2 / 24
私、2次元を求める人と出会っちゃった!
しおりを挟む
「美味しいものが食べたいな。そう...ケバブが食べたい」
突然、何を思ったのか、ケバブが食べたいと言い出した60代男性。
私は驚いた。
「ケバブなんて、簡単に作れないよう」
おじちゃんに伝えると、
「ケバブは買って食べるに限る!誰かが作った、あったかいケバブを食べる時の至福の時。人の作った料理を食べるのは最高だ!」と嬉しそうに言っていた。
(ちょっと、何を言っているか分からないよ、おじちゃん)
ちなみに..。
(ケバブはどこで...買うの?)
と普通に思った。
おじちゃん曰く、発祥の地は秋葉原で、今も美味しいケバブ屋が店を出しているらしい。
何故だか分からないうちに
おじちゃんの代わりにケバブを買いに私が出かけることに。
そんなことがあり、私は今...秋葉原にいる。
正直、初めて来た。
普通に生きてきて、秋葉原に来る理由がなかったからだ。
駅前には可愛い女の子がメイドさんの服を着て男性に声をかけていた。
「ご主人様、宜しかったらお話ししませんか?」
凄いなぁ。
同じ女として尊敬してしまう。
(それにしても、メイド服が似合う女の人だったなぁ。)
(私が男だったら、あんな風に声をかけられたら、きっとメイドカフェに行っちゃうんだろうなぁ...。)
さらに、駅前で印象的だったのが、早歩きで周りには目もくれず、真っ直ぐ前を見つめ、颯爽と進んでいる人がたくさんいた。
ちょっとカッコ良くも見えたけど...
一体どこに行くんだろう?
(さて、ケバブ屋はどこにあるんだろう?)
スマホを片手に街を歩く。
私はキョロキョロしながら歩いていた。
それにしても。平日の午前中なのに、本当に人が多い。
驚いたのが、外国の方々も沢山いて...
秋葉原は観光地なんだ...。
そう思いながら歩いていると...
遠くに見える男性に、ザワザワした影が近づいて行くのが見えた。
(あっ、あれは...もしかして...)
予感は的中した。
次の瞬間、男性は手にしていた荷物を落としてしまった。
「あぁっ!今買ったばかりなのに!限定のフィギュア!!〇〇ちゃん!無事かい??」と落としたものを拾い上げた。
「ダメだ~!凹んでる。〇〇ちゃんが怪我をした!!畜生!」と大きな声で叫び出した。
ザワザワした影は知らず知らず無くなっていた。
私はとっさに男性に声をかけた。
「大丈夫ですか?」
男性は
「うん?なんだ君は...も、もしかして、僕に気があるのかい?ざ、残念だが僕の心は〇〇ちゃん一筋だから、諦めたまえ!」と返答した。
(な、何を言っているんだ...この人は...)
(き、気持ち悪い)
「い、いぇ、大きな声を出して...何か困ってそうだったので...」
私にしか見えない、ザワザワ影の被害にあった人だったから、ちょっと気の毒になって声をかけただけだった。
へんな気を使って声をかけたこと。
後悔することになるとは、今の私には分からなかった。
男性は
「そ、そうなんだよ。〇〇ちゃんが怪我をした。見てくれたまえ。ここがへっこんで可愛い顔が台無しだよ」と続けた。
箱には中身の人形のポーズ姿が載っていた。
ちょうど顔の所が凹んだようだ。
「あぁ、〇〇ちゃん。早く帰って怪我を治そう」
(えっと...気持ち悪い。早く立ち去ろう)
「そうでしたか、どうぞお大事に」
私はその場を立ち去った。
「待ちたまえ!」
と、男性は私を呼び止める。
「君は〇〇ちゃんに似た匂いがする。これも一つの縁かもしれないぞ!」
と言い出した。
(嫌だ!本当に気持ち悪い)
「いえ、本当に急いでいるので...」
「安心したまえ、僕は〇〇ちゃん一筋40年。間違いは起こさない。だから、君をモデルとして写真を撮らせて欲しい」
(何なの?全てが間違っている。話しかけなければ良かった)
その瞬間、ザワザワ影が横切った。
(えっ?)
私は影の向かった方を向いた。
男性も私につられて、同じ方向を向いた。
その先には、ここにいる男性が持っている(〇〇ちゃんが入っている)紙袋を持つ、別の男性が歩いていた。
別の男性に影が近づいていく。
(あっ、危ない)
私はとっさに叫んだ。
やっぱり...
別の男性が手にしている紙袋が切れたのだ。
荷物がゆっくりと地面に落ち...
その時、私に言い寄っていた男性が「怪我をしたという〇〇ちゃん」を地面に滑らすように投げた。
運良く〇〇ちゃんの上に落ちた、別の男性の荷物。
事なきを得たようだ。
別の男性は
「貴方は命の恩人です。この〇〇ちゃんに何かあったら...」
(ああっ...やっぱり...)
男性の荷物も〇〇ちゃんだった。
私に言い寄っていた男性は
「限定〇〇ちゃんが見えたんだ。僕の悲劇は起こして欲しくなかったんだ。無事でよかった」
といい、自分の〇〇ちゃんを拾い上げた。
何か、この男性2人にスポットライトが当たっているように見えた。
「さて、待たせたね。さっきの続きだ。これから君の写真を撮影させて欲しい」
(ちょっとカッコ良く見えたのに台無し)
私は「そんなに積極的に私に話が出来るなら、〇〇ちゃんのような女の子を見つけてアプローチしたらいいんじゃないですか?」と怒りを表した。
「な、なんだと...」
私に言い寄って来た男性は戸惑いを見せた。
そこに、
「ちょっといいですか?」と救われた男性が会話に入ってきた。
「実は〇〇ちゃんにクリソツな子がそこにいるんです」と、カフェを指さした。
「僕はこれから行くのですが、命の恩人であるアナタでしたら、喜んで案内しますよ!」と私に言い寄って来た男性を誘った。
「なんですと!〇〇ちゃんがいるのかい!君は素晴らしい!是非行こう!」と、凄い勢いでカフェに向かった。
私にとって嵐が去った瞬間だった。
何かが間違っている。
でも、それでも一筋の愛を貫く人は時にちょっとカッコ良く見える瞬間があるのかも?
と思った。
カフェに向かう男性たちに、ザワザワ影が現れ近づいていく。
(あっ)と、私は思った。
しかし、次の瞬間、影が2人の男性から離れていった。
分からかったけど、もしかしたら、誰かと繋がりを持てたり、強く前向きに進んでいるときは影は近づかないのかもしれないな。
私は急いでケバブを買いに店を目指すことにした。
(次にこの街に来るときは...色々と気をつけよう...)
私は心に誓った。
突然、何を思ったのか、ケバブが食べたいと言い出した60代男性。
私は驚いた。
「ケバブなんて、簡単に作れないよう」
おじちゃんに伝えると、
「ケバブは買って食べるに限る!誰かが作った、あったかいケバブを食べる時の至福の時。人の作った料理を食べるのは最高だ!」と嬉しそうに言っていた。
(ちょっと、何を言っているか分からないよ、おじちゃん)
ちなみに..。
(ケバブはどこで...買うの?)
と普通に思った。
おじちゃん曰く、発祥の地は秋葉原で、今も美味しいケバブ屋が店を出しているらしい。
何故だか分からないうちに
おじちゃんの代わりにケバブを買いに私が出かけることに。
そんなことがあり、私は今...秋葉原にいる。
正直、初めて来た。
普通に生きてきて、秋葉原に来る理由がなかったからだ。
駅前には可愛い女の子がメイドさんの服を着て男性に声をかけていた。
「ご主人様、宜しかったらお話ししませんか?」
凄いなぁ。
同じ女として尊敬してしまう。
(それにしても、メイド服が似合う女の人だったなぁ。)
(私が男だったら、あんな風に声をかけられたら、きっとメイドカフェに行っちゃうんだろうなぁ...。)
さらに、駅前で印象的だったのが、早歩きで周りには目もくれず、真っ直ぐ前を見つめ、颯爽と進んでいる人がたくさんいた。
ちょっとカッコ良くも見えたけど...
一体どこに行くんだろう?
(さて、ケバブ屋はどこにあるんだろう?)
スマホを片手に街を歩く。
私はキョロキョロしながら歩いていた。
それにしても。平日の午前中なのに、本当に人が多い。
驚いたのが、外国の方々も沢山いて...
秋葉原は観光地なんだ...。
そう思いながら歩いていると...
遠くに見える男性に、ザワザワした影が近づいて行くのが見えた。
(あっ、あれは...もしかして...)
予感は的中した。
次の瞬間、男性は手にしていた荷物を落としてしまった。
「あぁっ!今買ったばかりなのに!限定のフィギュア!!〇〇ちゃん!無事かい??」と落としたものを拾い上げた。
「ダメだ~!凹んでる。〇〇ちゃんが怪我をした!!畜生!」と大きな声で叫び出した。
ザワザワした影は知らず知らず無くなっていた。
私はとっさに男性に声をかけた。
「大丈夫ですか?」
男性は
「うん?なんだ君は...も、もしかして、僕に気があるのかい?ざ、残念だが僕の心は〇〇ちゃん一筋だから、諦めたまえ!」と返答した。
(な、何を言っているんだ...この人は...)
(き、気持ち悪い)
「い、いぇ、大きな声を出して...何か困ってそうだったので...」
私にしか見えない、ザワザワ影の被害にあった人だったから、ちょっと気の毒になって声をかけただけだった。
へんな気を使って声をかけたこと。
後悔することになるとは、今の私には分からなかった。
男性は
「そ、そうなんだよ。〇〇ちゃんが怪我をした。見てくれたまえ。ここがへっこんで可愛い顔が台無しだよ」と続けた。
箱には中身の人形のポーズ姿が載っていた。
ちょうど顔の所が凹んだようだ。
「あぁ、〇〇ちゃん。早く帰って怪我を治そう」
(えっと...気持ち悪い。早く立ち去ろう)
「そうでしたか、どうぞお大事に」
私はその場を立ち去った。
「待ちたまえ!」
と、男性は私を呼び止める。
「君は〇〇ちゃんに似た匂いがする。これも一つの縁かもしれないぞ!」
と言い出した。
(嫌だ!本当に気持ち悪い)
「いえ、本当に急いでいるので...」
「安心したまえ、僕は〇〇ちゃん一筋40年。間違いは起こさない。だから、君をモデルとして写真を撮らせて欲しい」
(何なの?全てが間違っている。話しかけなければ良かった)
その瞬間、ザワザワ影が横切った。
(えっ?)
私は影の向かった方を向いた。
男性も私につられて、同じ方向を向いた。
その先には、ここにいる男性が持っている(〇〇ちゃんが入っている)紙袋を持つ、別の男性が歩いていた。
別の男性に影が近づいていく。
(あっ、危ない)
私はとっさに叫んだ。
やっぱり...
別の男性が手にしている紙袋が切れたのだ。
荷物がゆっくりと地面に落ち...
その時、私に言い寄っていた男性が「怪我をしたという〇〇ちゃん」を地面に滑らすように投げた。
運良く〇〇ちゃんの上に落ちた、別の男性の荷物。
事なきを得たようだ。
別の男性は
「貴方は命の恩人です。この〇〇ちゃんに何かあったら...」
(ああっ...やっぱり...)
男性の荷物も〇〇ちゃんだった。
私に言い寄っていた男性は
「限定〇〇ちゃんが見えたんだ。僕の悲劇は起こして欲しくなかったんだ。無事でよかった」
といい、自分の〇〇ちゃんを拾い上げた。
何か、この男性2人にスポットライトが当たっているように見えた。
「さて、待たせたね。さっきの続きだ。これから君の写真を撮影させて欲しい」
(ちょっとカッコ良く見えたのに台無し)
私は「そんなに積極的に私に話が出来るなら、〇〇ちゃんのような女の子を見つけてアプローチしたらいいんじゃないですか?」と怒りを表した。
「な、なんだと...」
私に言い寄って来た男性は戸惑いを見せた。
そこに、
「ちょっといいですか?」と救われた男性が会話に入ってきた。
「実は〇〇ちゃんにクリソツな子がそこにいるんです」と、カフェを指さした。
「僕はこれから行くのですが、命の恩人であるアナタでしたら、喜んで案内しますよ!」と私に言い寄って来た男性を誘った。
「なんですと!〇〇ちゃんがいるのかい!君は素晴らしい!是非行こう!」と、凄い勢いでカフェに向かった。
私にとって嵐が去った瞬間だった。
何かが間違っている。
でも、それでも一筋の愛を貫く人は時にちょっとカッコ良く見える瞬間があるのかも?
と思った。
カフェに向かう男性たちに、ザワザワ影が現れ近づいていく。
(あっ)と、私は思った。
しかし、次の瞬間、影が2人の男性から離れていった。
分からかったけど、もしかしたら、誰かと繋がりを持てたり、強く前向きに進んでいるときは影は近づかないのかもしれないな。
私は急いでケバブを買いに店を目指すことにした。
(次にこの街に来るときは...色々と気をつけよう...)
私は心に誓った。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。




どうやら貴方の隣は私の場所でなくなってしまったようなので、夜逃げします
皇 翼
恋愛
侯爵令嬢という何でも買ってもらえてどんな教育でも施してもらえる恵まれた立場、王太子という立場に恥じない、童話の王子様のように顔の整った婚約者。そして自分自身は最高の教育を施され、侯爵令嬢としてどこに出されても恥ずかしくない教養を身につけていて、顔が綺麗な両親に似たのだろう容姿は綺麗な方だと思う。
完璧……そう、完璧だと思っていた。自身の婚約者が、中庭で公爵令嬢とキスをしているのを見てしまうまでは――。
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる