69 / 107
勝負
68
しおりを挟む
雷亜はチャイムが鳴ると同時に校舎を飛び出し、グラウンドまで走った。
ジョージが、ランチのお供にグランド前の自動販売機でしか売っていないドリンクを所望したからだ。
『いいか、俺が食堂で飯を食う頃には、俺の前にあるようにしておけよ』
と、一方的なメールを授業中に押し付けてきた。
結果、雷亜は授業の終了チャイムと共に慌てて外に飛び出したのだ。
校舎からグラウンドに行くには、その間に生徒専用駐車場を通らなければならない。対してジョージのいる教室から食堂までは目と鼻先きだ。かなりのスピードで走らないとジョージが言った通りにドリンクを持って行くことが出来ない。この時間なら、動く車もないだろうと周囲に気を配らずに全力疾走をしていたら、目の前に突然車が現れた。
──危ない!
と思ったと同時に身を翻し、車のボンネットへと転がりながら、反対側へと着地した。
「あっ……ぶねぇな!──こんな所で何してるんだ!お前は!!」
と、車の運転手に怒鳴られ、そっちに振り返ったら相手はなんとシャノンだった。
「あ、あれ?今、来たの?」
午後から悠々とした重役出勤とは、それで授業の単位は大丈夫なのだろうか?と余計な心配をしてしまう。
「病院に寄ってから来たんだ」
「そ、そうだったんだ……」
「それより、お前はこんなところで何をしている?今ならランチの時間だろ?」
「あ!そうだった!!ごめん、俺、今、急いでジョージのお気に入りドリンクを買って来なくちゃいけないんだ。また、あとでね」
そう言って踵を返したら、後ろから「ちょっと待て!」と呼び止められた。
だが、言う通りに待ったら、ジョージにまたどやされる。仕方なく、「ごめん」と言って構わず走った。だが、シャノンは後ろから追いかけてきて、肩を掴み、瞬く間に雷亜を後ろから抱きすくめてきた。
「俺が待てって言ってんだから待てよ!」
「い、いや、でも……、ジョージに色々と悪い事をしちゃったから」
背中に当たるシャノンの厚い胸板を感じ、それだけで、急に口どもってしまう。
「あいつに悪い事をしたって言っても、どうせ発端はあいつだろ?放っておけよ」
「……で、でも……」
問題はジョージの機嫌取りなだけではないのだ。雷亜にとっては達也の存在の方が大きい。達也の意に添わない事をしたら、即、叔父に話が行きそうで怖かった。シャノンと出会った今となっては、余計に叔父から、留学を取り消されやしないかと気になってしまうのだ。
ジョージが、ランチのお供にグランド前の自動販売機でしか売っていないドリンクを所望したからだ。
『いいか、俺が食堂で飯を食う頃には、俺の前にあるようにしておけよ』
と、一方的なメールを授業中に押し付けてきた。
結果、雷亜は授業の終了チャイムと共に慌てて外に飛び出したのだ。
校舎からグラウンドに行くには、その間に生徒専用駐車場を通らなければならない。対してジョージのいる教室から食堂までは目と鼻先きだ。かなりのスピードで走らないとジョージが言った通りにドリンクを持って行くことが出来ない。この時間なら、動く車もないだろうと周囲に気を配らずに全力疾走をしていたら、目の前に突然車が現れた。
──危ない!
と思ったと同時に身を翻し、車のボンネットへと転がりながら、反対側へと着地した。
「あっ……ぶねぇな!──こんな所で何してるんだ!お前は!!」
と、車の運転手に怒鳴られ、そっちに振り返ったら相手はなんとシャノンだった。
「あ、あれ?今、来たの?」
午後から悠々とした重役出勤とは、それで授業の単位は大丈夫なのだろうか?と余計な心配をしてしまう。
「病院に寄ってから来たんだ」
「そ、そうだったんだ……」
「それより、お前はこんなところで何をしている?今ならランチの時間だろ?」
「あ!そうだった!!ごめん、俺、今、急いでジョージのお気に入りドリンクを買って来なくちゃいけないんだ。また、あとでね」
そう言って踵を返したら、後ろから「ちょっと待て!」と呼び止められた。
だが、言う通りに待ったら、ジョージにまたどやされる。仕方なく、「ごめん」と言って構わず走った。だが、シャノンは後ろから追いかけてきて、肩を掴み、瞬く間に雷亜を後ろから抱きすくめてきた。
「俺が待てって言ってんだから待てよ!」
「い、いや、でも……、ジョージに色々と悪い事をしちゃったから」
背中に当たるシャノンの厚い胸板を感じ、それだけで、急に口どもってしまう。
「あいつに悪い事をしたって言っても、どうせ発端はあいつだろ?放っておけよ」
「……で、でも……」
問題はジョージの機嫌取りなだけではないのだ。雷亜にとっては達也の存在の方が大きい。達也の意に添わない事をしたら、即、叔父に話が行きそうで怖かった。シャノンと出会った今となっては、余計に叔父から、留学を取り消されやしないかと気になってしまうのだ。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
専業種夫
カタナカナタ
BL
精力旺盛な彼氏の性処理を完璧にこなす「専業種夫」。彼の徹底された性行為のおかげで、彼氏は外ではハイクラスに働き、帰宅するとまた彼を激しく犯す。そんなゲイカップルの日々のルーティーンを描く。
【R18】孕まぬΩは皆の玩具【完結】
海林檎
BL
子宮はあるのに卵巣が存在しない。
発情期はあるのに妊娠ができない。
番を作ることさえ叶わない。
そんなΩとして生まれた少年の生活は
荒んだものでした。
親には疎まれ味方なんて居ない。
「子供できないとか発散にはちょうどいいじゃん」
少年達はそう言って玩具にしました。
誰も救えない
誰も救ってくれない
いっそ消えてしまった方が楽だ。
旧校舎の屋上に行った時に出会ったのは
「噂の玩具君だろ?」
陽キャの三年生でした。
【R18】奴隷に堕ちた騎士
蒼い月
BL
気持ちはR25くらい。妖精族の騎士の美青年が①野盗に捕らえられて調教され②闇オークションにかけられて輪姦され③落札したご主人様に毎日めちゃくちゃに犯され④奴隷品評会で他の奴隷たちの特殊プレイを尻目に乱交し⑤縁あって一緒に自由の身になった両性具有の奴隷少年とよしよし百合セックスをしながらそっと暮らす話。9割は愛のないスケベですが、1割は救済用ラブ。サブヒロインは主人公とくっ付くまで大分可哀想な感じなので、地雷の気配を感じた方は読み飛ばしてください。
※主人公は9割突っ込まれてアンアン言わされる側ですが、終盤1割は突っ込む側なので、攻守逆転が苦手な方はご注意ください。
誤字報告は近況ボードにお願いします。無理やり何となくハピエンですが、不幸な方が抜けたり萌えたりする方は3章くらいまでをおススメします。
※無事に完結しました!
潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
あかさたな!
BL
潜入捜査官のユウジは
マフィアのボスの愛人まで潜入していた。
だがある日、それがボスにバレて、
執着監禁されちゃって、
幸せになっちゃう話
少し歪んだ愛だが、ルカという歳下に
メロメロに溺愛されちゃう。
そんなハッピー寄りなティーストです!
▶︎潜入捜査とかスパイとか設定がかなりゆるふわですが、
雰囲気だけ楽しんでいただけると幸いです!
_____
▶︎タイトルそのうち変えます
2022/05/16変更!
拘束(仮題名)→ 潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
▶︎毎日18時更新頑張ります!一万字前後のお話に収める予定です
2022/05/24の更新は1日お休みします。すみません。
▶︎▶︎r18表現が含まれます※ ◀︎◀︎
_____
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる