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2020年
ステイファーム1「ロンギ場」
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「とりあえず、みんな疲れていると思うから、一休みしましょうか~」
夜通し運転していた皐月先生はもちろんのこと、交代しながら助手席でサポートしていた3人も、しっかりとした睡眠はとれておらず、車での長時間移動による疲労がたまっていた。
「そうしますじゃ~」
「松野も~」
「まなりんも~」
3人が一斉に眞名井ちゃんの方を向いたが、眞名井ちゃんは何事もなかったかのように歩き続けている。
一行は牧場の中の塗装された歩道を歩いている。ヒロサダは実際に競走馬の育成牧場に訪れたのは初めてで、興味津々に辺りを見回している。
「皐月先生!!!あれは一体何ですかじゃ~!?」
「あれのこと~?ああ、ロンギ場ね!」
「ロンギ場………ですかじゃ~???」
「そうそう~、ふふっ。まあ簡単に言うと、お馬さんに人を乗せるためのしつけをする場所ね~」
右手に青々と生い茂った牧草地が隣接している歩道。左手に木々の隙間から見えたロンギ場に興味を持ったヒロサダは足を止め、皐月先生の説明を聞いている。それに気が付いた2人の乙女も、ヒロサダに寄り添うように立ち止まった。
「人を乗せるためのしつけ、ですか???」
「松野、ロンギ場なんて初めて聞いたかなぁ~」
ヒロサダに影響されてか、はたまた本当に興味を持ったのか分からないが、2人の乙女もロンギ場について知りたがっている。
「ふふっ。そうなのよ~。元々お馬さんって、人を乗せたりしないじゃない?だけど競走馬になるためには、絶対に人を乗せないといけないから、このロンギ場で訓練するのよ~」
さすが競走馬育成牧場の娘だけあって、施設の知識は完璧な皐月先生。生まれた時から過ごしてきたこの皐月ファームでの経験が、高校英語教師をしている今でもしっかりと染みついている。
「訓練って、どんなことをするのかなぁ~???」
「もしも私がお馬さんで、ヒロサダ君を背中に乗せる訓練をするとしたら………グフフフッ、まずはヒロサダ君と触れ合うところから始めます!!!」
「ま、眞名井ちゅわ~ん………」
自分がヒロサダを背中に乗せる時のことをイメージし、眞名井ちゃんが思う訓練を実際にヒロサダに対して行っている眞名井ちゃん。艶のある黒い髪の毛をこすりつけられて、ヒロサダは困惑している。
「ふふっ。眞名井さん、実はそうじゃないのよ~。いきなり人の重さは乗せることってできないの。だからまずは軽~い重りを背中に乗せる訓練をするの。背中に少しでも何か乗っていると、最初の内はお馬さんもすごく違和感を感じて気持ち悪いのね~。そうして軽いおもりから慣らしていって、どんどん重さを増やしていって、ようやく人が乗る訓練ができるのよ~」
「そ、そうなんですじゃな~!!!」
日常生活では知りえることができないであろう知識に、ヒロサダは目を輝かせている。
「ふふっ。お馬さんの場合はそうだけど、ヒロサダ君を背中に乗せる訓練を私たちがするとしたら~」
「松野、まなりんの言った方法がいいと思うかなぁ~」
「正解!!!」
「グフフフッ」
「やっぱりぃ~!!!」
ノリノリで人差し指を立てている皐月先生と、ヒロサダに髪の毛をこすりつけている同級生美人乙女2人組。戸惑うヒロサダだが、ロンギ場の知識を得たことの嬉しさが上回り、気の向くまま2人に髪の毛をこすりつけさせていた。
「あ~!!!2人ともずるい~!!!」
そんな光景を見た皐月先生は、自分の茶色い髪の毛もヒロサダにこすりつけ始めた。
ロンギ場の前で立ち止まった4人組。一刻も早く長距離移動の疲れを取りたいだろうが、各々の現在の欲望を満たすことを優先しているようだ。
入口からはまだ数百メートル程しか歩いていない。
夜通し運転していた皐月先生はもちろんのこと、交代しながら助手席でサポートしていた3人も、しっかりとした睡眠はとれておらず、車での長時間移動による疲労がたまっていた。
「そうしますじゃ~」
「松野も~」
「まなりんも~」
3人が一斉に眞名井ちゃんの方を向いたが、眞名井ちゃんは何事もなかったかのように歩き続けている。
一行は牧場の中の塗装された歩道を歩いている。ヒロサダは実際に競走馬の育成牧場に訪れたのは初めてで、興味津々に辺りを見回している。
「皐月先生!!!あれは一体何ですかじゃ~!?」
「あれのこと~?ああ、ロンギ場ね!」
「ロンギ場………ですかじゃ~???」
「そうそう~、ふふっ。まあ簡単に言うと、お馬さんに人を乗せるためのしつけをする場所ね~」
右手に青々と生い茂った牧草地が隣接している歩道。左手に木々の隙間から見えたロンギ場に興味を持ったヒロサダは足を止め、皐月先生の説明を聞いている。それに気が付いた2人の乙女も、ヒロサダに寄り添うように立ち止まった。
「人を乗せるためのしつけ、ですか???」
「松野、ロンギ場なんて初めて聞いたかなぁ~」
ヒロサダに影響されてか、はたまた本当に興味を持ったのか分からないが、2人の乙女もロンギ場について知りたがっている。
「ふふっ。そうなのよ~。元々お馬さんって、人を乗せたりしないじゃない?だけど競走馬になるためには、絶対に人を乗せないといけないから、このロンギ場で訓練するのよ~」
さすが競走馬育成牧場の娘だけあって、施設の知識は完璧な皐月先生。生まれた時から過ごしてきたこの皐月ファームでの経験が、高校英語教師をしている今でもしっかりと染みついている。
「訓練って、どんなことをするのかなぁ~???」
「もしも私がお馬さんで、ヒロサダ君を背中に乗せる訓練をするとしたら………グフフフッ、まずはヒロサダ君と触れ合うところから始めます!!!」
「ま、眞名井ちゅわ~ん………」
自分がヒロサダを背中に乗せる時のことをイメージし、眞名井ちゃんが思う訓練を実際にヒロサダに対して行っている眞名井ちゃん。艶のある黒い髪の毛をこすりつけられて、ヒロサダは困惑している。
「ふふっ。眞名井さん、実はそうじゃないのよ~。いきなり人の重さは乗せることってできないの。だからまずは軽~い重りを背中に乗せる訓練をするの。背中に少しでも何か乗っていると、最初の内はお馬さんもすごく違和感を感じて気持ち悪いのね~。そうして軽いおもりから慣らしていって、どんどん重さを増やしていって、ようやく人が乗る訓練ができるのよ~」
「そ、そうなんですじゃな~!!!」
日常生活では知りえることができないであろう知識に、ヒロサダは目を輝かせている。
「ふふっ。お馬さんの場合はそうだけど、ヒロサダ君を背中に乗せる訓練を私たちがするとしたら~」
「松野、まなりんの言った方法がいいと思うかなぁ~」
「正解!!!」
「グフフフッ」
「やっぱりぃ~!!!」
ノリノリで人差し指を立てている皐月先生と、ヒロサダに髪の毛をこすりつけている同級生美人乙女2人組。戸惑うヒロサダだが、ロンギ場の知識を得たことの嬉しさが上回り、気の向くまま2人に髪の毛をこすりつけさせていた。
「あ~!!!2人ともずるい~!!!」
そんな光景を見た皐月先生は、自分の茶色い髪の毛もヒロサダにこすりつけ始めた。
ロンギ場の前で立ち止まった4人組。一刻も早く長距離移動の疲れを取りたいだろうが、各々の現在の欲望を満たすことを優先しているようだ。
入口からはまだ数百メートル程しか歩いていない。
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