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第41話 決戦
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ついに俺達は廃城に到着した。
「いよいよだな」
アルベルティーナが呟く。
「ああ、ベリアルは必ず倒す。任せてくれ」
俺は皆の士気をあげる為に、そして自身に言い聞かせる為にも言った。
「頼んだぞ」
アルベルティーナが微笑む。
「もーレオン様たら、またアルベルティーナ様にちょっかい出すんだからー」
エリスが不満顔だ。
「いや、エリス、これはそう言う事じゃなくて......」
「レオン殿、エリス殿、夫婦喧嘩は後にして頂きたい」
「「ひゃ、ひゃいぃ」」
エリスは真っ赤になっていた。イェスタに夫婦と言われたのが、恥ずかしかったんだろう。
俺も多分、顔が真っ赤になってると思う。
俺達は慎重に廃城に近づいて行った。正門には周囲を警戒する兵士がいた。この城がただの廃城では無い証拠だ。
もちろん、無理やり正面突破などはしないで、全員『ステルス』のスキルで、正門から城の中を誰にも気づかれることなく進んでいった。
結局一度も戦闘することなく、城の最上階へと着いた。
「おそらくここにベリアルがいるのだろう」
俺は呟いた。
『そして多分、エリアスも』
『ギィイ~』
重い、木製のドアを開けると。
「よく来たな、レオン」
そこにいたのは、やはり勇者エリアスだった。
「なんで、勇者までおるのだ?」
アルベルティーナは驚くが、他の二人は驚かない。俺と同じで予想していたのだろう。
「驚いてもらって嬉しいな。わざわざ罠を張った甲斐があるというもんだ。捕虜からここの情報が漏れるだろうからな」
「待ち構えてたってことは、お前自身の手で俺達を闇に葬るつもりか?」
「ああ、その通りだ。察しがいいな。どうだ、男たちが黙って殺されるんだったら、エリスとその女は助けてやるぞ?」
「バカめ!レオンとイェスタが殺される位なら、私も戦って死ぬわ!」
アルベルティーナがエリアスを挑発する。
「私もレオン様の為なら死ねます」
エリスも覚悟を決めている。
「エリアス、お前を倒せば済む話だ」
俺はエリアスに宣言した。
「本当にムカつく奴だな。よりにもよって俺を倒すだなどと、どの口が言う」
「お兄ちゃん、無礼でしょ。エリアス様になんて事言うの? もう黙って殺されなさい」
エリアスとベアトリスが俺の言葉に怒りを露わにする。
アリシアは。
「......」
無言だ。アリシアはどうするつもりだ?
「まあ、勇者様のお出ましの前に、まずは、私がこの者達の相手をしましょう」
こいつは見た事がある。前にベアトリスを連れ行った黒づくめの戦士だ。
「あれは誰だ?」
「あの男がシュツットガルト公の私兵団の将ベリアルだ」
アルベルティーナが教えてくれた
『まずい、敵は5人か?』
「ベリアル、貴様ごときは私が相手をしてやる。そうだな、お前一人で私と戦うのは荷が重いだろうから、そこの剣豪も加えて、二人まとめて相手をしてやろう」
イェスタが言い出した。
「なんだと?」
先に怒ったのは剣豪の方だった。ベリアルは驚いている風だ。
「貴様、たかがルーンナイトの分際で、気でも触れたのか? それとも、私のレベルが低いと侮っているのか?」
「アリス殿、ちょうどいいではないですか? こちらには圧倒的に有利な条件です」
ベリアルは乗る気だ。
「それもそうか。イェスタ、大口叩いたことを後悔させてあげる」
剣豪アリスはイェスタとの1対2の戦いを承諾した様だ。
『確かにいい策だ。剣聖ベリアルは、エリスやアルベルティーナでは相手にならないだろう。戦いの経験値が違い過ぎる。でもイェスタなら、対等以上、いや、おそらく快勝出来るだろう』
「イェスタ、お前気でも触れたか? それとも、死に場所でも探しているのか?」
エリアスは怪訝そうにイェスタを見ていた。
俺はなんとなくわかった。エリアスもイェスタの戦いが気になるのだろう。
自信満々のイェスタを見過ごせないのは、エリアスがイェスタの力も慎重な性格も知っているからだろう。
「ではまず、剣聖ベリアルと剣豪アリスの二人と、私の決闘からでいいですな?」
イェスタがエリアスに問うた。
「わかった。まずはお前と、ベリアルとアリスで闘え」
エリアスは応じた。イェスタの力を見極めるつもりだろう。
「さあ、虚数戦士の力見を見せてやろう」
イェスタは遂に俺達の秘密をエリアス達に打ち明けた。
「いよいよだな」
アルベルティーナが呟く。
「ああ、ベリアルは必ず倒す。任せてくれ」
俺は皆の士気をあげる為に、そして自身に言い聞かせる為にも言った。
「頼んだぞ」
アルベルティーナが微笑む。
「もーレオン様たら、またアルベルティーナ様にちょっかい出すんだからー」
エリスが不満顔だ。
「いや、エリス、これはそう言う事じゃなくて......」
「レオン殿、エリス殿、夫婦喧嘩は後にして頂きたい」
「「ひゃ、ひゃいぃ」」
エリスは真っ赤になっていた。イェスタに夫婦と言われたのが、恥ずかしかったんだろう。
俺も多分、顔が真っ赤になってると思う。
俺達は慎重に廃城に近づいて行った。正門には周囲を警戒する兵士がいた。この城がただの廃城では無い証拠だ。
もちろん、無理やり正面突破などはしないで、全員『ステルス』のスキルで、正門から城の中を誰にも気づかれることなく進んでいった。
結局一度も戦闘することなく、城の最上階へと着いた。
「おそらくここにベリアルがいるのだろう」
俺は呟いた。
『そして多分、エリアスも』
『ギィイ~』
重い、木製のドアを開けると。
「よく来たな、レオン」
そこにいたのは、やはり勇者エリアスだった。
「なんで、勇者までおるのだ?」
アルベルティーナは驚くが、他の二人は驚かない。俺と同じで予想していたのだろう。
「驚いてもらって嬉しいな。わざわざ罠を張った甲斐があるというもんだ。捕虜からここの情報が漏れるだろうからな」
「待ち構えてたってことは、お前自身の手で俺達を闇に葬るつもりか?」
「ああ、その通りだ。察しがいいな。どうだ、男たちが黙って殺されるんだったら、エリスとその女は助けてやるぞ?」
「バカめ!レオンとイェスタが殺される位なら、私も戦って死ぬわ!」
アルベルティーナがエリアスを挑発する。
「私もレオン様の為なら死ねます」
エリスも覚悟を決めている。
「エリアス、お前を倒せば済む話だ」
俺はエリアスに宣言した。
「本当にムカつく奴だな。よりにもよって俺を倒すだなどと、どの口が言う」
「お兄ちゃん、無礼でしょ。エリアス様になんて事言うの? もう黙って殺されなさい」
エリアスとベアトリスが俺の言葉に怒りを露わにする。
アリシアは。
「......」
無言だ。アリシアはどうするつもりだ?
「まあ、勇者様のお出ましの前に、まずは、私がこの者達の相手をしましょう」
こいつは見た事がある。前にベアトリスを連れ行った黒づくめの戦士だ。
「あれは誰だ?」
「あの男がシュツットガルト公の私兵団の将ベリアルだ」
アルベルティーナが教えてくれた
『まずい、敵は5人か?』
「ベリアル、貴様ごときは私が相手をしてやる。そうだな、お前一人で私と戦うのは荷が重いだろうから、そこの剣豪も加えて、二人まとめて相手をしてやろう」
イェスタが言い出した。
「なんだと?」
先に怒ったのは剣豪の方だった。ベリアルは驚いている風だ。
「貴様、たかがルーンナイトの分際で、気でも触れたのか? それとも、私のレベルが低いと侮っているのか?」
「アリス殿、ちょうどいいではないですか? こちらには圧倒的に有利な条件です」
ベリアルは乗る気だ。
「それもそうか。イェスタ、大口叩いたことを後悔させてあげる」
剣豪アリスはイェスタとの1対2の戦いを承諾した様だ。
『確かにいい策だ。剣聖ベリアルは、エリスやアルベルティーナでは相手にならないだろう。戦いの経験値が違い過ぎる。でもイェスタなら、対等以上、いや、おそらく快勝出来るだろう』
「イェスタ、お前気でも触れたか? それとも、死に場所でも探しているのか?」
エリアスは怪訝そうにイェスタを見ていた。
俺はなんとなくわかった。エリアスもイェスタの戦いが気になるのだろう。
自信満々のイェスタを見過ごせないのは、エリアスがイェスタの力も慎重な性格も知っているからだろう。
「ではまず、剣聖ベリアルと剣豪アリスの二人と、私の決闘からでいいですな?」
イェスタがエリアスに問うた。
「わかった。まずはお前と、ベリアルとアリスで闘え」
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