処分を受けるのであろうか……?
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

アレンジ可シチュボ等のフリー台本集77選
上津英
大衆娯楽
シチュエーションボイス等のフリー台本集です。女性向けで書いていますが、男性向けでの使用も可です。
一人用の短い恋愛系中心。
【利用規約】
・一人称・語尾・方言・男女逆転などのアレンジはご自由に。
・シチュボ以外にもASMR・ボイスドラマ・朗読・配信・声劇にどうぞお使いください。
・個人の使用報告は不要ですが、クレジットの表記はお願い致します。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる