43 / 62
第41話 決戦
しおりを挟む
ついに俺達は廃城に到着した。
「いよいよだな」
アルベルティーナが呟く。
「ああ、ベリアルは必ず倒す。任せてくれ」
俺は皆の士気をあげる為に、そして自身に言い聞かせる為にも言った。
「頼んだぞ」
アルベルティーナが微笑む。
「もーレオン様たら、またアルベルティーナ様にちょっかい出すんだからー」
エリスが不満顔だ。
「いや、エリス、これはそう言う事じゃなくて......」
「レオン殿、エリス殿、夫婦喧嘩は後にして頂きたい」
「「ひゃ、ひゃいぃ」」
エリスは真っ赤になっていた。イェスタに夫婦と言われたのが、恥ずかしかったんだろう。
俺も多分、顔が真っ赤になってると思う。
俺達は慎重に廃城に近づいて行った。正門には周囲を警戒する兵士がいた。この城がただの廃城では無い証拠だ。
もちろん、無理やり正面突破などはしないで、全員『ステルス』のスキルで、正門から城の中を誰にも気づかれることなく進んでいった。
結局一度も戦闘することなく、城の最上階へと着いた。
「おそらくここにベリアルがいるのだろう」
俺は呟いた。
『そして多分、エリアスも』
『ギィイ~』
重い、木製のドアを開けると。
「よく来たな、レオン」
そこにいたのは、やはり勇者エリアスだった。
「なんで、勇者までおるのだ?」
アルベルティーナは驚くが、他の二人は驚かない。俺と同じで予想していたのだろう。
「驚いてもらって嬉しいな。わざわざ罠を張った甲斐があるというもんだ。捕虜からここの情報が漏れるだろうからな」
「待ち構えてたってことは、お前自身の手で俺達を闇に葬るつもりか?」
「ああ、その通りだ。察しがいいな。どうだ、男たちが黙って殺されるんだったら、エリスとその女は助けてやるぞ?」
「バカめ!レオンとイェスタが殺される位なら、私も戦って死ぬわ!」
アルベルティーナがエリアスを挑発する。
「私もレオン様の為なら死ねます」
エリスも覚悟を決めている。
「エリアス、お前を倒せば済む話だ」
俺はエリアスに宣言した。
「本当にムカつく奴だな。よりにもよって俺を倒すだなどと、どの口が言う」
「お兄ちゃん、無礼でしょ。エリアス様になんて事言うの? もう黙って殺されなさい」
エリアスとベアトリスが俺の言葉に怒りを露わにする。
アリシアは。
「......」
無言だ。アリシアはどうするつもりだ?
「まあ、勇者様のお出ましの前に、まずは、私がこの者達の相手をしましょう」
こいつは見た事がある。前にベアトリスを連れ行った黒づくめの戦士だ。
「あれは誰だ?」
「あの男がシュツットガルト公の私兵団の将ベリアルだ」
アルベルティーナが教えてくれた
『まずい、敵は5人か?』
「ベリアル、貴様ごときは私が相手をしてやる。そうだな、お前一人で私と戦うのは荷が重いだろうから、そこの剣豪も加えて、二人まとめて相手をしてやろう」
イェスタが言い出した。
「なんだと?」
先に怒ったのは剣豪の方だった。ベリアルは驚いている風だ。
「貴様、たかがルーンナイトの分際で、気でも触れたのか? それとも、私のレベルが低いと侮っているのか?」
「アリス殿、ちょうどいいではないですか? こちらには圧倒的に有利な条件です」
ベリアルは乗る気だ。
「それもそうか。イェスタ、大口叩いたことを後悔させてあげる」
剣豪アリスはイェスタとの1対2の戦いを承諾した様だ。
『確かにいい策だ。剣聖ベリアルは、エリスやアルベルティーナでは相手にならないだろう。戦いの経験値が違い過ぎる。でもイェスタなら、対等以上、いや、おそらく快勝出来るだろう』
「イェスタ、お前気でも触れたか? それとも、死に場所でも探しているのか?」
エリアスは怪訝そうにイェスタを見ていた。
俺はなんとなくわかった。エリアスもイェスタの戦いが気になるのだろう。
自信満々のイェスタを見過ごせないのは、エリアスがイェスタの力も慎重な性格も知っているからだろう。
「ではまず、剣聖ベリアルと剣豪アリスの二人と、私の決闘からでいいですな?」
イェスタがエリアスに問うた。
「わかった。まずはお前と、ベリアルとアリスで闘え」
エリアスは応じた。イェスタの力を見極めるつもりだろう。
「さあ、虚数戦士の力見を見せてやろう」
イェスタは遂に俺達の秘密をエリアス達に打ち明けた。
「いよいよだな」
アルベルティーナが呟く。
「ああ、ベリアルは必ず倒す。任せてくれ」
俺は皆の士気をあげる為に、そして自身に言い聞かせる為にも言った。
「頼んだぞ」
アルベルティーナが微笑む。
「もーレオン様たら、またアルベルティーナ様にちょっかい出すんだからー」
エリスが不満顔だ。
「いや、エリス、これはそう言う事じゃなくて......」
「レオン殿、エリス殿、夫婦喧嘩は後にして頂きたい」
「「ひゃ、ひゃいぃ」」
エリスは真っ赤になっていた。イェスタに夫婦と言われたのが、恥ずかしかったんだろう。
俺も多分、顔が真っ赤になってると思う。
俺達は慎重に廃城に近づいて行った。正門には周囲を警戒する兵士がいた。この城がただの廃城では無い証拠だ。
もちろん、無理やり正面突破などはしないで、全員『ステルス』のスキルで、正門から城の中を誰にも気づかれることなく進んでいった。
結局一度も戦闘することなく、城の最上階へと着いた。
「おそらくここにベリアルがいるのだろう」
俺は呟いた。
『そして多分、エリアスも』
『ギィイ~』
重い、木製のドアを開けると。
「よく来たな、レオン」
そこにいたのは、やはり勇者エリアスだった。
「なんで、勇者までおるのだ?」
アルベルティーナは驚くが、他の二人は驚かない。俺と同じで予想していたのだろう。
「驚いてもらって嬉しいな。わざわざ罠を張った甲斐があるというもんだ。捕虜からここの情報が漏れるだろうからな」
「待ち構えてたってことは、お前自身の手で俺達を闇に葬るつもりか?」
「ああ、その通りだ。察しがいいな。どうだ、男たちが黙って殺されるんだったら、エリスとその女は助けてやるぞ?」
「バカめ!レオンとイェスタが殺される位なら、私も戦って死ぬわ!」
アルベルティーナがエリアスを挑発する。
「私もレオン様の為なら死ねます」
エリスも覚悟を決めている。
「エリアス、お前を倒せば済む話だ」
俺はエリアスに宣言した。
「本当にムカつく奴だな。よりにもよって俺を倒すだなどと、どの口が言う」
「お兄ちゃん、無礼でしょ。エリアス様になんて事言うの? もう黙って殺されなさい」
エリアスとベアトリスが俺の言葉に怒りを露わにする。
アリシアは。
「......」
無言だ。アリシアはどうするつもりだ?
「まあ、勇者様のお出ましの前に、まずは、私がこの者達の相手をしましょう」
こいつは見た事がある。前にベアトリスを連れ行った黒づくめの戦士だ。
「あれは誰だ?」
「あの男がシュツットガルト公の私兵団の将ベリアルだ」
アルベルティーナが教えてくれた
『まずい、敵は5人か?』
「ベリアル、貴様ごときは私が相手をしてやる。そうだな、お前一人で私と戦うのは荷が重いだろうから、そこの剣豪も加えて、二人まとめて相手をしてやろう」
イェスタが言い出した。
「なんだと?」
先に怒ったのは剣豪の方だった。ベリアルは驚いている風だ。
「貴様、たかがルーンナイトの分際で、気でも触れたのか? それとも、私のレベルが低いと侮っているのか?」
「アリス殿、ちょうどいいではないですか? こちらには圧倒的に有利な条件です」
ベリアルは乗る気だ。
「それもそうか。イェスタ、大口叩いたことを後悔させてあげる」
剣豪アリスはイェスタとの1対2の戦いを承諾した様だ。
『確かにいい策だ。剣聖ベリアルは、エリスやアルベルティーナでは相手にならないだろう。戦いの経験値が違い過ぎる。でもイェスタなら、対等以上、いや、おそらく快勝出来るだろう』
「イェスタ、お前気でも触れたか? それとも、死に場所でも探しているのか?」
エリアスは怪訝そうにイェスタを見ていた。
俺はなんとなくわかった。エリアスもイェスタの戦いが気になるのだろう。
自信満々のイェスタを見過ごせないのは、エリアスがイェスタの力も慎重な性格も知っているからだろう。
「ではまず、剣聖ベリアルと剣豪アリスの二人と、私の決闘からでいいですな?」
イェスタがエリアスに問うた。
「わかった。まずはお前と、ベリアルとアリスで闘え」
エリアスは応じた。イェスタの力を見極めるつもりだろう。
「さあ、虚数戦士の力見を見せてやろう」
イェスタは遂に俺達の秘密をエリアス達に打ち明けた。
0
お気に入りに追加
300
あなたにおすすめの小説
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる