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2020年
ステイホーム7-4「皐月先生の夜行運転withヒロサダ」後編
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「そろそろ到着するわよ~」
現在時刻は午前6時45分。皐月先生からの言葉を聞き、ヒロサダは後部座席に眠る2人の乙女を起こしにかかった。
「眞名井ちゅわ~ん、松野さん~。そろそろ着くそうじゃよ~」
2人の乙女はすっかり熟睡しているようで、ヒロサダの声かけにも反応しない。
「ふふっ。もう少し寝かせておきましょうよ~」
「そ、そうしますかじゃ~」
皐月先生の下心を感じ取ったヒロサダだったが、到着してすぐに何かをするわけではないだろうと思ったので、皐月先生の言う通り、今起こすのはやめた。
「皐月先生~。こんなところまで来て、一体目的地はどこなんですかじゃ~???」
賑わっていた町を通り過ぎ、田舎と呼ばれているような場所を皐月号は走っている。
「ふふっ。もうすぐだから~!!!」
目的地が分からず不安なヒロサダに対し、「ちゃんとしたところだから~」とヒロサダを安心させるように付け加えた皐月先生。
「わ、分かりましたじゃ~」
「ちょっと揺れるわよ~」
そうこうしているうちに、皐月号は上りに入った。道はあまり塗装されていないようで、ヒロサダに注意を促した皐月先生。
「ガタタン」
そんな注意を受けた直後。皐月号は砂利道により揺れた。ヒロサダはしっかりとシートベルトを握りしめ、力を込めていたので被害は少なかったが、後部座席の2人の乙女はその揺れに無防備で挑んでいたため、左右に揺さぶられながら頭を数回サイドのドアに打ち付けていた。
「………う、後ろから結構な音がしましたじゃが………、2人は大丈夫じゃか~???」
少し揺れが収まり、助手席から後部座席に乗り出し2人の乙女の様子を見たヒロサダ。しかし2人は何事もなかったかのように、可愛い寝息を立てて熟睡している。
「よっぽど疲れていたんじゃな~」
そんな2人への労りの言葉をささげたその時だった。
「危ないっ!!!」
そう言って皐月先生は、少し左右に急ハンドルを切った。
「ぐへえっ!!」
後部座敷に乗り出していたヒロサダは、無防備に揺られた。
「突然イノシシが………。ヒロサダ君、大丈夫だった???」
「わ、ワシはなんとか大丈夫ですじゃ~」
後部座席の2人はどうせまだ熟睡しているだろう。そう思いながら顔を上げたヒロサダだったが、
「………あれ、もう着いたの?」
「………目が覚めたかなぁ~」
思いもよらず2人の乙女は同時に目覚めていた。
「眞名井ちゅわ~んに松野さん!!!さっきあれだけ起こしても起きなかったのに、それほど今の揺れはすごかったんじゃか~!?」
ヒロサダの言葉に、バックミラーを見ながら「おはよう」と笑顔で呟いた皐月先生。後部座席の2人の乙女は声を揃えておはようの挨拶をしたのち、ヒロサダからの質問に答えた。
「揺れ?………松ミョン、そんな揺れ感じた???」
「う~ん………松野気が付かなかったかなぁ~。ただ、ヒロサダ君の体温を足から感じて、目が覚めたんだけど………」
「そうそう!!!ヒロサダ君から足を触られている感じがして、跳び起きたわ!!!」
「やっぱりまなりんもそうだったんだぁ~!!!」
「グフフフッ。いい目覚めね~!!!」
「うん~!!!」
眠っている2人の美女に、そんなセクハラじみたことをした覚えなど毛頭なかったヒロサダ。皐月号がイノシシを避けた時のことを思い出していると、「ああっ!!」と声を上げてしまった。
「も、もしかしてあの時じゃか~!?!?」
後部座席に身を乗り出していた時に揺れたため、ヒロサダの身体は人形のように腕に力なく振られいていた。その際、ヒロサダに指先が2人の膝をかすめていたのだ。
「あ、あれだけのことで起きるんじゃか~………」
少々恐怖を覚えた、ヒロサダなのであった。
「さあ、着いたわよ~!!!」
現在時刻は午前7時6分。そんなやりとりをしているうちに、皐月先生は休憩をはさみながらも約20時間に及ぶ運転を無事にやり遂げた。
