俺は空気が読める~魔力0の無能と馬鹿にされてダンジョンに追放された俺、実は災害級のスキルがぶっ壊れていて世界最強にして唯一の剣士になる~

島風

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63俺を慕って実家の臣下たちが来ちゃった件~実家はどうも積んだ模様~

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「本日、代表として来た者達はこの二人とのことだ。ユングリング家で執事をしていたそうだ」  

「えっ?」  

俺は突然のことに驚く。養父 辺境領アーサーさんが持って来た知らせにだ。  

「執事長のエーリヒが来ているのですか?」  

「あぁ、さすがにそうかどうか……私にはわからないがノア君が会えばわかるだろう」  

あとは辺境兵団長のベルンハルトか? それとも行政府の官吏か?  

「俺としては師であるエーリヒさん達が来てくれて嬉しいのですが、この領に需要はありますか?」  

「とても大丈夫……とは言い難い状況だね」  

実家の領からかつての家臣が二人来ただけなのに?  

二人を雇ってもいいかという質問だったのだが、二人雇うのも難しい財政状況か?  

それにしても、実家はさぞかし困るだろうと思っていたが、どうやら止めが刺されたようだ。馬鹿な父親だとわかっていたが、さすがに心配になる位のひどさだ。  

領地経営の要、エーリヒに逃げられるなんて……。  

エーリヒはユングリング領の全てを管理していたと言っても過言ではない人だ。  

結局、尋ねて来たのはエーリヒと兵団長のベルンハルトだった。  

兵団長ベルンハルトは俺の戦術の師匠で、ハズレスキルなものの、努力と工夫、人望で兵団長までに登りつめた。  

そして屋敷の応接室に向かう。  

廊下に護衛の騎士二人が立っていて、重そうな扉が開かれた。  

「お坊ちゃま、元気そうですね!」   

先に声を駆けてくれたのは執事長のエーリヒだった。   

「エーリヒも元気そうだな。馬車での旅は大変じゃなかった?」   

「いや、流石に堪えました。ベルンハルトめと違って、わたくしめはこの通り、繊細な体の造りをしておりまして」   

懐かしいかつての家臣との会話に心が弾む。それにしても相変わらずの毒舌だ。何故なら。  

「エーリヒよ。お前、俺が筋肉バカだと遠まわしに言っていないか?」  

「遠まわしになど言っておらん。そのままの意味じゃ」  

「余計酷いだろう?」  

いつもの二人の掛け合い漫才に苦笑する。   

「来てくれてありがとう。俺は嬉しい。正直、二度と会えないかと思っていた」  

「ノアお坊ちゃま。またお坊ちゃまのお手伝いができればと思い、はせ参じました」  

「いや、ノア様を追放したと聞いて憤慨して坊ちゃんが生きていると聞いていてもたってもいられず出奔したものの、食うに困ったから坊ちゃんを頼ってきただけだろう?」   

「そういうお前も同じじゃろ?」   

すっかり上機嫌になっていたが、養父に『座ったらどうか?』と促されて気がついた。   

「申し訳ございません。ご紹介もせずに……」   

「かまわない。話すのならば、まず、みな座ったほうが良いね」   

応接室はちょっとした会議室も兼ねており、広い机とゆったり座れる椅子もあった。   

「今日、この話しあいの場を設けた理由はノア君との面会だけでなく、移住についてだね」   

驚いたことに最初は数人かつての家臣が来てくれたものと思っていたが、百人単位で駆けつけてくれていた。受け入れるにもそれなりの準備が必要だ。   

「予定では五百人前後が来る予定です。そこでご相談なのですが、街の近くに小さな村を作る許可をいただければ後は我々で何とかできるかと」   

「エーリヒはノア様に雇ってもらおうという腹だったんだが、誘ってない奴らまで移住したいって言いだして、既に百人近くが到着しているんだ。先に居場所を作ってやらんと、居場所に困るヤツらが出かねん。この街の近くの山麓に温泉が噴き出たという話を聞いて、ちょうどいいからそこを開拓しようってね」  

あ、それ俺が巫術で作った温泉だ。  

冒険者試験の時、最後にやっちゃった。 

何が幸いするかわからんもんだな。 

感慨深げに俺はエーリヒとベルンハルトを眺めるのだった。 
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