幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風

文字の大きさ
上 下
30 / 62

第30話 イェスタの趣味の為にドラゴン退治

しおりを挟む
エリスと仲直りした後、俺たちはケルンを目指す商隊に随伴した。

例の貴族のお嬢様もやっぱりついてきた。

馬車での旅だったが、お嬢様は相変わらず失礼な奴だった。

「お前ら仲がいいな」

アルベルティーナは俺とエリスを見て言う。

エリスは俺の横にちょこんと座っていた。

エリスはいつものように俺に甘えている。

「エリス、先日は済まなかった。まさかこのフツメンに彼女がおるとは思わんでな、わかるだろ?」

何がわかるんだ?

本当に失礼な奴だ。

「でも、分かって欲しい。お陰でクラス4のタレントを得られたんだ。それに私も我慢してたんだぞ!」

「アルベルティーナさん、酷くないですか? 俺の被害も考えて下さいよ」

「え? 私とキスするの嫌だったのか? 見ての通り私はかなり可愛いのだぞ。お主ごときに嫌だなどとは非常にショックだ」

自分で可愛いって言っちゃってるよ、この人。本当に疲れる人だ。

「そうじゃなくて、俺の彼女のエリスの前で、例え契約魔術の為とはいえ、俺がキスしたらエリスがどう思うか、考えてもみて下さい」

「あぁ、そうか! 私としたことが、すまんかった。エリス、私が、悪かった。だが、私だってファーストキスをこのフツメンにやってしまったんだぞ。私だって犠牲者なんだ。わかってくれ」

どうも、彼女はエリスには謝るつもりだが、俺には喧嘩を売るつもりらしい。

多分、悪意はないのだろうけど。

✩.*˚✩.*˚✩.*˚

馬車で5日も進んだところで、思いがけなく、ドラゴン討伐をする事になった。

きっかけは商人のおじさんの不用意な一言だった。

「ここからすぐ近くにドラゴンが住んでるんですよ。もう、かれこれ10年以上前から。怖いのですが、討伐してくれる冒険者もいないし、王都の騎士団もこんな辺境には来てくれなくて」

彼は軽率だった。まさかこの中に、ドラゴン討伐が三度の飯よりも好きな人間がいるとは思わなかったのだ。

そう、イェスタだ。

「レオン殿、放ってはおけない。ドラゴンがいる以上討伐しないと」

「イェスタ、10年も放ったらかしだったんだから、いまさら別にいいんじゃないか」

「いけません」

イェスタは遮るように言った。そこには絶対の覚悟があった。

「これは民の為にも、是非討伐しましょう」

イェスタの趣味だろうとわかってはいたが、俺は渋々引き受けることにした。

なにしろドラゴン討伐で得られる経験値は膨大だ。今はまだイェスタも虚数戦士のレベルは1なのだ。

レベリングした方がいいに決まってる。

イェスタはドラゴン討伐の達人なので他の人間は安全だと思い、アルベルティーナも連れて行った。

彼女にもレベリングが必要だろう。

ドラゴンの棲息地の近くまで馬車を向かわせてくれた商人は顔面蒼白になっていた。多分、これが普通の反応だろう。

馬車から降りて4人でドラゴンの元へ歩いて行く。少し探すと、ドラゴンの巣穴が見つかった。

岩陰に身を潜め、ドラゴンが巣穴から出てくるのを待った。流石に巣穴の中でドラゴンとはやり合いたくない。

「ち、小さい」

ドラゴンを見たイェスタの第一声だった。

彼はどうもドラゴンのサイズに不満がある様だ。体長が10m近くもあるというのに......

イェスタはホント、まともじゃない騎士だ。

俺はまず魔法を放つ事にした。ドラゴンとの距離は100m以上ある。

直ぐにこちらに気づくとは思うが、先手必勝だ。

力ある呪文の言葉を紡いでいく。

「暗黒よ!  闇よ!  負界の混沌より出でし、禁断の黒炎を呼び覚ませ!『エクスプロージョン!!!』」

ドラゴンを灼熱の爆炎が包みこむ。最近覚えた遠距離広範囲魔法だ。

爆発が収まり、炎が消えると、ドラゴンは跡形もなかった。

「ド、ドラゴン、何処へ?」

「レオン様の魔法で燃え尽きたんじゃないですか?」

エリスが事も無げに言う。

俺も段々自信がなくなってきた。

「イェスタ、どう思う?」

「どうもこうも、レオン殿、酷い!せっかくのドラゴンが、消し炭に! 楽しみにしてたのに~」

あ、イェスタ、とうとう、楽しみって言っちゃった。

結局、俺たちはこの周辺のドラゴンを3体討伐する事になった。

イェスタの趣味の為に......

俺達は十二分にレベルが上がった。

イェスタもアルベルティーナも虚数戦士のタレントがlv40に達した。

俺とエリスのタレントのレベルは遂にlv50に達した。

俺は

『タレント』
「虚数魔法使いLv50」
『ジョブ』
「戦士Lv99」

エリスは
『タレント』
「虚数戦士Lv50」
「良妻賢母」
『ジョブ』
「戦士Lv99」

アルベルティーナ
『タレント』
「虚数戦士Lv40」
「ウォーロックLv40」
『ジョブ』
「魔導士Lv99」

イェスタ
『タレント』
「虚数戦士Lv40」
「ルーンナイトLv76」
『ジョブ』
「聖騎士Lv99」
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

リアルフェイスマスク

廣瀬純一
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

処理中です...