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第10話 拷問からの脱出4日目
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目が覚めると俺の体はいくらか回復していた。睡眠の効果があった様だ。
だが、もう無い左腕と右目がやけに痛む。
無いならいっそ痛みを感じなければいいのに......
だが、痛覚神経は今もそこに腕や目があるものとして、苦痛を俺に与え続けていた。
今日もリリーは趣味の拷問にやってきた。俺は、今日が最後のチャンスだと思った。
新しい呪文は試している時間がなかった。
もし、これが攻撃呪文でなければ、もう脱出は無理だろう。
リリーはおそらく近日中に俺をあの女性の様に解体する。
未だ命乞いをしない俺に彼女はおそらくそうするだろう。
俺の心は闇に包まれた。今はリリーの考え方の予想ができた。
ある意味、彼女の思考形態の理解ができる様になった。
狂人の思考が理解できる自分に恐怖を感じたが、俺は自分が既に壊れている事を理解した。
☆☆☆
リリーは今日、従者を2名伴ってきた。
理由はわかった。従者は俺を吊るしたからだ。
手を束縛するロープにフックをかけ、天井から吊るした。
だが、幸運なことに、従者達は俺の拘束を解いた。
もちろん、吊るされているので、自由は無いが、吊るしているロープを切れば、自由が得られる。
「どう、吊るされる気分は? これから私が何をするのかわかったかしら?」
「俺の手足を全て切り落とすつもりだろ?」
「正解。そう、私、どうしてもあなたの本気の命乞いを見たいの♡ 惨めに遜って命乞いする姿が見たいのよ、うふ♡」
「それで、命乞いをしたら、助けてくれるのか?」
「先日、言ったでしょ。助けた事は無いって」
「ふざけやがって」
「いつまで、その気持ちが保てるかしら? 先日の女も強情だったけど、最後は命乞いをしたわ。サイコーに気持ちよかったわ、でもあの時はちょっと反省。手足だけにするつもりだったのに、私ってば、昂って、首まで切っちゃったから、首は最後の楽しみなのよ♡」
「お前はいかれてる!」
「いつまでそんな強気でいられるかしら? さあ、始めるわよ」
リリーはノコギリを手にした。幸い、従者は距離をとった。
チャンスだった。この機会を逃したら、おそらく俺は今日死ぬ。
リリーはおそらく先日の女性の様に俺の全ての手足を切断して、首も斬られる。この女に我慢なんてできる訳が無い。
俺は、呪文を唱えた。頼む、攻撃呪文であってくれ!
俺は呪文を詠唱した。時間は無い、簡易詠唱だ。
『ダムド』
魔法は攻撃呪文だった。俺の唱えた呪文は俺を吊るしたロープを切ってくれた!
『ドスン』
痛い、だが、この程度はしれている。
「な!! あなた魔法使いだったの?」
「昨日、なったんだよ」
「あなた、何言ってるの? 訳わかんない。残念だけど、お前達、殺って」
従者達がスラリと剣を抜く。
先手必勝、俺はすぐに呪文を唱えた。
「我が敵を切り裂け『ダムド』!」
一人が闇の刃に切り刻まれる。
だが、もう一人は仲間の後ろに隠れた。
血飛沫が飛び散って視界が悪くなったところに従者は剣で俺に斬り掛かった。
避ける、だが、剣速は早い。
『斬』
俺は右の脇腹を斬られた。
まずい。これ以上出血すると失神する。
俺は再び呪文を唱えた。
「『ダムド』!」
剣の構えを直し、俺に再度斬りかかろうとした、もう一人の従者も血飛沫をあげて四散する。
「はあ、はあ」
俺は息が荒くなった。初めての殺人......
「あ、あなた、まさか、私を殺さないわよね? わ、私、女の子よ、まだ、15才なの、お願い助けて!」
以前の俺なら決して彼女を殺す事はなかっただろう。
だが、俺の中に生まれた闇は深く、もう消す事はできない。
この娘をしかるべき機関に渡すのが常識だろう。
そもそも悪人だからと言って俺に殺す権利は無い。
放って置いて逃げる方が得だろう。この娘の貴族一族を敵に回すかもしれない。
リリーは見かけは美しい可憐な少女だ。
例え悪人であったとしてもこの美しい肢体を破壊する行為は以前の俺にはできなかっただろう。
だが、今の俺には破壊衝動しかなかった。
「助けない。お前と同じ様に」
「や、やめて、お願い、助けて、な、なんでもするから! お願い! 私を自由にしていいから! 私なんでもするから!」
これがリリーの言っていた命乞いの心地良さか?
