俺は空気が読める~魔力0の無能と馬鹿にされてダンジョンに追放された俺、実は災害級のスキルがぶっ壊れていて世界最強にして唯一の剣士になる~

島風

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67聖女に騙されて人攫いにされた件

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「お兄ちゃんとお姉さん何しようとしてゆの?」 

俺とシエナがコソコソとキスをしようとすると何故か愛らしい幼女が俺とシエナを見つめていた。 

「い、いや俺達はただな」 

「そうなのです。見つめ合っていただけなのです」 

「キスしようとしてたんだゆね?」 

わかっていたら関わるな! 

キスし損ねただろ! 

俺達が話し込んでしまったおかげでアリスとルナが来てしまった。 

「ノア君どうしたの?」 

「ご主人様? 小さな女の子の声が?」 

俺はダラダラと冷や汗をかいた。 

なんか浮気現場で彼女に出くわしたみたいな感覚だ。 

ほぼ同じことなんだけど。 

「お兄ちゃん、モテモテだね?」 

「い、いや、この子達とはそんなじゃないからな」 

「え? ノア君、まだそんなこと言ってるの? いい加減諦めようよ?」 

「そうです。ご主人様は愛妾を既に3人も抱える身です。そして僕は忠実なペットです」 

「そうなのです。わたくしももう、この際愛妾でいいと割り切ったのです。そうすれば確実にノア様の恋人になれるのです。今だって……キ、キスを」 

「わぁああああああ!!」 

俺は慌てて大声を出す。 

でも、誤魔化せる訳もなく。 

「ノア君? 酷くないかな? こっそり隠れてキスするとか?」 

「ご、ご主人様……が、シエナ様とキ、キス。ぼ、僕もキスして欲しい!」 

「いや、これは出来心だし、俺、まだリリーのことを!」 

そうは言ったがアリスが蔑んだような顔で。 

「その割に前が立派だよ。それにノア君、私とも何度もキスしたよね?」 

「「えええええ!!」」 

シエナとルナが驚く。 

アリスだけでなく、ルナとシエナの目も何だか俺のことを蔑んでいるような。 

クソ!! 

でも、言い訳できない。 

俺の馬鹿!! 

一時の誘惑に負けてしまった! 

リリーのことにちゃんと区切りをつけてからと誓ったのに。 

「ノア君、でも、リリーさんのことはどこで区切りをつけるの? 人間の心ってそんな簡単に突然区切りなんてつかないよ。流されたからと言ってもリリーさんも誰も責めないよ」 

「……ア、アリス」 

俺にはアリスが天使のように見えた。 

しかし。 

「でもコソコソ隠れて他の女の子とキスするようなノア君にはお仕置きが必要だと思うな」 

「僕もそう思います。例えペットの身でも許せないです!」 

「そうなのです。キスしてくれなかった上、既にアリスさんと何度もキスしていたなんて、これはお仕置きが必要なのです」 

え? 

ルナはこんな時にだけ恋人らしいこと考えるの? 

シエナはこっそり俺とキスしようとした張本人なのに俺にお仕置きが必要っておかしくない? 

「お兄ちゃん達、仲がゆいのだね。ところで、リナのこと助けてくれないかな?」 

「助ける?」 

突然のことで頭が回っていなかったけど、こんな世紀末な場所にこの女の子は相応しくない。 

身なりはかなり整っている。上質な絹の洋服によく手入れされた髪、整った顔立ち。 

明らかに上流階級の子供だ。 

こんな所にいたら確実に攫われるか見ぐるみ剥がされるとか酷い目に遭うに決まっている。 

俺はこの女の子を助けようと思った。 

話誤魔化せるし。 

「君はリナちゃんて言うんだね? もしかして迷子?」 

「ううん、リナ、悪い奴らに攫われた所を逃げた所なの」 

「何だって?」 

思わぬことだが、どうもこの子は人攫いにまさに攫われそうになっていた。 

こんな所にいた理由も合点が行く。 

「わかった。お兄ちゃん達が責任を持って親御さんの所に連れて行ってあげるからね」 

そう言うと、リナと言う子は。 

「……リナのお父さんとお母さんは」 

気がつくと俺は涙腺が崩壊していた。 

俺、そういう話だめなんだ。 

「みんな、今日はこの子を身よりまで送り届けることに変更するよ。いいよね」 

「もちろんだよ、ノア君、当然だよ。みんなもいいよね?」 

「「はい」」 

反対意見など出る筈もなく、俺達はリナという女の子を連れて路地裏から無事脱出した。 

ほとんど脱出していた時、背後から大声が聞こえた。 

「リ、リナ様がまた脱走されたぁ! 早く見つけるんだ! こんな所でおかしなロリコンに見つかったら確実に攫われる!」 

「いや、これだけ探して見つからないなんて、既に人攫いに攫われたんじゃないか?」 

えええええ!? 

俺は驚いてリナちゃんを見た。すると、リナちゃんはニヤリと笑った。 

天使のような顔立ちにそぐわない邪悪な顔。 

俺は騙されたことを察した。 
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