男子高校生ヒロサダの毎日極楽

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2018年下半期〜2019年

ヒロサダの部活動見学8-5(大会当日)

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 「いってきますじゃ~」
 ヒロサダは元気よく家を出発した。そう、今日は水泳の大会当日である。前回水泳部を見学に行った時みたく水着を忘れないように、この日は水泳道具を持参して会場へ向かった。
 
 「着いたじゃ~」
 集合時間に余裕を持って会場に到着したヒロサダ。大会の会場となっているのは、ヒロサダの学校の隣にある、お馴染みブブゼラ広場の中にあるプールだ。
 「おはようございまする~」
 ヒロサダは部長をはじめとするメドレーリレーメンバーの水泳部の男子3人にあいさつをした。
 「おはようヒロサダ君!今日はよろしく!」
 「よろしくお願いしますじゃ~」
 あいさつを済ませ、ヒロサダ達は更衣室へ向かった。
 
 更衣室では大会の作戦会議が行われている。
 「それでは確認しよう。第1泳者がとよ。第2泳者が私、康雄こうゆう。第3泳者があずさ。そして最終泳者がヒロサダ君だ」
 「部長~。作戦はどうしますか???」
 水泳部男子期待の新人、梓が部長に尋ねた。
 「決まっているだろ!!!。梓のところで1位になり、差をつけてヒロサダ君につなぐ!。これしかない!!!」
 他力本願な部長の発言を聞き、気合を入れるためブブゼラ広場の第2会議室へ向かった梓をよそにヒロサダは口を開いた。
 「ぶ、部長ぉ~っ!。わし、バタフライを泳ぎたいですじゃ~!!!」
 昨夜テレビで見た池江璃花子選手の泳ぎに触発され、ヒロサダはバタフライを泳ぐ決意をしてきたのだ。
 「し、しかしヒロサダ君…………。君は初心者だからさすがにバタフライを任せることはできないよ」
 「そ、そこをなんとかお願いしますじゃ~。いけえりっちゃんに少しでも近づきたいんですじゃ~」
 部長がヒロサダの懇願に戸惑っていると、豊が口を開いた。
 「ヒロサダ君は自由形だろ?だったらどんな泳ぎ方でもいいだろ。自由にバタフライを泳ぐといいさ」
 「!!!!愉快なダイヤモンド!!!いいアイデアじゃないか!!!」
 忘れかけていた豊のあだ名を叫んだ部長。
 「め、名案ですじゃ~!!!」
 ヒロサダも喜びに打ちひしがれている。
 「ではそういうことで、泳ぐ順番はさっき言った通りだ!みんな準備しようか!」
 大会開始まで30分。ヒロサダ達は着替えることにした。

 「し、しまったじゃ~…………」
 着替え始めてから5分。ヒロサダが叫んだ。
 「どうしたヒロサダ君!?」
 嫌な予感がしながら、部長がヒロサダに声をかけた。
 「水着と間違えて、姐御の高校の時の制服を持って来てしまいましたじゃ~………」
 スカートと靴下、靴を履き、上の制服を着ようと手に持ったヒロサダが呟いた。
 「な、なんだって!?」
 朝起きてからと食前と食間、食後に寝る前ときちんと確認したはずだったが、残念ながらそこにヒロサダの水着は無かった。
 部員達はもちろん水着の予備など持っているはずもなく、皮肉にも開会式へのカウントダウンが始まった。
 「開会式まで~、200秒前!!!。199!!。198!!。197!!」
 こうなってしまったらもう誰にも止めることはできない。
 「仕方ない、ひとまずこのまま開会式に向かおう!。メドレーリレーは最後の方だから、それまでになんとかしよう!!」
 部長の提案に、他になす術なく賛成したヒロサダは、手に持った上の制服を着て、バッチリ女子高生の格好をして開会式へと向かった。
 「127!!。126!!。125!!。124!!」
 「な、なんとか間に合ったじゃ~」
 会場に出たヒロサダを待っていたのは、総勢7000名超えの参加者だった。観客も多く、その大半は会場に入ることができず、ライブビューイングでこの大会の様子を観ているようだ。
 「ヒロサダくぅ~ん!!!!」
 そんな中、聞き覚えのある声が聞こえた。
 「あ、あの声はまさか……?」
 そう、そのまさかである。声の主はブルペン女子こと眞名井ちゃんだ。眞名井ちゃんは前日、水泳部の女子部員を数名取り調べ、この日の大会にヒロサダが出場するという情報を吐かせたのだ。
 「ヒ、ヒロサダ君その格好………………!!!。ス、ステキ~!!!!!」
 自分と同じ学生服を着ているヒロサダを見て、さらに惚れ直した眞名井ちゃん。興奮すると同時に、ヒロサダが水着を忘れてピンチなことを瞬時で悟った眞名井ちゃんはヒロサダに持参した水着を投げた。
 「ヒロサダ君、これを!!!!」
 ブルペン女子の名に恥じないコントロールの良さで、眞名井ちゃんが投げた水着入れはヒロサダの隣の隣に居た3年の田所豊の膝に見事直撃した。
 「す、すみませんじゃ~………」
 眞名井ちゃんに一目惚れした豊をよそにヒロサダは水着入れを拾った。
 「ま、眞名井ちゅわ~ん!。ありがとうじゃ~!!!!」
 「やったなヒロサダ君!。これで安心して泳げるな!!!」
 投げキッスを連投する眞名井ちゃんのことを、この時に限って愛おしく思えたヒロサダは、水着入れから水着を取り出した。
 「これでいけえりっちゃんに追いつく一歩が踏み出せるじゃ~!!!!。…………………おりょ??」
 ヒロサダが取り出した水着は、やたら布の面積が広いような気がした。恐る恐る水着を広げてみると、それは女子用のスクール水着だった。
 「こ、これは………」
 タグを見ると、“眞名井”としっかり名前が書いてある。
 ヒロサダを見ながら眞名井ちゃんはニヤけが止まらないようだ。
 
 「ホー!オラフミタケ!
 いくら待っても八百屋の看板娘さんはオラのこと迎えに来てくれんホー…………。一体いつになったら来てくれるのホー!!!!!
 次回はいよいよ競技に移るよホーじゃな……。
 ホー……。突然現れた眞名井ちゃんのことも気になるんじゃと思うんじゃが、オラはやっぱり八百屋の看板娘さんが気になるホー!!!!!
 とりあえずヒロサダ、ガンバってくれホー!!!!!」
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