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2020年
年越し後の夜中に一体何が?(珈琲麻呂編)
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「じゃあ皆、おやすみじゃ~」
「皆さん、グンナイですよ」
おやすみの挨拶を済ませ、布団に入った珈琲麻呂。
「さて、もう夜も遅いことですし早く寝ますよ」
珈琲麻呂は目をつぶった。が、なかなか寝付くことができない。
現在時刻は深夜1時56分。早く寝ようと思ってから30分ほど目をつぶり続けたが、まだ眠れない。
「もう夜遅いのにこんなに眠れない……。これはおかしいですよ」
すると珈琲麻呂の耳に、かすかな声が聞こえてきた。
「はちみつ……、メープルシロップ……、ガムシロップ……」
そう。隣で寝ているフミタケだ。
「何か耳に入ると思ったら、フミタケ君の声でしたか。フミタケ君も眠れないのですね。少し私とお話ししましょうか」
話はするが、少しでも眠気を呼び起こそうと目をつぶりながら珈琲麻呂はフミタケに話しかけた。
「フミタケ君。人間の意志の強さは、その人が飲んだコーヒーの量に比例するのですよ」
「…………ガムシロップ、角砂糖…………」
フミタケは甘いものを考えていたため、珈琲麻呂の声は聞こえていないようだ。
「おや、この話はお嫌いでしたか。では話を変えましょう。フミタケ君は確か数学がお得意のようで。前回の全国模試では数学で全国1位だったんですね。豆の噂で聞きましたよ。そんなフミタケ君にはこの言葉を送りましょう。『数学者はコーヒーを定理に変える機械だ』。フミタケ君、ぜひ君なりのコーヒーの定理を私に語ってくれませんか???」
現在時刻は午前2時37分
「…………ホォっ!…………」
そう、フミタケの持病の痛風が発症した頃だ。
「フミタケ君、そんな大きな声を上げなくても大丈夫ですよ。ゆっくり聞かせてくださいよ」
しかしフミタケは声が出ないほどもがき苦しんでいる。
現在時刻は午前3時7分。
「フミタケ君。あれから30分経ちましたが、答えは見つかりましたか?」
珈琲麻呂の特技である体内時計で30分きっちり待ったが、フミタケは悶絶している。
「プライベートに踏み込みすぎましたかね?では話を変えましょう。フミタケ君、強いコーヒーをたっぷり飲めば目がさめるのですよ。……………そういえば……」
珈琲麻呂はあることに気がついた。
「確か寝る前にコーヒーを…………」
そう。年越しをコーヒーで過ごせなかったため、持参したコーヒーマシンで豆を挽き、コーヒーを飲んでいたのだ。その量はというと、キリマンジャロ5杯、ブラジル4杯、コロンビア2杯、そしてブルーマウンテン7杯。
「私が眠れないのは、コーヒーの飲み過ぎでしたか…………」
「コーヒー豆が1粒(コロンビア)、コーヒー豆が2粒(キリマンジャロ)、コーヒー豆が…………、……………………」
珈琲麻呂はギンギンにさめた目を必死に閉じながら、コーヒー豆の数を1069粒数え終わったころ、なんとか眠りについた。時刻は3時半過ぎ。
珈琲麻呂もフミタケ同様、朝まで起きることはなかった。
「皆さん、グンナイですよ」
おやすみの挨拶を済ませ、布団に入った珈琲麻呂。
「さて、もう夜も遅いことですし早く寝ますよ」
珈琲麻呂は目をつぶった。が、なかなか寝付くことができない。
現在時刻は深夜1時56分。早く寝ようと思ってから30分ほど目をつぶり続けたが、まだ眠れない。
「もう夜遅いのにこんなに眠れない……。これはおかしいですよ」
すると珈琲麻呂の耳に、かすかな声が聞こえてきた。
「はちみつ……、メープルシロップ……、ガムシロップ……」
そう。隣で寝ているフミタケだ。
「何か耳に入ると思ったら、フミタケ君の声でしたか。フミタケ君も眠れないのですね。少し私とお話ししましょうか」
話はするが、少しでも眠気を呼び起こそうと目をつぶりながら珈琲麻呂はフミタケに話しかけた。
「フミタケ君。人間の意志の強さは、その人が飲んだコーヒーの量に比例するのですよ」
「…………ガムシロップ、角砂糖…………」
フミタケは甘いものを考えていたため、珈琲麻呂の声は聞こえていないようだ。
「おや、この話はお嫌いでしたか。では話を変えましょう。フミタケ君は確か数学がお得意のようで。前回の全国模試では数学で全国1位だったんですね。豆の噂で聞きましたよ。そんなフミタケ君にはこの言葉を送りましょう。『数学者はコーヒーを定理に変える機械だ』。フミタケ君、ぜひ君なりのコーヒーの定理を私に語ってくれませんか???」
現在時刻は午前2時37分
「…………ホォっ!…………」
そう、フミタケの持病の痛風が発症した頃だ。
「フミタケ君、そんな大きな声を上げなくても大丈夫ですよ。ゆっくり聞かせてくださいよ」
しかしフミタケは声が出ないほどもがき苦しんでいる。
現在時刻は午前3時7分。
「フミタケ君。あれから30分経ちましたが、答えは見つかりましたか?」
珈琲麻呂の特技である体内時計で30分きっちり待ったが、フミタケは悶絶している。
「プライベートに踏み込みすぎましたかね?では話を変えましょう。フミタケ君、強いコーヒーをたっぷり飲めば目がさめるのですよ。……………そういえば……」
珈琲麻呂はあることに気がついた。
「確か寝る前にコーヒーを…………」
そう。年越しをコーヒーで過ごせなかったため、持参したコーヒーマシンで豆を挽き、コーヒーを飲んでいたのだ。その量はというと、キリマンジャロ5杯、ブラジル4杯、コロンビア2杯、そしてブルーマウンテン7杯。
「私が眠れないのは、コーヒーの飲み過ぎでしたか…………」
「コーヒー豆が1粒(コロンビア)、コーヒー豆が2粒(キリマンジャロ)、コーヒー豆が…………、……………………」
珈琲麻呂はギンギンにさめた目を必死に閉じながら、コーヒー豆の数を1069粒数え終わったころ、なんとか眠りについた。時刻は3時半過ぎ。
珈琲麻呂もフミタケ同様、朝まで起きることはなかった。
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