112 / 116
陶也side2
110
しおりを挟む
13年間も会わずにいた母に、連絡して会うというのは、流石に出来なかった。
母はお爺ちゃんの葬儀にも、弔電だけで、来てはくれなかった。だから、よっぽど自分に会うのは後ろめたい、嫌な事なのかもしれない。
だから、陶也はどうしても勇気が出せなかった。
しかし、イザヤの言葉が陶也の背中を押した。
「俺だって、いきなりサラが現れた時は、とんでもなく嫌だったけど、今となっては来てくれて良かったと思ってる。本当に言いたかった事をあいつにぶつけられたから──、もし、あれを言えなかったら、心の底であいつを恨み続けたまま、騙し騙し今も生きてるんだ。それもまた辛い。だから、お前も会うだけ会って、すっきりしてこいよ。相手がどう受け止めるかは分からないけど、お前が笑顔を見せて、幸せに生きてりゃ、それだけで母親は安心じゃねぇのか?」
俺も一緒に行くからさ、と言ってくれた。
イザヤが側に居てくれるのなら、陶也にとってこんなに力強い事はない。
そんな訳で、一か八かの突撃に賭けたのだ。
母の家が近付いて来ると、陶也の足は、次第に震えてきた。
途中、何度か立ち止まっては、イザヤが心配そうに顔を覗き込んだ。
顔を上げ青い空を眺めると、陶也は大きく息を吸った。
──大丈夫だ。素直にずっと言いたかった事を言えばいいのだ。
そう決心したところ、脇を小学1年生位の女の子と4年生位の男の子が走ってきて、母の居る家へ、「ただいまー!」と言って駆け込んで行った。
陶也とイザヤは顔を見合わせた。
──今のは陶也の兄弟?!
初めて見る自分の兄弟達が、元気に帰宅していく様子に、陶也は安堵した。
──幸せに暮らしているんだ。
途端に自分が現れる事で、その幸せを壊してしまわないか不安になった。
母はお爺ちゃんの葬儀にも、弔電だけで、来てはくれなかった。だから、よっぽど自分に会うのは後ろめたい、嫌な事なのかもしれない。
だから、陶也はどうしても勇気が出せなかった。
しかし、イザヤの言葉が陶也の背中を押した。
「俺だって、いきなりサラが現れた時は、とんでもなく嫌だったけど、今となっては来てくれて良かったと思ってる。本当に言いたかった事をあいつにぶつけられたから──、もし、あれを言えなかったら、心の底であいつを恨み続けたまま、騙し騙し今も生きてるんだ。それもまた辛い。だから、お前も会うだけ会って、すっきりしてこいよ。相手がどう受け止めるかは分からないけど、お前が笑顔を見せて、幸せに生きてりゃ、それだけで母親は安心じゃねぇのか?」
俺も一緒に行くからさ、と言ってくれた。
イザヤが側に居てくれるのなら、陶也にとってこんなに力強い事はない。
そんな訳で、一か八かの突撃に賭けたのだ。
母の家が近付いて来ると、陶也の足は、次第に震えてきた。
途中、何度か立ち止まっては、イザヤが心配そうに顔を覗き込んだ。
顔を上げ青い空を眺めると、陶也は大きく息を吸った。
──大丈夫だ。素直にずっと言いたかった事を言えばいいのだ。
そう決心したところ、脇を小学1年生位の女の子と4年生位の男の子が走ってきて、母の居る家へ、「ただいまー!」と言って駆け込んで行った。
陶也とイザヤは顔を見合わせた。
──今のは陶也の兄弟?!
初めて見る自分の兄弟達が、元気に帰宅していく様子に、陶也は安堵した。
──幸せに暮らしているんだ。
途端に自分が現れる事で、その幸せを壊してしまわないか不安になった。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
【R18】孕まぬΩは皆の玩具【完結】
海林檎
BL
子宮はあるのに卵巣が存在しない。
発情期はあるのに妊娠ができない。
番を作ることさえ叶わない。
そんなΩとして生まれた少年の生活は
荒んだものでした。
親には疎まれ味方なんて居ない。
「子供できないとか発散にはちょうどいいじゃん」
少年達はそう言って玩具にしました。
誰も救えない
誰も救ってくれない
いっそ消えてしまった方が楽だ。
旧校舎の屋上に行った時に出会ったのは
「噂の玩具君だろ?」
陽キャの三年生でした。
出産は一番の快楽
及川雨音
BL
出産するのが快感の出産フェチな両性具有総受け話。
とにかく出産が好きすぎて出産出産言いまくってます。出産がゲシュタルト崩壊気味。
【注意事項】
*受けは出産したいだけなので、相手や産まれた子どもに興味はないです。
*寝取られ(NTR)属性持ち攻め有りの複数ヤンデレ攻め
*倫理観・道徳観・貞操観が皆無、不謹慎注意
*軽く出産シーン有り
*ボテ腹、母乳、アクメ、授乳、女性器、おっぱい描写有り
続編)
*近親相姦・母子相姦要素有り
*奇形発言注意
*カニバリズム発言有り
専業種夫
カタナカナタ
BL
精力旺盛な彼氏の性処理を完璧にこなす「専業種夫」。彼の徹底された性行為のおかげで、彼氏は外ではハイクラスに働き、帰宅するとまた彼を激しく犯す。そんなゲイカップルの日々のルーティーンを描く。
生贄として捧げられたら人外にぐちゃぐちゃにされた
キルキ
BL
生贄になった主人公が、正体不明の何かにめちゃくちゃにされ挙げ句、いっぱい愛してもらう話。こんなタイトルですがハピエンです。
人外✕人間
♡喘ぎな分、いつもより過激です。
以下注意
♡喘ぎ/淫語/直腸責め/快楽墜ち/輪姦/異種姦/複数プレイ/フェラ/二輪挿し/無理矢理要素あり
2024/01/31追記
本作品はキルキのオリジナル小説です。
勇者の股間触ったらエライことになった
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。
町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。
オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる