49 / 62
第49話 処罰
しおりを挟む
俺達はエリアス達勇者パーティを王都へ連行した。
ベリアルは全て喋った。彼も武人、本意ではなかった様だ。
こうして、シュツットガルト公と勇者エリアスの悪事は明るみになった。
アルベルティーナの後ろ盾は賢者マリアだった。
そして、国王陛下の元、裁判が始まった。
「皆の者、顔をあげい」
「「「「「はっ」」」」
国王陛下は凄まじい圧を発していた。
一国をまとめるには相当の胆力がいるのだろう。
ただの老人ではない。
「エール地方伯爵シュツットガルト、貴様の罪状明白、この飢饉の時に民の血税を不当にあげ、尚且つ、卑怯にもその要因を、自作自演するなど、言語道断、貴様には死罪を与える。斬首刑だ」
「はは、国王陛下の命ざれるがままに」
シュツットガルト公は毅然と死罪を受け入れた。もとより覚悟していたのだろう。
「そして、勇者パーティの悪事、看過できん。エール地方伯爵の所業、エリアス他、勇者の従者の入れ知恵である事、明白、従者アリシア、ベアトリス、アリス、3名を斬首刑とする。そして、勇者エリアス、貴様は謹慎せよ。」
「陛下の意のままに」
「そ、そんな!」
「私が、私が死罪」
アリシアだけが無言だった。最初から死罪を受け入れていたのか? 最初からわかっていたのか?
ベアトリスとアリスは受け入れ難い様だ。ベアトリスはエリアスを信じていただけなのだ。
「ま、待って下さい!」
俺は思わず声を出してしまった。平民、いや、奴隷の俺が発言などできる筈が等ないが、
「アリシアとベアトリスの刑を減刑下さい。二人は勇者に騙されていただけで、悪事には加担等していない筈です」
「レオンよ、そなたの気持ちはわかる。血を分け合った妹、かつての婚約者、だがな、ベアトリスが罪の無い冒険者を殺害した事実、アリシアがエール地方伯爵との連絡員だった事実、罪は重い。何より、民は許さない。決して」
「では、何故、勇者エリアスは謹慎だけなのですか? おかしいでは無いですか?」
「許せ、魔王を封印できる者は勇者エリアスだけだ。私とて不快極まるのだ」
「魔王は俺が倒します。虚数魔法使いの俺が必ず倒します。だから、お願いします!」
「御伽噺の世界を信じる訳にはいかん」
「......そ、そんな」
「国王陛下、アリスは関係ありません」
エリアスが言い出した。
「なんだと?」
「アリスは都のパーティにも行った事すらございません。二人と違って」
「エリアス様、私も助けて下さい。私を愛してくれているのでしょう?」
ベアトリスが悲鳴にも似たような声で訴える。
「お前は散々冒険者を殺したじゃ無いか?」
「だって、あの人達は悪い奴らだって......」
「そんな訳あるか、お前は俺の代わりに死ね」
「そ、そんな、私を愛してくれたんじゃ......」
「ただの遊びに決まってるだろ、頭悪いな」
『ぎり』
俺は唇を噛んだ。妹への侮辱、たとえ俺を裏切った妹へ対してのものでも悔しい。
エリアスが死罪なら、仕方がない、だが、エリアスだけはのうのうと生きるだと?
