男子高校生ヒロサダの毎日極楽

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2020年

ステイホーム6.5「出発前の決め事」

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 「2人とも、ちょっと話があるんじゃが………」
 サービスエリアで買い物を済ませ、車に乗り込む前、ヒロサダが眞名井ちゃんと松野さんを呼び止めた。
 「ひ、ヒロサダ君!?もしかして私への、グフッ、愛の告白~!?!?!?」
 「ままま、松野、心の準備がぁ~!」
 慌てふためく2人の乙女。
 
 「ち、違うじゃよ~!!!この後の車の中でのことじゃよ~!!!」
 この後夜通し運転し続ける皐月さつき先生への配慮についてだった。愛の告白ではなくがっかりした2人の乙女も、確かに重要な話であると、すぐに頭を切り替えた。
 
 「そうね~。ああは言っているけど、やっぱり夜通しで運転するのは大変よ………」
 「松野も、そう思うかなぁ~」
 2人の乙女はヒロサダのことしか考えていなかったことを恥じ、皐月先生のことについて真剣に悩み始めた。
 「そこで考えたんじゃが、ワシら3人のうち1人ずつ起きておいて、皐月先生をサポートするというのはどうじゃ???」
 ヒロサダの提案に、一気に表情が明るくなった乙女2人。
 「さすがヒロサダ君!!!いい考えね~!!!」
 「優しいヒロサダ君、素敵かなぁ~!」
 少し照れながらも、ヒロサダは手に持っていた買い物袋の中から、コーヒーや栄養ドリンクなどの眠気覚ましとして役立ちそうなものたちを取り出した。
 「起きている1人は、これで眠気を覚ましつつ、皐月先生をサポートするじゃ~」
 「ぉ~!」
 「よしっ!頑張るわよ~!!!」

 ここで松野さんから一つ提案が出た。
 「松野思うんだけど、起きている1人が助手席で皐月先生をサポートするっていうのはどうかなぁ~?」
 「いい考えじゃ~!!!じゃあ、パーキングエリアなどで休憩する時に席を入れ替わり、助手席の1人が起きておくという風にするじゃ~!!!」
 「松ミョンにヒロサダ君!!2人ともすっごい!!!ぜぇ~ったい、皐月先生喜ぶわ~!!!」
 
 しかし3人の頭に、ヒロサダが後部座席で仮眠をとっている時のことが浮かんだ。
 「ワシが仮眠をとるときは………………」
 ヒロサダに対して恋心を抱いている乙女と隣同士で眠ることを、少し不安に思ったヒロサダ。
 「………………分かったわ。松ミョン、ここはいったん休戦よ。皆で協力して皐月先生をサポートしましょう!!!」
 「………分かったかなぁ~!!!ヒロサダ君も仮眠をとるときは、安心して眠るといいかなぁ~」
 「ふ、2人とも!!!」
 日頃の言動からすると、考えられないような態度を取った2人の乙女。ヒロサダをめぐる恋敵こいがたきである皐月先生が、大変な思いをして長距離運転をするということに心を打たれたようだ。

 3人も皐月先生同様、ギアを入れ直し、夜行運転へと臨んだのだ。
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