31 / 92
31俺は空気が読める1
しおりを挟む
アリスを真っ二つにしてしばらくアリスは戦闘不能だ。
流石に今の状態では魔力を操ることはできないだろう。
今のアリスは蘇生に魔力が自然に全部流れている。
吸血鬼の不死性はその魔力が根源だ。
魔力が枯渇している時に殺られれば死んでしまう。
今のアリスはMPがほぼ満タンだから死ぬことはない。
だが、今のアリスは以前より強くなっている。
おそらく10分もすれば完全復活する。
その前に決着をつけないと。
「ノア・ユングリングが問う、彼はなんぞ?」
『我は炎、汝の敵を打ち砕く燃え盛る炎。汝の敵を打ち砕く刃なり』
俺は目眩しに火の巫術を打ち込み、ドラゴンのすぐ近く。その巨大な顎に近づいた。
危険とは知りつつ、口の中に巫術を打ち込むためだ。
探知の魔法を持っていないと信じたい。
だが。
「グア!?」
俺の身体を顎ではなく、石で出来た剣が俺の身体を引き裂いた。
土の上位魔法か?
俺には探知のスキルで魔力の流れはわかる。
だが、このドラゴンに魔力が渦巻いたのはほんの一瞬。
「アリスとおんなじで、詠唱破棄で魔法かませるとかどんなけチートなんだよ!」
俺の目は虚ろで見えにくくなっているし、身体はフラフラとし始めている。もう、限界だ。体力的にも、HP的にも、精神的にも……何もかもが俺の限界を示していた。
しかし、その時。
宙に文字が浮かんだ。
『力が欲しいか?』
欲しい。
力が欲しい。
勝てなければ復讐ができない。
いや、それよりもこのままではアリスが死んでしまう。
アリスも永遠に不死ではいられないんだ。
「欲しい! 力が欲しい!」
すると宙に更に文字が浮かんだ。
『汝に問う。汝は何故力を欲する?』
「俺は……俺はアリスを守りたい!」
俺は咄嗟に答えた。
俺の本音。
復讐の前に仲間を守りたい。
理不尽にリリーを殺された俺。
もし、俺に力があったら?
アリスの存在が俺にそう思わせた。
『では我に問うがいい。空気を読め』
「分かった」
俺は最後の力を振り絞ってドラゴンの土魔法の攻撃を避けながら空気を読んだ。
「ノア・ユングリングが問う、彼はなんぞ?」
『我は……我は人を救うものなり……人を仇なすものではない……我は人を救う牙なり』
俺の身体に信じられない闘気が流れ込むのがわかる。
その闘気の奔流は凄まじく、俺の筋肉の筋や血管がちぎれる。
「おおおおおおおおおおお!!」
思わず叫ぶ。
『読むがいい。空気を。汝は最強。心正しい最強の戦士だ』
俺は宙に現れる武術言語を読んだ。
「我に恐怖なし。我に勇気あり。我剣は人を救う守護の剣なり。人を救う我剣に敵うものなし!」
いつもと違う武術言語。
そしてそれは4節。
俺の闘気が更に膨れ上がる。
「阿修羅剣!」
続け様に武技を放つ。
そして、剣戟をエンシャントドラゴンに放ちまくる。
俺の武技はドラゴンにかなりのダメージを与えた。
そして、今の俺の剣はドラゴンの鱗を粉砕する。
ボロボロなドラゴン。
自然治癒が始まっているが、そんなものが間に合わないスピードでダメージを与えて行く。
質的にも量的にも反撃も治癒も許さない。
「阿修羅剣!」
すっかりHPを削られたドラゴンに最後の止めを刺す。
「グェアアアアア!!」
エンシャントドラゴンの断末魔の叫びがこだまする。
俺のスキルがドラゴンの生命が消えたことを探知した。
「流石にもう、これ以上戦えない」
最後の武技を叩き込んだところで俺のHPは限りなく0になった。
謎の呼びかけに答えた俺に溢れた闘気は俺自身を傷つけていた。
あちこちの筋肉の繊維がちぎれ、筋が切れ、血管がちぎれていた。
そして俺の意識は途切れた。
流石に今の状態では魔力を操ることはできないだろう。
今のアリスは蘇生に魔力が自然に全部流れている。
吸血鬼の不死性はその魔力が根源だ。
魔力が枯渇している時に殺られれば死んでしまう。
今のアリスはMPがほぼ満タンだから死ぬことはない。
だが、今のアリスは以前より強くなっている。
おそらく10分もすれば完全復活する。
その前に決着をつけないと。
「ノア・ユングリングが問う、彼はなんぞ?」
『我は炎、汝の敵を打ち砕く燃え盛る炎。汝の敵を打ち砕く刃なり』
俺は目眩しに火の巫術を打ち込み、ドラゴンのすぐ近く。その巨大な顎に近づいた。
危険とは知りつつ、口の中に巫術を打ち込むためだ。
探知の魔法を持っていないと信じたい。
だが。
「グア!?」
俺の身体を顎ではなく、石で出来た剣が俺の身体を引き裂いた。
土の上位魔法か?
俺には探知のスキルで魔力の流れはわかる。
だが、このドラゴンに魔力が渦巻いたのはほんの一瞬。
「アリスとおんなじで、詠唱破棄で魔法かませるとかどんなけチートなんだよ!」
俺の目は虚ろで見えにくくなっているし、身体はフラフラとし始めている。もう、限界だ。体力的にも、HP的にも、精神的にも……何もかもが俺の限界を示していた。
しかし、その時。
宙に文字が浮かんだ。
『力が欲しいか?』
欲しい。
力が欲しい。
勝てなければ復讐ができない。
いや、それよりもこのままではアリスが死んでしまう。
アリスも永遠に不死ではいられないんだ。
「欲しい! 力が欲しい!」
すると宙に更に文字が浮かんだ。
『汝に問う。汝は何故力を欲する?』
「俺は……俺はアリスを守りたい!」
俺は咄嗟に答えた。
俺の本音。
復讐の前に仲間を守りたい。
理不尽にリリーを殺された俺。
もし、俺に力があったら?
アリスの存在が俺にそう思わせた。
『では我に問うがいい。空気を読め』
「分かった」
俺は最後の力を振り絞ってドラゴンの土魔法の攻撃を避けながら空気を読んだ。
「ノア・ユングリングが問う、彼はなんぞ?」
『我は……我は人を救うものなり……人を仇なすものではない……我は人を救う牙なり』
俺の身体に信じられない闘気が流れ込むのがわかる。
その闘気の奔流は凄まじく、俺の筋肉の筋や血管がちぎれる。
「おおおおおおおおおおお!!」
思わず叫ぶ。
『読むがいい。空気を。汝は最強。心正しい最強の戦士だ』
俺は宙に現れる武術言語を読んだ。
「我に恐怖なし。我に勇気あり。我剣は人を救う守護の剣なり。人を救う我剣に敵うものなし!」
いつもと違う武術言語。
そしてそれは4節。
俺の闘気が更に膨れ上がる。
「阿修羅剣!」
続け様に武技を放つ。
そして、剣戟をエンシャントドラゴンに放ちまくる。
俺の武技はドラゴンにかなりのダメージを与えた。
そして、今の俺の剣はドラゴンの鱗を粉砕する。
ボロボロなドラゴン。
自然治癒が始まっているが、そんなものが間に合わないスピードでダメージを与えて行く。
質的にも量的にも反撃も治癒も許さない。
「阿修羅剣!」
すっかりHPを削られたドラゴンに最後の止めを刺す。
「グェアアアアア!!」
エンシャントドラゴンの断末魔の叫びがこだまする。
俺のスキルがドラゴンの生命が消えたことを探知した。
「流石にもう、これ以上戦えない」
最後の武技を叩き込んだところで俺のHPは限りなく0になった。
謎の呼びかけに答えた俺に溢れた闘気は俺自身を傷つけていた。
あちこちの筋肉の繊維がちぎれ、筋が切れ、血管がちぎれていた。
そして俺の意識は途切れた。
0
お気に入りに追加
712
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します
あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。
異世界パルメディアは、大魔法文明時代。
だが、その時代は崩壊寸前だった。
なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。
マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。
追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。
ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。
世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。
無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。
化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。
そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。
当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。
ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。


日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる