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2015年〜2016年

ヒロサダの部活動見学4-3

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ヒロサダは残るトラック競技に挑むことにした。
屈伸をし、体を温め気合を入れ直した。
「じゃあ、110mハードル、1500m走、50m走の3つをやってもらおう!」
110mハードル。高さ106cmのハードル10台を跳び越えながら110mを走るという競技。
「位置について…………パン!」
ピストルの音と共にヒロサダはスタートした。
出足は好調のように見えた。
10mほど走り、ヒロサダは最初のハードルにさしかかった。
勢いそのままに跳び越えようとしたが、タイミングと高さが足りずあえなく転倒。
ヒロサダは残りのハードルをどうやって跳ぶのかを必死に考えた結果、転倒しないように慎重に跳ぶことにした。この間0.00004秒。
起き上がり走り始め2つ目のハードルにさしかかった。
ヒロサダはハードルの前で急停止し、またぐようにハードルを越えた。
残りのハードルも同じようにして越えていった。
4つ目、6つ目、9つ目のハードルで転倒したが、なんとかゴールした。
「記録、え~…………57秒91!」
だいたい早歩きのスピードだ。
悔しがる前になんとかいい記録を残したいヒロサダは次の競技に向けて頭を切り替えた。
1500m走。陸上競技では中距離に分類される競技。
「位置について………パン!」
ピストルの音と共にスタートした。
「は、速い!」
見ていた人が驚くのも無理はない。ヒロサダはスタートから全力疾走だったからだ。
「これはすごい記録が期待できる!」
周りの期待とは裏腹に80mを過ぎたあたりから失速し始めた。
動作が大きすぎる走り方から見てもバテているのは一目瞭然だ。
結局最後までスピードは上がらないままゴールし倒れ込んだ。
「記録、え~……………11分28秒!」
ちなみに中学1年生の平均が7分だ。
「うっっ!」
倒れているヒロサダが声を上げた。
靴擦くつずれだ。
ヒロサダは普段履き慣れない運動靴を履いていたため、足が悲鳴を上げたのだ。
「靴を履き替えてきますじゃ。」
ヒロサダは靴箱に行き、普段履いている靴に履き替えた。
「準備できましたじゃ!」
ヒロサダは最後の競技に挑む。
50m走。体力測定でもお馴染なじみの競技。
ヒロサダはやる気満々だ。
「位置について…………パン!」
ピストルの音と共にスタートした。
中々のスタートダッシュができたようだ。
そのまま全力疾走で走りきった。
「記録、え~……6秒82!」
ヒロサダは最後に意地を見せることができたようだ。
「おお~、7秒切るとはなかなかやるじゃん!今までとは別人のような記録だね!でもこれだけでやっていくのは難しいかな。」
ヒロサダはどっと疲れがでてきた。陸上部も向いてなかったと感じたのだ。
「あ、ありがとうございましたじゃ。」
ヒロサダは陸上部を去って行った。

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