俺にはわかった。同時に俺には冷笑が浮かんだ。
リリーの顔が引きつる。俺が同類だと気がついたのだ。
「お前を許さない。我敵を切り裂け『ダムド』!」
リリーの美しい肢体は血飛沫と共に四散した。
そして血とリリーだったものだけになった。
だが、もう無い左腕と右目がやけに痛む。
無いならいっそ痛みを感じなければいいのに......
だが、痛覚神経は今もそこに腕や目があるものとして、苦痛を俺に与え続けていた。
今日もリリーは趣味の拷問にやってきた。俺は、今日が最後のチャンスだと思った。
新しい呪文は試している時間がなかった。
もし、これが攻撃呪文でなければ、もう脱出は無理だろう。
リリーはおそらく近日中に俺をあの女性の様に解体する。
未だ命乞いをしない俺に彼女はおそらくそうするだろう。
俺の心は闇に包まれた。今はリリーの考え方の予想ができた。
ある意味、彼女の思考形態の理解ができる様になった。
狂人の思考が理解できる自分に恐怖を感じたが、俺は自分が既に壊れている事を理解した。
☆☆☆
リリーは今日、従者を2名伴ってきた。
理由はわかった。従者は俺を吊るしたからだ。
手を束縛するロープにフックをかけ、天井から吊るした。
だが、幸運なことに、従者達は俺の拘束を解いた。
もちろん、吊るされているので、自由は無いが、吊るしているロープを切れば、自由が得られる。
「どう、吊るされる気分は? これから私が何をするのかわかったかしら?」
「俺の手足を全て切り落とすつもりだろ?」
「正解。そう、私、どうしてもあなたの本気の命乞いを見たいの♡ 惨めに遜って命乞いする姿が見たいのよ、うふ♡」
「それで、命乞いをしたら、助けてくれるのか?」
「先日、言ったでしょ。助けた事は無いって」
「ふざけやがって」
「いつまで、その気持ちが保てるかしら? 先日の女も強情だったけど、最後は命乞いをしたわ。サイコーに気持ちよかったわ、でもあの時はちょっと反省。手足だけにするつもりだったのに、私ってば、昂って、首まで切っちゃったから、首は最後の楽しみなのよ♡」
「お前はいかれてる!」
「いつまでそんな強気でいられるかしら? さあ、始めるわよ」
リリーはノコギリを手にした。幸い、従者は距離をとった。
チャンスだった。この機会を逃したら、おそらく俺は今日死ぬ。
リリーはおそらく先日の女性の様に俺の全ての手足を切断して、首も斬られる。この女に我慢なんてできる訳が無い。
俺は、呪文を唱えた。頼む、攻撃呪文であってくれ!
俺は呪文を詠唱した。時間は無い、簡易詠唱だ。
『ダムド』
魔法は攻撃呪文だった。俺の唱えた呪文は俺を吊るしたロープを切ってくれた!
『ドスン』
痛い、だが、この程度はしれている。
「な!! あなた魔法使いだったの?」
「昨日、なったんだよ」
「あなた、何言ってるの? 訳わかんない。残念だけど、お前達、殺って」
従者達がスラリと剣を抜く。
先手必勝、俺はすぐに呪文を唱えた。
「我が敵を切り裂け『ダムド』!」
一人が闇の刃に切り刻まれる。
だが、もう一人は仲間の後ろに隠れた。
血飛沫が飛び散って視界が悪くなったところに従者は剣で俺に斬り掛かった。
避ける、だが、剣速は早い。
『斬』
俺は右の脇腹を斬られた。
まずい。これ以上出血すると失神する。
俺は再び呪文を唱えた。
「『ダムド』!」
剣の構えを直し、俺に再度斬りかかろうとした、もう一人の従者も血飛沫をあげて四散する。
「はあ、はあ」
俺は息が荒くなった。初めての殺人......
「あ、あなた、まさか、私を殺さないわよね? わ、私、女の子よ、まだ、15才なの、お願い助けて!」
以前の俺なら決して彼女を殺す事はなかっただろう。
だが、俺の中に生まれた闇は深く、もう消す事はできない。
この娘をしかるべき機関に渡すのが常識だろう。
そもそも悪人だからと言って俺に殺す権利は無い。
放って置いて逃げる方が得だろう。この娘の貴族一族を敵に回すかもしれない。
リリーは見かけは美しい可憐な少女だ。
例え悪人であったとしてもこの美しい肢体を破壊する行為は以前の俺にはできなかっただろう。
だが、今の俺には破壊衝動しかなかった。
「助けない。お前と同じ様に」
「や、やめて、お願い、助けて、な、なんでもするから! お願い! 私を自由にしていいから! 私なんでもするから!」
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リリーの顔が引きつる。俺が同類だと気がついたのだ。
「お前を許さない。我敵を切り裂け『ダムド』!」
リリーの美しい肢体は血飛沫と共に四散した。
そして血とリリーだったものだけになった。
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