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85親父との決闘〜結局最後は反則って嘘だろ?~
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「う……かくなる上は……」
突然、親父が大声でどなった。
「うおおおおおおおおおっ!! 作戦B!」
手を大空へ広げて、天を仰ぎ見る。そして賢者の杖を天にかざす。
すると、親父の周りを金色の粒子が舞い落ちる。
これはアレだな。初めて見るけど、すぐわかる。
「「「「「「「「「それ、インチキだろう!!!!」」」」」」」」」」
盛大に観客総員からツッコミを受ける父。
だって、白いローブを着た、怪しい男たちが観客席の一番前に立ち、父に強化魔法をこれでもかと、何重にもかけているのだ。もう、こっそりとかじゃなく堂々と。
「まあ、呪文詠唱に動作も必要だもんな、あれ」
仮にも元は親なので、恥ずかしい。せめて、もうチョットわからんようにやれ。
「ふふふ、獅子はウサギを狩るにも全力を尽くす。覚えておくことだな」
「いや、男の矜持をかけた戦いに卑怯はないって、あんた言っていたよな?」
「そんなことは言っておらん。勝ちさえすれば良いのだ」
いや、言ったよ。俺のあの時の感動と尊敬の念を返せ。
そもそも賢者の称号を持つ者がそれでいいのか?
「……やるか」
俺は親父の次の一手を見極めるため、警戒を強める。
――親父の奴、インチキまでして勝ちに拘るか?
さっきまでとは魔力の圧が段違いだ。ドーピングで質を上げたとはいえ、さすがは賢者、元の魔力の凄さから、凄まじい魔法を繰り出して来ることは間違いない。
「……まあ、そうでないと面白くないな」
俺の呟きに、親父は。
「な、なんだと!?」
と、眉をヒクヒクさせる。あれ、漫画じゃなくても出来るものなんだな。
「俺もまだまだ本気じゃないからな。こんなにあっさり終わられたらかなわん」
「は、ハッタリを……どうせ口……だけだ!」
親父はわかりやすく絶望したように呟いたが、己を奮い立たせたのだろう、数秒後、目が笑っていないで顔で笑みを浮かべる。
「ふふふ……。冗談も大概にしろ。これだけ強化魔法がかかった私に勝てるとでも思うのか?」
「まあ――すぐにわかるだろ」
「ぐっ。いちいち腹の立つヤツだ……」
親父は表情を歪めると、再び賢者の杖を掲げる。
「強化魔法は賢者の杖の効果も数十倍にする。絶望するがいい、どんなに強い攻撃魔法を持っていようとも、私には勝てん」
「……面白いな。 やはりそうじゃないとな」
そういう勝ち筋を考えたか。確かに賢者の杖の防御魔法だとただの攻撃型の符術では勝てない、だが。
符術使いであると同時に火、土、風、水、光、闇、雷、そして無属性の8属性を持つ俺にしかできない技。
それを思いついた。史上最強と言われる賢者の杖の防御結界、数十倍に強化されていれば、さすがに俺の符術でも破れない。火と水と土だけならばな。
「神が心を尽くして神を愛する時 過去の罪は赦され……水によって生まれる」
父が神級の魔法を唱え始める。絶対防御があるからこそ親父の賢者としての名は偉大になったのだ。
親父は賢者の杖をとあるダンジョンで発見した。ダンジョンで発見したアイテムは発見者の所有物になる。賢者の杖を手に入れるまではそれなりに努力をし、人の心が分かる人間だったのかもしれない。人より秀でた力……それは時には人を惑わす。
俺は決してそうならない。他でもない自身の父だった男を反面教師として学んだ。
領地の冒険者達はスキルに恵まれない。だから生活魔法を工夫して使う。
それが貴族達にはない。その貴族の象徴であるのが、目の前の親父だ。
優れた才能は貴族に現れやすい。いや、優れた才能を輩出する家系が貴族へとなったのだ。
だからこそ、この戦いに意味があるのかもしれない。ハズレスキルの俺に賢者であり貴族の親父が敗れるということに。
俺の頭には一つの勝ち筋が浮かんでいた。
突然、親父が大声でどなった。
「うおおおおおおおおおっ!! 作戦B!」
手を大空へ広げて、天を仰ぎ見る。そして賢者の杖を天にかざす。
すると、親父の周りを金色の粒子が舞い落ちる。
これはアレだな。初めて見るけど、すぐわかる。
「「「「「「「「「それ、インチキだろう!!!!」」」」」」」」」」
盛大に観客総員からツッコミを受ける父。
だって、白いローブを着た、怪しい男たちが観客席の一番前に立ち、父に強化魔法をこれでもかと、何重にもかけているのだ。もう、こっそりとかじゃなく堂々と。
「まあ、呪文詠唱に動作も必要だもんな、あれ」
仮にも元は親なので、恥ずかしい。せめて、もうチョットわからんようにやれ。
「ふふふ、獅子はウサギを狩るにも全力を尽くす。覚えておくことだな」
「いや、男の矜持をかけた戦いに卑怯はないって、あんた言っていたよな?」
「そんなことは言っておらん。勝ちさえすれば良いのだ」
いや、言ったよ。俺のあの時の感動と尊敬の念を返せ。
そもそも賢者の称号を持つ者がそれでいいのか?
「……やるか」
俺は親父の次の一手を見極めるため、警戒を強める。
――親父の奴、インチキまでして勝ちに拘るか?
さっきまでとは魔力の圧が段違いだ。ドーピングで質を上げたとはいえ、さすがは賢者、元の魔力の凄さから、凄まじい魔法を繰り出して来ることは間違いない。
「……まあ、そうでないと面白くないな」
俺の呟きに、親父は。
「な、なんだと!?」
と、眉をヒクヒクさせる。あれ、漫画じゃなくても出来るものなんだな。
「俺もまだまだ本気じゃないからな。こんなにあっさり終わられたらかなわん」
「は、ハッタリを……どうせ口……だけだ!」
親父はわかりやすく絶望したように呟いたが、己を奮い立たせたのだろう、数秒後、目が笑っていないで顔で笑みを浮かべる。
「ふふふ……。冗談も大概にしろ。これだけ強化魔法がかかった私に勝てるとでも思うのか?」
「まあ――すぐにわかるだろ」
「ぐっ。いちいち腹の立つヤツだ……」
親父は表情を歪めると、再び賢者の杖を掲げる。
「強化魔法は賢者の杖の効果も数十倍にする。絶望するがいい、どんなに強い攻撃魔法を持っていようとも、私には勝てん」
「……面白いな。 やはりそうじゃないとな」
そういう勝ち筋を考えたか。確かに賢者の杖の防御魔法だとただの攻撃型の符術では勝てない、だが。
符術使いであると同時に火、土、風、水、光、闇、雷、そして無属性の8属性を持つ俺にしかできない技。
それを思いついた。史上最強と言われる賢者の杖の防御結界、数十倍に強化されていれば、さすがに俺の符術でも破れない。火と水と土だけならばな。
「神が心を尽くして神を愛する時 過去の罪は赦され……水によって生まれる」
父が神級の魔法を唱え始める。絶対防御があるからこそ親父の賢者としての名は偉大になったのだ。
親父は賢者の杖をとあるダンジョンで発見した。ダンジョンで発見したアイテムは発見者の所有物になる。賢者の杖を手に入れるまではそれなりに努力をし、人の心が分かる人間だったのかもしれない。人より秀でた力……それは時には人を惑わす。
俺は決してそうならない。他でもない自身の父だった男を反面教師として学んだ。
領地の冒険者達はスキルに恵まれない。だから生活魔法を工夫して使う。
それが貴族達にはない。その貴族の象徴であるのが、目の前の親父だ。
優れた才能は貴族に現れやすい。いや、優れた才能を輩出する家系が貴族へとなったのだ。
だからこそ、この戦いに意味があるのかもしれない。ハズレスキルの俺に賢者であり貴族の親父が敗れるということに。
俺の頭には一つの勝ち筋が浮かんでいた。
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