「わかった。アリスへの刑は減刑しよう。エリアス同様謹慎じゃ」
エリアスは俺を見た。そしてあの冷酷な薄ら笑いをした。
『ぎり』
俺は更に唇を噛んだ。
『こんな、こんな事ってあるか? 何故悪事を働いたエリアスが謹慎で、アリシアとベアトリスが極刑なんだ? そんなのおかしいだろ?』
兵がシュツットガルト公、エリアス、アリシア、ベアトリス、アリスを連行する。
手に枷を架されたアリシアとベアトリスは俺の横を通りすがら俺に話しかけた。
「レオン。ありがとう。助けようとしてくれて」
「お兄ちゃん、ありがとう。そして、ごめんなさい」
二人が通りすがら俺に声をかけた時、俺はもう我慢できなくなった。
「王よ、おかしいだろう? 二人の罪はそんなに重いのですか?」
「止めて、レオン」
アルベルティーナが俺を諭す。
「お願いだから、国王の決定は絶対なの」
アルベルティーナは目に涙を溜めて俺を諭した。
だが、
「俺は納得できません!」
「言ったであろう。民は許しはしないと、二人が王都で、どの様に思われているのかお前は知らぬのか?」
「そ、それは......」
アリシアとベアトリス、国民の顰蹙をかった二人。
「お前にとって二人は大切な人なのであろう、だが、民が飢えておる時、二人は何をしておった?」
俺は思い出した。国が飢饉の時、二人は豪奢な晩餐会に頻繁に出席していた事、たくさんの宝石やアクセサリーを身に付けて......国民が飢えている時に。
「それでも、エリアスについてはおかしいではないですか?」
「止めて、レオン様、レオン様まで」
エリスが俺にすがってきた。必死に止める気だ。
「いい加減にせよ、レオン。王の御前ぞ」
声は賢者マリアだった。
マリアは俺を押さえ込んだ。
「な、何を、うっ」
そして、俺は意識を失った。
ベリアルは全て喋った。彼も武人、本意ではなかった様だ。
こうして、シュツットガルト公と勇者エリアスの悪事は明るみになった。
アルベルティーナの後ろ盾は賢者マリアだった。
そして、国王陛下の元、裁判が始まった。
「皆の者、顔をあげい」
「「「「「はっ」」」」
国王陛下は凄まじい圧を発していた。
一国をまとめるには相当の胆力がいるのだろう。
ただの老人ではない。
「エール地方伯爵シュツットガルト、貴様の罪状明白、この飢饉の時に民の血税を不当にあげ、尚且つ、卑怯にもその要因を、自作自演するなど、言語道断、貴様には死罪を与える。斬首刑だ」
「はは、国王陛下の命ざれるがままに」
シュツットガルト公は毅然と死罪を受け入れた。もとより覚悟していたのだろう。
「そして、勇者パーティの悪事、看過できん。エール地方伯爵の所業、エリアス他、勇者の従者の入れ知恵である事、明白、従者アリシア、ベアトリス、アリス、3名を斬首刑とする。そして、勇者エリアス、貴様は謹慎せよ。」
「陛下の意のままに」
「そ、そんな!」
「私が、私が死罪」
アリシアだけが無言だった。最初から死罪を受け入れていたのか? 最初からわかっていたのか?
ベアトリスとアリスは受け入れ難い様だ。ベアトリスはエリアスを信じていただけなのだ。
「ま、待って下さい!」
俺は思わず声を出してしまった。平民、いや、奴隷の俺が発言などできる筈が等ないが、
「アリシアとベアトリスの刑を減刑下さい。二人は勇者に騙されていただけで、悪事には加担等していない筈です」
「レオンよ、そなたの気持ちはわかる。血を分け合った妹、かつての婚約者、だがな、ベアトリスが罪の無い冒険者を殺害した事実、アリシアがエール地方伯爵との連絡員だった事実、罪は重い。何より、民は許さない。決して」
「では、何故、勇者エリアスは謹慎だけなのですか? おかしいでは無いですか?」
「許せ、魔王を封印できる者は勇者エリアスだけだ。私とて不快極まるのだ」
「魔王は俺が倒します。虚数魔法使いの俺が必ず倒します。だから、お願いします!」
「御伽噺の世界を信じる訳にはいかん」
「......そ、そんな」
「国王陛下、アリスは関係ありません」
エリアスが言い出した。
「なんだと?」
「アリスは都のパーティにも行った事すらございません。二人と違って」
「エリアス様、私も助けて下さい。私を愛してくれているのでしょう?」
ベアトリスが悲鳴にも似たような声で訴える。
「お前は散々冒険者を殺したじゃ無いか?」
「だって、あの人達は悪い奴らだって......」
「そんな訳あるか、お前は俺の代わりに死ね」
「そ、そんな、私を愛してくれたんじゃ......」
「ただの遊びに決まってるだろ、頭悪いな」
『ぎり』
俺は唇を噛んだ。妹への侮辱、たとえ俺を裏切った妹へ対してのものでも悔しい。
エリアスが死罪なら、仕方がない、だが、エリアスだけはのうのうと生きるだと?
「わかった。アリスへの刑は減刑しよう。エリアス同様謹慎じゃ」
エリアスは俺を見た。そしてあの冷酷な薄ら笑いをした。
『ぎり』
俺は更に唇を噛んだ。
『こんな、こんな事ってあるか? 何故悪事を働いたエリアスが謹慎で、アリシアとベアトリスが極刑なんだ? そんなのおかしいだろ?』
兵がシュツットガルト公、エリアス、アリシア、ベアトリス、アリスを連行する。
手に枷を架されたアリシアとベアトリスは俺の横を通りすがら俺に話しかけた。
「レオン。ありがとう。助けようとしてくれて」
「お兄ちゃん、ありがとう。そして、ごめんなさい」
二人が通りすがら俺に声をかけた時、俺はもう我慢できなくなった。
「王よ、おかしいだろう? 二人の罪はそんなに重いのですか?」
「止めて、レオン」
アルベルティーナが俺を諭す。
「お願いだから、国王の決定は絶対なの」
アルベルティーナは目に涙を溜めて俺を諭した。
だが、
「俺は納得できません!」
「言ったであろう。民は許しはしないと、二人が王都で、どの様に思われているのかお前は知らぬのか?」
「そ、それは......」
アリシアとベアトリス、国民の顰蹙をかった二人。
「お前にとって二人は大切な人なのであろう、だが、民が飢えておる時、二人は何をしておった?」
俺は思い出した。国が飢饉の時、二人は豪奢な晩餐会に頻繁に出席していた事、たくさんの宝石やアクセサリーを身に付けて......国民が飢えている時に。
「それでも、エリアスについてはおかしいではないですか?」
「止めて、レオン様、レオン様まで」
エリスが俺にすがってきた。必死に止める気だ。
「いい加減にせよ、レオン。王の御前ぞ」
声は賢者マリアだった。
マリアは俺を押さえ込んだ。
「な、何を、うっ」
そして、俺は意識を失った。
0
お気に入りに追加
299
あなたにおすすめの小説
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
高校デビューを果たした幼馴染みが俺を裏切り、親友に全てを奪われるまで
みっちゃん
恋愛
小さい頃、僕は虐められていた幼馴染みの女の子、サユが好きだった
勇気を持って助けるとサユは僕に懐くようになり、次第に仲が良くなっていった
中学生になったある日、
サユから俺は告白される、俺は勿論OKした、その日から俺達は恋人同士になったんだ
しかし高校生になり彼女が所謂高校生デビューをはたしてから、俺の大切な人は変わっていき
そして
俺は彼女が陽キャグループのリーダーとホテルに向かうの見てしまった、しかも俺といるよりも随分と嬉しそうに…
そんな絶望の中、元いじめっ子のチサトが俺に話しかけてくる
そして俺はチサトと共にサユを忘れ立ち直る為に前を向く
幼馴染み達がハーレム勇者に行ったが別にどうでもいい
みっちゃん
ファンタジー
アイ「恥ずかしいから家の外では話しかけて来ないで」
サユリ「貴方と話していると、誤解されるからもう2度と近寄らないで」
メグミ「家族とか気持ち悪、あんたとは赤の他人だから、それじゃ」
義理の妹で同い年のアイ
幼馴染みのサユリ
義理の姉のメグミ
彼女達とは仲が良く、小さい頃はよく一緒遊んでいた仲だった…
しかし
カイト「皆んなおはよう」
勇者でありイケメンでもあるカイトと出会ってから、彼女達は変わってしまった
家でも必要最低限しか話さなくなったアイ
近くにいることさえ拒絶するサユリ
最初から知らなかった事にするメグミ
そんな生活のを続けるのが
この世界の主人公 エイト
そんな生活をしていれば、普通なら心を病むものだが、彼は違った…何故なら
ミュウ「おはよう、エイト」
アリアン「おっす!エイト!」
シルフィ「おはようございます、エイト様」
エイト「おはよう、ミュウ、アリアン、シルフィ」
カイトの幼馴染みでカイトが密かに想いを寄せている彼女達と付き合っているからだ
彼女達にカイトについて言っても
ミュウ「カイト君?ただ小さい頃から知ってるだけだよ?」
アリアン「ただの知り合い」
シルフィ「お嬢様のストーカー」
エイト「酷い言われ様だな…」
彼女達はカイトの事をなんとも思っていなかった
カイト「僕の彼女達を奪いやがって」
寝取られた幼馴染みがヤンデレとなって帰ってきた
みっちゃん
ファンタジー
アイリ「貴方のような落ちこぼれの婚約者だったなんて、人生の恥だわ」
そう言って彼女は幼馴染みで婚約者のルクスに唾を吐きかける、それを見て嘲笑うのが、勇者リムルだった。
リムル「ごめんなぁ、寝とるつもりはなかったんだけどぉ、僕が魅力的すぎるから、こうなっちゃうんだよねぇ」
そう言って彼女達は去っていった。
そして寝取られ、裏切られたルクスは1人でとある街に行く、そしてそこの酒場には
リムル「ルクスさん!本当にすいませんでしたぁぁぁぁぁ!!!!」
そう叫んで土下座するリムル
ルクス「いや、良いよ、これも"君の計画"なんでしょ?」
果たして彼らの計画とは如何に..........
そして、
アイリ「ルクスゥミーツケタァ❤️」
ヤンデレとなって、元婚約者が帰って来た。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
彼女の浮気相手からNTRビデオレターが送られてきたから全力で反撃しますが、今さら許してくれと言われてももう遅い
うぱー
恋愛
彼女の浮気相手からハメ撮りを送られてきたことにより、浮気されていた事実を知る。
浮気相手はサークルの女性にモテまくりの先輩だった。
裏切られていた悲しみと憎しみを糧に社会的制裁を徹底的に加えて復讐することを誓う。
■一行あらすじ
浮気相手と彼女を地獄に落とすために頑張る話です(●´艸`)ィヒヒ
このステータスプレート壊れてないですか?~壊れ数値の万能スキルで自由気ままな異世界生活~
夢幻の翼
ファンタジー
典型的な社畜・ブラックバイトに翻弄される人生を送っていたラノベ好きの男が銀行強盗から女性行員を庇って撃たれた。
男は夢にまで見た異世界転生を果たしたが、ラノベのテンプレである神様からのお告げも貰えない状態に戸惑う。
それでも気を取り直して強く生きようと決めた矢先の事、国の方針により『ステータスプレート』を作成した際に数値異常となり改ざん容疑で捕縛され奴隷へ落とされる事になる。運の悪い男だったがチート能力により移送中に脱走し隣国へと逃れた。
一時は途方にくれた少年だったが神父に言われた『冒険者はステータスに関係なく出来る唯一の職業である』を胸に冒険者を目指す事にした。
持ち前の運の悪さもチート能力で回避し、自分の思う生き方を実現させる社畜転生者と自らも助けられ、少年に思いを寄せる美少女との恋愛、襲い来る盗賊の殲滅、新たな商売の開拓と現実では出来なかった夢を異世界で実現させる自由気ままな異世界生活が始まります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる