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75アル、英雄の称号をもらう
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「これでナディヤの気持ちが少しでも晴れてくれたらな」
「何を言ってるの? ナディヤの心はもう晴れてるわよ」
「へぇ?」
クリスが謎の発言をする。
ナディヤは勇者エルヴィンの卑怯な魅了の魔法で心と身体を穢された。
せめて身体の穢れだけでも。
物理的に元の清らかな状態に戻してあげようと思って猫耳族を助けて秘薬をもらったのに。
「そうよ。アル君。アル君は鈍感だよね。ナディヤさんの心がわからないの? アル君、ナディヤさんに結婚してって言ったんでしょ? 私にはわかるの。アル君は優しいの」
「そうなのです。あんなに侮辱されたのに、気持ちを切り替えて、魅了の犠牲者だからって、そんな返し普通できないのです。ご主人様は内面だけはイケメンなのです」
俺はちょっと困った。
アリーとリーゼの意味わからん。それとリーゼ、俺のこと内面だけはイケメンて酷い。
それにナディヤとの会話みんな知ってるとか、やっぱり全部クリスに聞かれた?
「……アル。ナディヤはね。あなたに結婚してなんて言われて最高の赦しをもらったの。それにあの子……真面目だから、アルと私の間のこと邪魔したらと本気で思っててね」
俺は冷や汗がダラダラと出てきた。
そうなんです。
俺はクリスをマジで捨てて、ナディヤと結婚しようと企んでたんだけど、クリスに見つかってしまって。
「良かったわね。未遂だったから見逃したけど、実行してたら……今頃」
「い、今頃どうなってたの? マジどうなってたの?」
クリスがふっとため息をつくと。
「ふっ。悪魔のいけにえの世界に行ってもらうしかなかったわ」
俺はガクガクぶるぶると震えた。
なんなのそれ~!!
☆☆☆
俺は黒耳猫の宅配便のサービスでナディヤの元へ秘薬を送った。
このサービスはあの猫耳族の元族長ルナの始めた事業だ。
今では猫耳族と他の部族や人族のネットワークで王国中のロジスティクスを改革している。
ナディヤには手紙をしたためた。
クリスが怖いので、やっぱり結婚してとかは書けなかった。
でも、少しでもナディヤの心が晴れたらいいな。
あの秘薬でナディヤは元の聖女の力を取り戻せる。
そして、俺達は王都へ向かった。
同じく猫耳族の宅配便のメールサービスで国王陛下から招待状を頂いていたからだ。
なんだろう?
俺、悪いこと何もしてないよ。
☆☆☆
俺は王都に戻ると王の謁見の間にいた。
ずらりと並ぶ騎士に官吏たち。
壮観な眺めだ。
俺とクリス、リーゼは膝を折り陛下に敬意を現していた。
アリーは国王の元へ当たり前のように歩いて行った。
俺とクリスは勇者パーティだったし、リーゼは貴族、アリーに至っては王族。
当然礼儀はわかっている。
それにそうか、この人がアリーのお父さんか?
「ダンジョンの街を救い、猫耳族を救い、終末の化け物を滅した英雄アル君とその仲間よ。顔をあげよ」
周囲から好奇の目に晒される。
「まさかこんなフツメンが?」
「仲間が全員美しい女性とは」
フツメンだと英雄的行為しちゃ駄目なの?
なんか、俺の顔とかクリス達の容貌とか関係ないと思うんだけど。
いいもん。別に俺、目立とうとした訳じゃなくて、凄い偶然が重なっただけだもん。
その時、威厳ある声が響いた。
「僅かの間にこれ程の働き見事である。アル君の働きがなければダンジョンの街は今頃、ましてや終末の化け物なぞどれ程の被害が出たものやら……全国民を代表して礼を言わせてもらう」
なんと国王は俺に頭を下げた。
「おお! 王が最高位の礼を!」
「歴史上100年ぶりだ」
貴族と思しき官吏たちがざわめくが、人の善意に頭下げるの普通じゃねぇ?
と、内心思っていたが、そんなことはおくびにも出さずに。
「もったいなきお言葉、それに……感激致しました」
「例のものをここへ」
国王は俺の返事にこくりと頷くと、何かを持ってくるように指示した。
すると。
豪奢な台車に金や銀の財宝にたくさんの金貨。
「100万ディナールと我が家に伝わる財宝だ。褒美として受け取って欲しい」
「い、いえ俺は当たり前のことをしただけ。こんなに頂けません」
俺は焦った。
100万ディナールとか途方もない金だ。
タワマン10軒位立つんじゃね?
「なんと、アル君は金や財宝に興味がないのか? 仕方がないのう。君らしいが。そうか、ならばアル君には【英雄】の称号を贈ろう。それに……娘の第7王女のアリーを下賜しよう」
「ええっ!!」
いや、英雄の称号はいいけど、アリー押し付けんの止めてくんない?
「はは! アリー、そなたも人を見る目があったな。本当は第一王女のリナがアル君にご執心だったのだが……先日帝国との縁談がまとまってしまってな」
「ありがとうございます。お父様、アル君と私のことを許して頂けるのですね?」
「当然だ。ワシも人の親だ。できれば皆の好きな相手と結婚させてやりたい。じゃが我ら王族はそれは叶わん。じゃが英雄のアル君に我が家から嫁がせることは意義があることだ」
できれば第一王女のリナ様とチェンジの方向で考えてくんないかな?
リナ様はアリーと一緒位綺麗だけど、アリーと違って闇がなさそう。
ここはやんわり断ろう。
「こ、国王陛下、ありがたき幸せですが、俺にはアリー様のような美しい方はもったいなく。身分が違いすぎます。英雄の称号だけで十分に満足しております」
「ははは! 相変わらず謙虚じゃな。それに、本当の理由は察しておる。アル君には幼馴染の恋人クリス嬢がいたのだな。承知しておる。じゃがな……そなたは英雄じゃ、貴族の一員なのだ。アリーを娶るに相応しい身分じゃ、それに……」
国王はウインクして。
「貴族は複数の妻を娶ることも可能じゃろう? 問題あるまい? アリーから文で聞いておる。他に公爵令嬢リーゼもアル君にご執心なのだろう。皆の気持ちを受け入れてやれ。まあ、誰を正妻にするかで多少揉めるかもしれんがの、ワハハハ!!」
いや、国王、勝手に決めないでよ。
俺はアリーとリーゼは返品したかったのに、これじゃ返品できないじゃん!
それに誰を正妻にするかとか、絶対揉める。
俺は勝手に話を進める国王のおかげでダラダラと冷や汗をかいた。
「何を言ってるの? ナディヤの心はもう晴れてるわよ」
「へぇ?」
クリスが謎の発言をする。
ナディヤは勇者エルヴィンの卑怯な魅了の魔法で心と身体を穢された。
せめて身体の穢れだけでも。
物理的に元の清らかな状態に戻してあげようと思って猫耳族を助けて秘薬をもらったのに。
「そうよ。アル君。アル君は鈍感だよね。ナディヤさんの心がわからないの? アル君、ナディヤさんに結婚してって言ったんでしょ? 私にはわかるの。アル君は優しいの」
「そうなのです。あんなに侮辱されたのに、気持ちを切り替えて、魅了の犠牲者だからって、そんな返し普通できないのです。ご主人様は内面だけはイケメンなのです」
俺はちょっと困った。
アリーとリーゼの意味わからん。それとリーゼ、俺のこと内面だけはイケメンて酷い。
それにナディヤとの会話みんな知ってるとか、やっぱり全部クリスに聞かれた?
「……アル。ナディヤはね。あなたに結婚してなんて言われて最高の赦しをもらったの。それにあの子……真面目だから、アルと私の間のこと邪魔したらと本気で思っててね」
俺は冷や汗がダラダラと出てきた。
そうなんです。
俺はクリスをマジで捨てて、ナディヤと結婚しようと企んでたんだけど、クリスに見つかってしまって。
「良かったわね。未遂だったから見逃したけど、実行してたら……今頃」
「い、今頃どうなってたの? マジどうなってたの?」
クリスがふっとため息をつくと。
「ふっ。悪魔のいけにえの世界に行ってもらうしかなかったわ」
俺はガクガクぶるぶると震えた。
なんなのそれ~!!
☆☆☆
俺は黒耳猫の宅配便のサービスでナディヤの元へ秘薬を送った。
このサービスはあの猫耳族の元族長ルナの始めた事業だ。
今では猫耳族と他の部族や人族のネットワークで王国中のロジスティクスを改革している。
ナディヤには手紙をしたためた。
クリスが怖いので、やっぱり結婚してとかは書けなかった。
でも、少しでもナディヤの心が晴れたらいいな。
あの秘薬でナディヤは元の聖女の力を取り戻せる。
そして、俺達は王都へ向かった。
同じく猫耳族の宅配便のメールサービスで国王陛下から招待状を頂いていたからだ。
なんだろう?
俺、悪いこと何もしてないよ。
☆☆☆
俺は王都に戻ると王の謁見の間にいた。
ずらりと並ぶ騎士に官吏たち。
壮観な眺めだ。
俺とクリス、リーゼは膝を折り陛下に敬意を現していた。
アリーは国王の元へ当たり前のように歩いて行った。
俺とクリスは勇者パーティだったし、リーゼは貴族、アリーに至っては王族。
当然礼儀はわかっている。
それにそうか、この人がアリーのお父さんか?
「ダンジョンの街を救い、猫耳族を救い、終末の化け物を滅した英雄アル君とその仲間よ。顔をあげよ」
周囲から好奇の目に晒される。
「まさかこんなフツメンが?」
「仲間が全員美しい女性とは」
フツメンだと英雄的行為しちゃ駄目なの?
なんか、俺の顔とかクリス達の容貌とか関係ないと思うんだけど。
いいもん。別に俺、目立とうとした訳じゃなくて、凄い偶然が重なっただけだもん。
その時、威厳ある声が響いた。
「僅かの間にこれ程の働き見事である。アル君の働きがなければダンジョンの街は今頃、ましてや終末の化け物なぞどれ程の被害が出たものやら……全国民を代表して礼を言わせてもらう」
なんと国王は俺に頭を下げた。
「おお! 王が最高位の礼を!」
「歴史上100年ぶりだ」
貴族と思しき官吏たちがざわめくが、人の善意に頭下げるの普通じゃねぇ?
と、内心思っていたが、そんなことはおくびにも出さずに。
「もったいなきお言葉、それに……感激致しました」
「例のものをここへ」
国王は俺の返事にこくりと頷くと、何かを持ってくるように指示した。
すると。
豪奢な台車に金や銀の財宝にたくさんの金貨。
「100万ディナールと我が家に伝わる財宝だ。褒美として受け取って欲しい」
「い、いえ俺は当たり前のことをしただけ。こんなに頂けません」
俺は焦った。
100万ディナールとか途方もない金だ。
タワマン10軒位立つんじゃね?
「なんと、アル君は金や財宝に興味がないのか? 仕方がないのう。君らしいが。そうか、ならばアル君には【英雄】の称号を贈ろう。それに……娘の第7王女のアリーを下賜しよう」
「ええっ!!」
いや、英雄の称号はいいけど、アリー押し付けんの止めてくんない?
「はは! アリー、そなたも人を見る目があったな。本当は第一王女のリナがアル君にご執心だったのだが……先日帝国との縁談がまとまってしまってな」
「ありがとうございます。お父様、アル君と私のことを許して頂けるのですね?」
「当然だ。ワシも人の親だ。できれば皆の好きな相手と結婚させてやりたい。じゃが我ら王族はそれは叶わん。じゃが英雄のアル君に我が家から嫁がせることは意義があることだ」
できれば第一王女のリナ様とチェンジの方向で考えてくんないかな?
リナ様はアリーと一緒位綺麗だけど、アリーと違って闇がなさそう。
ここはやんわり断ろう。
「こ、国王陛下、ありがたき幸せですが、俺にはアリー様のような美しい方はもったいなく。身分が違いすぎます。英雄の称号だけで十分に満足しております」
「ははは! 相変わらず謙虚じゃな。それに、本当の理由は察しておる。アル君には幼馴染の恋人クリス嬢がいたのだな。承知しておる。じゃがな……そなたは英雄じゃ、貴族の一員なのだ。アリーを娶るに相応しい身分じゃ、それに……」
国王はウインクして。
「貴族は複数の妻を娶ることも可能じゃろう? 問題あるまい? アリーから文で聞いておる。他に公爵令嬢リーゼもアル君にご執心なのだろう。皆の気持ちを受け入れてやれ。まあ、誰を正妻にするかで多少揉めるかもしれんがの、ワハハハ!!」
いや、国王、勝手に決めないでよ。
俺はアリーとリーゼは返品したかったのに、これじゃ返品できないじゃん!
それに誰を正妻にするかとか、絶対揉める。
俺は勝手に話を進める国王のおかげでダラダラと冷や汗をかいた。
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