「皐月先生!!!本当にお疲れさまでした~!!!」
「ありがとうございましたかなぁ~!!!」
「ふふっ。私のわがままに付き合ってもらったんだから、気にすることないわよ~!!!」
3人の乙女が、大きな達成感を感じている中、ヒロサダは少々唖然としていた。
「こ、ここは………牧場ですかじゃ???」
広大な土地に、青く生い茂る芝生を駆け回っている馬たち。ヒロサダは信じがたくも、状況からそう推測するしかなかった。
「ふふっ。そうよ~!!!」
「ここが皐月先生が生まれ育った場所なんですね~!!!」
「お世話になりますかなぁ~」
「さ、さ、皐月先生の!?!?」
3人の乙女の話を聞き、混乱しながらも辺りを見回すヒロサダに、1つの看板が目に入ってきた。
「さ、【皐月ファーム】!?も、もしかしてあの皐月ファームですじゃか~!?!?!?」
「ふふっ。そうよ~」
「あらヒロサダ君、知っているの~?」
「し、知っているも何も、日本で競走馬を育成している牧場の中でも、トップクラスの牧場なんですじゃよ~!!!」
競馬についての知識は豊富だったおっさんっぽいヒロサダ。皐月先生の職場である高校と皐月ファームの所在地があまりにもかけ離れているので、皐月先生の実家があの皐月ファームだなんて、夢にも思っていなかったようだ。
「そういえば、皐月先生って名字が皐月ですじゃ~!!!」
「ヒロサダ君、何当たり前のこと言っているのかなぁ~」
「グフフフッ。そんなヒロサダ君もグフッ、素敵~」
自宅でいきなり拉致され、目的地も告げられずに連れてこられたヒロサダだったが、憧れの皐月ファームに来ることができ、大満足なのであった。
「さあ、降りましょっか!!!」
4人は車から降り、トランクに積んであった宿泊用の荷物を各々取り出した。
「今日からこの4人での共同生活が………グフッ、グフフフッ!」
「松野、とっても楽しみかなぁ~」
「皐月先生!皐月ファームについて、色々教えてほしいじゃ~!!!」
「ふふっ。ヒロサダ君のためなら、何でもするわよ~!!!」
各々の想いを抱え、到着した皐月ファーム。ヒロサダに想いを寄せる3人の乙女とその当事者であるヒロサダは、一体どんな共同生活を過ごすのだろうか???
4人の【ステイファーム】が今始まる。
現在時刻は午前6時45分。皐月先生からの言葉を聞き、ヒロサダは後部座席に眠る2人の乙女を起こしにかかった。
「眞名井ちゅわ~ん、松野さん~。そろそろ着くそうじゃよ~」
2人の乙女はすっかり熟睡しているようで、ヒロサダの声かけにも反応しない。
「ふふっ。もう少し寝かせておきましょうよ~」
「そ、そうしますかじゃ~」
皐月先生の下心を感じ取ったヒロサダだったが、到着してすぐに何かをするわけではないだろうと思ったので、皐月先生の言う通り、今起こすのはやめた。
「皐月先生~。こんなところまで来て、一体目的地はどこなんですかじゃ~???」
賑わっていた町を通り過ぎ、田舎と呼ばれているような場所を皐月号は走っている。
「ふふっ。もうすぐだから~!!!」
目的地が分からず不安なヒロサダに対し、「ちゃんとしたところだから~」とヒロサダを安心させるように付け加えた皐月先生。
「わ、分かりましたじゃ~」
「ちょっと揺れるわよ~」
そうこうしているうちに、皐月号は上りに入った。道はあまり塗装されていないようで、ヒロサダに注意を促した皐月先生。
「ガタタン」
そんな注意を受けた直後。皐月号は砂利道により揺れた。ヒロサダはしっかりとシートベルトを握りしめ、力を込めていたので被害は少なかったが、後部座席の2人の乙女はその揺れに無防備で挑んでいたため、左右に揺さぶられながら頭を数回サイドのドアに打ち付けていた。
「………う、後ろから結構な音がしましたじゃが………、2人は大丈夫じゃか~???」
少し揺れが収まり、助手席から後部座席に乗り出し2人の乙女の様子を見たヒロサダ。しかし2人は何事もなかったかのように、可愛い寝息を立てて熟睡している。
「よっぽど疲れていたんじゃな~」
そんな2人への労りの言葉をささげたその時だった。
「危ないっ!!!」
そう言って皐月先生は、少し左右に急ハンドルを切った。
「ぐへえっ!!」
後部座敷に乗り出していたヒロサダは、無防備に揺られた。
「突然イノシシが………。ヒロサダ君、大丈夫だった???」
「わ、ワシはなんとか大丈夫ですじゃ~」
後部座席の2人はどうせまだ熟睡しているだろう。そう思いながら顔を上げたヒロサダだったが、
「………あれ、もう着いたの?」
「………目が覚めたかなぁ~」
思いもよらず2人の乙女は同時に目覚めていた。
「眞名井ちゅわ~んに松野さん!!!さっきあれだけ起こしても起きなかったのに、それほど今の揺れはすごかったんじゃか~!?」
ヒロサダの言葉に、バックミラーを見ながら「おはよう」と笑顔で呟いた皐月先生。後部座席の2人の乙女は声を揃えておはようの挨拶をしたのち、ヒロサダからの質問に答えた。
「揺れ?………松ミョン、そんな揺れ感じた???」
「う~ん………松野気が付かなかったかなぁ~。ただ、ヒロサダ君の体温を足から感じて、目が覚めたんだけど………」
「そうそう!!!ヒロサダ君から足を触られている感じがして、跳び起きたわ!!!」
「やっぱりまなりんもそうだったんだぁ~!!!」
「グフフフッ。いい目覚めね~!!!」
「うん~!!!」
眠っている2人の美女に、そんなセクハラじみたことをした覚えなど毛頭なかったヒロサダ。皐月号がイノシシを避けた時のことを思い出していると、「ああっ!!」と声を上げてしまった。
「も、もしかしてあの時じゃか~!?!?」
後部座席に身を乗り出していた時に揺れたため、ヒロサダの身体は人形のように腕に力なく振られいていた。その際、ヒロサダに指先が2人の膝をかすめていたのだ。
「あ、あれだけのことで起きるんじゃか~………」
少々恐怖を覚えた、ヒロサダなのであった。
「さあ、着いたわよ~!!!」
現在時刻は午前7時6分。そんなやりとりをしているうちに、皐月先生は休憩をはさみながらも約20時間に及ぶ運転を無事にやり遂げた。
「皐月先生!!!本当にお疲れさまでした~!!!」
「ありがとうございましたかなぁ~!!!」
「ふふっ。私のわがままに付き合ってもらったんだから、気にすることないわよ~!!!」
3人の乙女が、大きな達成感を感じている中、ヒロサダは少々唖然としていた。
「こ、ここは………牧場ですかじゃ???」
広大な土地に、青く生い茂る芝生を駆け回っている馬たち。ヒロサダは信じがたくも、状況からそう推測するしかなかった。
「ふふっ。そうよ~!!!」
「ここが皐月先生が生まれ育った場所なんですね~!!!」
「お世話になりますかなぁ~」
「さ、さ、皐月先生の!?!?」
3人の乙女の話を聞き、混乱しながらも辺りを見回すヒロサダに、1つの看板が目に入ってきた。
「さ、【皐月ファーム】!?も、もしかしてあの皐月ファームですじゃか~!?!?!?」
「ふふっ。そうよ~」
「あらヒロサダ君、知っているの~?」
「し、知っているも何も、日本で競走馬を育成している牧場の中でも、トップクラスの牧場なんですじゃよ~!!!」
競馬についての知識は豊富だったおっさんっぽいヒロサダ。皐月先生の職場である高校と皐月ファームの所在地があまりにもかけ離れているので、皐月先生の実家があの皐月ファームだなんて、夢にも思っていなかったようだ。
「そういえば、皐月先生って名字が皐月ですじゃ~!!!」
「ヒロサダ君、何当たり前のこと言っているのかなぁ~」
「グフフフッ。そんなヒロサダ君もグフッ、素敵~」
自宅でいきなり拉致され、目的地も告げられずに連れてこられたヒロサダだったが、憧れの皐月ファームに来ることができ、大満足なのであった。
「さあ、降りましょっか!!!」
4人は車から降り、トランクに積んであった宿泊用の荷物を各々取り出した。
「今日からこの4人での共同生活が………グフッ、グフフフッ!」
「松野、とっても楽しみかなぁ~」
「皐月先生!皐月ファームについて、色々教えてほしいじゃ~!!!」
「ふふっ。ヒロサダ君のためなら、何でもするわよ~!!!」
各々の想いを抱え、到着した皐月ファーム。ヒロサダに想いを寄せる3人の乙女とその当事者であるヒロサダは、一体どんな共同生活を過ごすのだろうか???
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